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「知覚させるかたち」 中西洋人氏個展 京都千總ギャラリー 神々しい木の姿の美しさを堪能

正直にお話をしますと、この展示をお目当てに訪れたのではなく、訪れるまで中西さんという作家を存じ上げませんでした。であるからこそ、その偶然の出会いに喜びも深くなるのでした。一期一会かセレンディピティか。

場所は京都の三条烏丸にある千總ギャラリー。帰郷にあわせたお目当ては、同ギャラリーで同時開催されている「見えない水を見る」と題された展示の中の円山応挙さんの保津川図でした。
ところが、その手前のスペースに並べられた木彫の作品群にまず吸い寄せられたのでした。

私は森が好きです。枝を張る木々の姿だけではなく、その根や枯れた倒木になぜか昔から心を惹かれます。そんな私の目の前に展示されていたのが、倒木の風情を残しつつ木目も鮮やかに生命力溢れた緊張感をまとった作品群でした。

何なのでしょう。この気高い空気感は。

日本では長い年月を重ねた古木に注連縄を張り霊木として崇める風習があります。人間や動物だけではなく、植物も神さんなるのです。このプリミティブな感性を育んだのは、間違いなく日本固有の風土だと思います。
中西氏の作品群には注連縄を張られた古木のように首を垂れさせ畏れさせる何かを感じます。私だけかもしれませんけれど。。

その空気感に触れていると、こちらも厳かに静やかな心を保てるよう。

あくまでも私の好みの故にこれほど感銘を受けたのかもしれませんが、お近くを訪れられる際には、是非とも美しい部屋にゆったりと置かれた作品群に触れてみてください。展示は9月18日月曜日まで。火・水はお休みで、入場可能時間は10時から17時まで。無料です。

奥の屏風の部屋は撮影不可ですが、手前の中西氏の展示スペースは撮影可でした。

もちろん、お目当ての円山応挙さんの保津川図も鑑賞。
大きくうねる水の流れの速さを感じ、吸い込まれそうな名作。
右隻と左隻を意図的に対面に展示し、その空間に居るかのような演出をされているとのことでした。ただ、私はやはりこの作品は左右に並べた姿の方が良いように思いました。ご覧になる方はどのようにお感じになるでしょうか?
他に吉村孝敬氏作「水辺群鶴図」、岸竹堂氏作「梅図」も展示されています。

こちらの屏風の展示は9月25日月曜日まで。同じく無料です。

祇園祭は屏風祭とも言われており、その始まりの7月から展示が始まっていたようです。その余韻が残る蒸し暑さの厳しい京都。冷房の効いた静かな空間で、目にも涼やかな水の流れを楽しんでみられては如何でしょう?

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