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Facebook Libraの概要を2分で

FacebookのLibraの意義や社会への影響などについて多くの議論が起こっていますが、「Libraそのものについてしっかり理解しないうちに世間の議論が先行してしまって今さら基本的なことを聞けない・・・」という方もいるのではないでしょうか。

そんな方の為に、以下の項目に分けて概要を整理しました。
1. Libraの目的、解決策 
2. Libraブロックチェーン
3. Libra Investment Token、Libra Reserve、 Libra Coin
4. Libra協会 
5. デジタルアイデンティティ(ID)構想
6. Libra Coin対応ウォレット Calibra

1. Libraの目的、解決策 
現在、世界中で17億人が銀行を利用できず、金融システムの恩恵を受けていません。現状の金融サービスは、未だインターネット革命を十分に活用できていないと言えます。Libraの目的は、金融包摂(Financial Inclusion、経済活動に必要な金融サービスを全ての人が利用できるようにする取組)を推進することです。
Libraはこれに対する解決策を提示するものです。インターネット上でブロックチェーンを基盤とし、銀行預金・短期国債の担保を裏付けとした価格の安定しているStable CoinとしてのLibra Coinを2020年前半に運用開始する予定です。Facebook 自体でなくLibra協会が運営し、独立性を担保するとしています。また、オープンなデジタルID規格を開発し金融包摂を支える基盤を用意します。さらに、Facebookの子会社CalibraがLibra用のウォレットを開発し、ユーザーにとっての金融サービスの窓口を担うとしていています。

2. Libraブロックチェーン
Facebookはスマートコントラクト可能なプログラミング言語Moveを開発し、Libraをスマートコントラクトが利用できる所謂プログラマブルマネーにします。ブロックチェーンの合意アプローチとしては、BFT (ビザンチン・フォールト・トレランス)を使用し、「許可型」ブロックチェーンとして始めるが、5年以内に「非許可型」にすることを目標としています。(但し、未だソリューションがないとも述べています)。開始時点では、処理件数1,000件/秒、取引完了待時間10秒を予定しています。(因みに、ビットコイン処理件数は7件/秒、イーサリアムは15件/秒、VISAは数万件/秒)

3. Libra Investment Token、Libra Reserve、 Libra Coin
Libra協会のメンバーになった企業には投資金額と引換にLibra Investment Tokenが渡されます。資金はLibra Reserveに保管され、法定通貨や政府債等の低リスクアセットに投資されます。Libra Reserveの資産が生む利子は、システム経費をまかなうために使用されますが、余剰利益はLibra協会メンバーに配当として支払らわれます。このためLibra Investment Tokenは、証券性を有するSecurity Tokenと言えます。
LibraのユーザーはLibra CoinをLibraの時価レートで認定業者から購入します。Libra Coin はLibra Reserve資産の裏付けがあることから、価格の安定している一種のStable coinと言えます。尚、LibraユーザーはLibra Reserveからの利益を受け取りません。

4. Libra協会 
Libra協会のメンバーは、最低$10Millionを投資し、Libra Investment Tokensを受け取ります(但し、非営利団体の場合は投資不要)。創設時は28社ですが、2020年前半には100社にする計画です。メンバーになるには、以下3要件から2つ以上を満たす必要があります。(1)企業評価額$1Billion、または$500Millionの顧客資産を持つこと。(2)2000万人程度のグローバルユーザーにリーチできるプロダクトを有する。(3)S&P1200、Fortune500などの指標で評価されている企業。
Libra協会の運営は、協会メンバーによって構成されるLibra協会評議会が行い、初期の評議会は創立メンバーで形成されます。重大決定や技術的決定には、票数の3分の2が必要です。協会は、Libra Reserveの管理機能も担い、Reserve運用ポリシーは協会メンバーの圧倒的多数でのみ変更可能です。また、認定再販業者はLibra CoinをReserveにバスケット時価で売却可であるため、Reserveは「最後の買い手」として機能し、Libra Coinを鋳造 (作成)およびバーン (破壊)できる唯一の存在です。Libra Coinは、認定再販業者が、裏付法定通貨資産と引換に協会からCoinを購入することで鋳造(作成)され、認定再販業者が、裏付資産と引換に協会にCoinを販売することでバーン(破壊)されます。

5. デジタルアイデンティティ(ID)構想
Libraが、世界中の人々のための効率的な取引手段として機能を果たし、金融包摂を達成するためには、デジタルアイデンティティの整備が必要不可欠です。Libraは、分散型でポータブルなデジタルIDを用意するとしていますが、詳細は現状明示されていません。

6. Libra Coin対応ウォレット Calibra
Facebookの子会社Calibra, Inc.が開発し、WhatsAppとMessengerに組み込まれる予定です。Libraネットワークをベースにした決済、送金、ローン、その他の金融サービスの窓口になることを狙っています。Libra独自の経済圏をつくることになります。Calibra, Inc.は、FinCEN(Financial Crimes Enforcement Network)による監督を受け、SNSデータと財務データの分離を保証するとしています。

いかがでしょうか。これらは概要的に纏めたものになりますので、詳細をもっと知りたい方は、こちらの原典(公式White Paper)に当たってみるのがいいと思います。

冒頭で述べたようにLiraの意義や社会への影響について様々な識者が議論を展開しています(私のコラムはこちら)ので、概要を理解した上で自ら考察してみるのも面白いでしょう。


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ハイテクベンチャーを十数社創業した連続起業家。2016年よりブロックチェーン関連の教育・起業支援に注力している。山形大学客員教授、早稲田大学MBA講師、慶應義塾大学SFC研究所上席所員。早稲田大学博士(ベンチャー論)、Wharton MBA、慶應義塾大学修士(メディアデザイン)。