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中小企業の経営者におすすめの簿記の勉強法

商売の基本は、義務教育で勉強する「読み」「書き」「算数」以外に「簿記」と言われています。
それさえ押さえておけば、商売はなんとかなります。

でも、実際に中小企業の社長さんとお会いするのですが、簿記を知らずに会社を大きくしている方もいらっしゃいます。

では、簿記は知らなくても、商売ができるのでしょうか。


簿記を知らなくても経営はできる


確かに、簿記を知らなくても経営はできます。
経理ができる人を雇い、顧問税理士に確定申告書を作ってもらう。
この二人が社長の信頼を得る人であれば、社長個人が簿記や経理ができなくても、まったく問題はありません。

そもそも、社長のお仕事はなんでしょう。
ChatGPTに聞いてみました。

  1. 戦略的意思決定: 会社のビジョン、つまり、方針を決めます。なんのために事業を起こしたのか。会社にしたのか、きちんと明文化します。

  2. 財務管理: 収益と費用を管理し、利益を最大化するための戦略を立てます。また、資金調達、投資計画、予算作成などの財務決定を行います。

  3. 運用管理: 企業の日々の業務を効率的に運営し、品質を維持・向上させるためのプロセスを監督します。

  4. 人事管理: 社員の雇用、評価、昇進、解雇などを決定します。また、労働環境や給与制度などの問題に対処します。

  5. リスク管理: 潜在的なリスクを予測し、それを回避、緩和、転送、または受け入れるための戦略を作成します。

  6. 顧客関係の管理: 顧客満足度を高め、ロイヤルティを築くための戦略を立てます。

  7. 製品やサービスの開発: 新製品やサービスの開発を監督し、市場のニーズに対応するためのイノベーションを推進します。

  8. マーケティングと広報: ブランドの価値を高め、製品やサービスを消費者に知らせるためのマーケティング戦略を策定します。

  9. 法的遵守: 法律や規制に対する遵守を確保し、法的な問題を解決します。

  10. ステークホルダーとのコミュニケーション: 株主、従業員、顧客、地域社会など、企業のステークホルダーとのコミュニケーションを保ちます。これには、ビジョンと目標を伝え、フィードバックを収集し、期待に応えるための行動をとることが含まれます。

このように、社長の仕事は多岐に渡ります。
大きな企業であれば、これらは複数いる役員で分担することができます。

でも、小さな会社の場合、いくら規模が小さいとはいえ、会社のこと、周辺のことまですべて、社長ひとりでこなさなくてはいけません。

まずは、簿記を知らなくても、これらのことを対処できるのであれば、特に問題はないでしょう。

しかし、事業をする上で、失敗してしまったとき、大抵の問題は、
「財務・会計」を把握していなかったことによります。

上手くいっているときは、なんとかなっても、困ったときに、自分でコントロールできないと、原因も分からず、対処が後手後手になってしまう社長さんもいらっしゃいました。

みなさん、共通していたことが、「簿記・経理」を知らなかったということでした。

簿記を知らないと困ること


簿記を知らないと、どのようなことになるのでしょうか。

上手くいっているときは、気にならないけど、簿記を知っていれば対処できるものをいくつか上げてみます。

  1. 財務分析能力: 自分の会社の預貯金だけではなく、借り入れなどの負債とのバランスから、自社の財務が安定しているかどうか、判断することができます。

  2. コスト管理: どれだけ、利益を残せるか、日々の取引で適正金額かどうか、チェックすることができる。

  3. 予算策定: 事業計画に対する予算を策定し、その実行を追跡する能力が向上します。

  4. 資金調達:運営資金の借り入れが適正かどうか、チェックします。これができることで、金融機関などからの信頼が高まります。

  5. 価格設定: 商品やサービスのコストを理解し、適切な価格設定が可能となり、利益を最大化することができます。

  6. キャッシュフロー管理: キャッシュフローを予測し、適時に資金繰りを行い、企業の健全な運営を維持することができます。

  7. リスク管理: 財務リスクを理解し、売掛金回収が上手くできていない会社があるかどうか、借入金返済ができるかどうか、チェックできます。

  8. 投資決定: 新規事業や設備投資などの意思決定時に、おおいに役立ちます。何を買うのか。いつ買うのか。いくら投資するのか。これらはすべて

  9. 税務対策: 税金の計算方法を理解し、適切な税務対策を立てることができます。

  10. 経営意思決定: 全般的に、経営の意思決定が事実に基づいて行われ、経営効率と企業価値を最大化することに貢献します。

このように、財務諸表でいえば、「貸借対照表」が、正しく読めるかどうかが、今後会社経営を安全に進めることができるかどうかの、分かれ道だと考えています。

大きな会社なら、この財務諸表を読めることができれば、問題ありません。

しかし、小さな会社の場合、一つ一つの取引から仕訳を起こしていることで、現在進行形で、取引に問題がないかどうか、知ることができるのです。
これこそ、小さい会社の強みなのです。

小さな会社の社長こそ、簿記を知ることで、大きな会社の意思決定スピードよりはるか早く、経営判断をすることができるのです。

簿記を知らないのは、もったいないと思いませんか。

中小企業の経営者におすすめの簿記の勉強法

では、忙しい会社の社長ができる、簿記の勉強方法について、いくつかご紹介しましょう。


顧問税理士から教わる

まずは、専門家から教わるのが一番てっとり早いです。
社長のことを一番に理解している存在で、社長にわかりやすく現状を解説してもらうことができます。

しかし、デメリットもあります。
それは、顧問税理士自体、時間に余裕が無いという点です。

税理士は、社長ひとりだけについてもらっているわけではありません。
財務諸表の読み方まで、懇切丁寧に教えてもらうことは、ほぼないと思ったほうがいいでしょう。

税理士の仕事は、税務をもとに、税金計算をする仕事です。
日本の税制は、とても複雑で、専門家でさえ間違えやすいものもあるのです。
それに気をつけて、かつ、より有利な方法で計算することが仕事だと考えています。
社長の経営が上手くいくこと、財務諸表が読めるようになることは、2の次3の次だと思っている人が多いのです。


You Tubeから勉強する

今、無料で経理や簿記の解説をしているチャンネルがたくさんあります。
You Tubeで検索をかければ、たくさん出てくるでしょう。

お金に関わるテーマは、多岐に渡ります。
社長は、ついつい、お金を増やすお話しには興味を持ちますが、
地道な簿記の話となると、とたんに興味を失せてしまいがちです。

しかし、YouTuberは、少しでも視聴時間を稼ぐために、わかりやすい内容で発信しているものがいくつかあります。

自分にあったチャンネルを見つけて、まずは簿記の必要性を実感してみるところから、始めてみてはいかがでしょう。

簿記3級をひっそり受験する

ひっそりと、簿記3級を受験するという方法があります。
これが、一番、確実に簿記を知ることになります。

そして、今は無料で簿記検定講習をするサイトも生まれました。
「cpa leaning(CPAラーニング)」

お金をかけずに、まずは勉強できるので、非常におすすめです。
(タダで勉強できるのに、それなりのからくりがあることは承知しておきましょう)

ただし、これにもデメリットがあります。
勉強時間を作る必要があるからです。

社長はただでさえ、忙しい人です。
勉強するかわりに、ひとりでも多くの取引先とコミュニケーションを取る必要があります。

ただ、起業前に時間があるときに、すでに勉強して簿記資格を取得することもできます。
今のご自身の立場と時間がどうなのか。
それによって、判断していただければと。


自分で経理をする

社長にとって、一番簿記を勉強しやすい方法は、自分で経理をすることです。

人に任すのではなく、あくまでも自分で経理をします。
大きな会社なら、経理専門家集団を構成しますが、小さな会社なら、自分でやることをおすすめしています。

自分でやると、わかること。

  • ひとつひとつの取引の仕訳がわかる。

  • 会計ソフトの扱い方を知る。

  • 会計ソフトから出力できる財務諸表(残高試算表)を読む。

  • 肌感覚で、自分の財務状況を知ることができる。

  • 税理士が解説する言葉の意味を、より知ることができる。

  • 経理事務を通して、税務の手続きを肌で知ることが出来る。

これらを、仕事を通して自分で行うことで、改めて時間を作って勉強をすることなく、経理や簿記を知ることができるようになります。

そして、自分で経理をすることで、会社事務の効率化を、自分の問題として捉えることができます。
どうせやるなら、効率よくこなしたい!
と思うのは、当然です。
もし、経理を人に頼んでいたら、そこまで自分の問題として考えることはないでしょう。
しかし、ゆくゆくは、会社の事務効率を大きく左右する、最初の第一歩でもあります。


小さな会社の社長が簿記を知る理想形とは

会社を始める前に、まずは簿記を勉強してみませんか。
できたら、簿記3級は取得できれば、ほぼ問題ないでしょう。

そして、会社を始めた頃は、自分で経理をするのです。
この間に、自分の仕事にとって、一番最適な経理方法を決めます。

簿記を知っているのと、知らないのでは、経営の仕方に大きく影響を与えます。
この処理はいいのに、なぜ、あの処理だといけないのか。
この理由を知っているのと知らないのでは、経営リスクをコントロールに差が生まれます。

私は、最初に知るべき簿記のしくみについて、セミナーとして発信しています。
まずは、簿記の勉強のお試しとして、おすすめしています。

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