寄付がもっと「ふつう」になったらいいな
昔は「寄付」という言葉を聞くと「街頭募金」のようなイメージが思い浮かびましたが、今はインターネットを通じて行うことが多くなりました。
クラウドファンディング型で行われているものもありますよね。寄付額に応じてリターン品が設定されているものも見かけます。
賛否両論いろいろあるでしょうが、個人的にはとても良い変化だと受け止めています。どこにいても、いつでも気軽に手軽に参加できるようになったからです。
▼寄付に対する戸惑い
学生時代の研究テーマが「チャリティーとボランティア」だったので、「寄付」という言葉にはわりと馴染みがありました。また、いわゆる途上国と呼ばれる国や地域に訪れる機会も多かったので、寄付については考えさせられる機会が多かったです。
当時はよく悩んでいました。
「お金を渡すだけでいいのだろうか?」
「それって課題解決に本当につながる?」
「お金で解決しようとしていない?」
海外で活動するNGOや地域の孤児院、慈善事業などを訪れる中、うまくいっている例だけでなく、失敗例や悪徳ビジネスみたいな例も目にしていたため、何が正解かわかりませんでした。
▼善意が善行を保障するとは限らない
一時期はそんな風に考えていたので、「よし、ボランティア活動で直接現地に貢献しよう!」と意気込んでいたこともあります。
でも、実はそれもなかなかうまくいきません。
よくよく考えてみれば分かることなのですが、よほどのプロフェッショナルや専門家でない限り、素人が現地で即戦力になれることなんてありません。
ボランティアスタッフを受け入れる側にだって、表に見えない部分で色々な負担がかかります。「善意が善行を保障するとは限らない」とかつての恩師に言われたのを今でも覚えています。
もちろん、ボランティア活動に参加すること自体を否定するつもりは一切ありません。素晴らしい行いだと思っています。
一口に「ボランティア活動」と言っても、その目的や活動内容も様々ですよね。中には、誰でも気軽に参加できる活動もありますし、一方でしっかりと準備をし、責任を持って臨まなければならないものもあります。
色々な国での経験を通して、「どうやらボランティア活動だけでは、うまくいかないこともあるらしい」ということをわたしは学びました。
▼寄付を通してできること
上記の経験から「やっぱりお金って大事だな…」ということも改めて実感。寄付に対するイメージがだいぶ変わりました。
そこにいる人々や活動を応援したいと思っても、自分の持つ資源や能力には限界があります。それならば、自分の想いを「寄付」という形で誰かに託してもいいのではないか……。
この考え方は、自分の中に案外ストンと収まりました。
機会があれば行動で応援することもしたいなと思っていますが、少なくとも今の自分にとっては寄付や買い物を通して支援する方法が一番しっくりきます。
もちろん「何でもかんでも」という訳にはいかないので、知ろうとする努力は大切です。
その点、クラウドファンディングのような仕組みは良いなと思っています。ミッションや使用目的が明記されていて、活動報告がきちんと送られてきます。情報がオープンにされていれば、信頼して託すことが可能です。
オンラインで手軽に決済できる、という点も海外在住者にはありがたいシステムです。オンライン決済が可能なら、クラウドファンディングのサイトを通さず、直接寄付することもあります。
▼「恩送り」という考え方
先日、「NPO法人 earth tree」さんのクラウドファンディングに参加させていただきました。
カンボジアは個人的にとても縁のある国なので、こうした活動を応援したいなと思っています。メールで届いた活動報告も楽しみながら読ませてもらいました。間接的にでも、こうした活動の一助になれたらとてもうれしいです。
わたしは「恩送り」という言葉が好きです。
似た言葉である「恩返し」は「返すこと」が前提ですが、「恩送り」は直接相手に返すのではなく、次の誰かに「恩」を渡していくという考え方です。まるでリレーのバトンのように、「恩」を繋いでいきます。
「恩返し」は二者間で完結してしまいますが、「恩送り」はその輪をさらに広げいくことができます。
「寄付」というあり方も、この「恩送り」の一つではないでしょうか。
お金にはいろいろな使い方がありますが、そのうちの一つとして、寄付がもっと身近なものになったらいいなと思います。
そのためにも、まずは「知る」ことが大切です。
「〇〇の活動を応援したいな」と思ったら、関連する団体を調べてみる。
最近はインターネットで活動内容をきちんと公開しているところが多く、参考になる情報がたくさん掲載されています。
「よーし、寄付するぞ!」と意気込む必要はないので、いろいろな情報を見ていくうちに「応援したいな」と思える活動に出会ったときに、寄付について考えてみたら良いのではないでしょうか。もちろん、寄付だけでなく商品購入という選択肢だってあります。
貧乏学生だった頃はそんな余裕もありませんでしたが、年齢を重ねてそんなふうに考えられるようになりました。
自分なりの方法で、今まで自分が受けてきた恩を少しずつ世の中に還元していけたら嬉しいなと思っています。
みな
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