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花の当たり年と裏年を思う

例年ですと、新緑で山が笑い転げている頃からしばらくは、私は白八汐(しろやしお)こと五葉躑躅(ごようつつじ)で浮かれています。noteで振り返ってみると、昨年などは短期間に2回も白八汐について書いています。

我ながら本当に好きだなと呆れるほど。
しかし今年は白八汐の花見には足を向けようとしないまま花期を過ぎようとしています。理由は今年が徹底した白八汐の裏年だから。
昨年はまた躑躅系の花が全般的に数十年に一度と言われる当たり年で、その中でも白八汐の狂ったような絢爛たる咲きぶりは、少し妖しい怖さも感じるほど。
それが私が訪れた丹沢畦ヶ丸、奥多摩七跳山だけではなく、知るだけでも那須、奥日光、はるか西の鈴鹿の竜ヶ岳などいずれも同様の見事さでした。

2023円の丹沢畦ヶ丸
2003年の奥多摩七跳山

それが、今年は徹底した裏年。
白八汐以外のツツジ系ではアカヤシオやミツバツツジ、ヤマツツジは花数が少ないもののそれなりに咲いているのです。

今年の鳴神山のアカヤシオ
今年の赤城山のミツバツツジ
今年の赤城山のヤマツツジ

ところが、白八汐はどうかと馴染みの山のSNSサイトなどで多くの場所のレポートを見ても、例えば上の白八汐で覆われた真っ白な木の中で、五、六輪花が咲いている程度、しかもその花の一輪一輪が傷んでいるものが多いという有様。下の写真の昨年の花のような瑞々しさがありません。

2023年の丹沢畦ヶ丸の白八汐

昨年あれだけ力を使い果たしたのだからそれは生命力も枯渇しているよね。今年はゆっくりお休みくださいと、昨年の写真を眺めてその余韻を呼び覚ましつつ、今年はどこにも訪れなかったのでした。

白八汐だけではなく、裏年なのは石楠花(シャクナゲ)も同様の模様。とはいえ、白八汐ほどはシャクナゲを偏愛していない(失礼)私は、先週土曜日5月25日に、度々この時期に訪れている奥秩父は十文字峠を訪れました。
タイトル写真と下の写真はその折のもの。

十文字峠のハクサンシャクナゲ(2024年5月25日)
十文字峠のアズマシャクナゲ(2024年5月25日)

そこで改めて考えたのです。
当たり年と裏年があるのは何となく分かります。調べてみると隔年開花(かくねんかいか)、或いはマストイヤリングと呼ばれる現象のようです。
私のような素人が考えても、エネルギーの蓄積と消費は起こるだろうと思えますし、実際にそれも要因の一つのようです。その他、ホルモンの調整、捕食者飽和戦略も要因として挙げられる模様。
しかし、
それが何故、高度や気温、降雨量、日照条件も異なる日本全国で同時に発生するのか。隔年開花であっても、那須で当たり年でも竜ヶ岳で裏年ということがあっても良さそうです。エルニーニョ等で全国的に気象の傾向が似る可能性があるとしても。しかも染井吉野のようなクローンではなく、実生の木々で、全く同じ現象になるのはなぜか。まるで見えないネットワークで情報を共有し、今年の計画を立てているようです。これらの現象は同調と呼ばれるようです。少し調べてみましたが、私の頭ではすっきりと納得できるような説明が見つけられませんでした。
ダラダラと駄文を連ねていながら、結論は「分かりません」で申し訳ありません。。
大好きなシラビソとコメツガの森で、その薫香を胸いっぱいに吸い込みながら森を逍遥し、

奥秩父 三宝山の森
奥秩父 三宝山の森

そしてお気に入りの苔の水辺でしばし座り込んで見入りながら、花の裏年と当たり年に想いを馳せていたのでした。

千曲川源流域のお気に入りの苔の水辺

思索とも言えない妄想に心地よい週末を過ごしました。
落ちの無い話ですみません。そしてお付き合い頂き有難うございました。

追伸:同じルートを歩いたnoteを2年前にも書いていました。
   ルーティーンのようになっています。心の安定剤。


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