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キューバ旅行記2日目その2

パスポートがない!

 私は旅行中、パスポートは常にチャックのついたズボンの左ポケットに入れることにしているが、今日はなぜだか左ポケットに最初から入っていない。なんかカメラバックに入れた気がする。冷や汗が止まらない。
 最初に乗ったセントラルパークには停留所が2箇所あるのでそこで前のバスに追いつけると思い、すぐに1つ後ろの周遊バスに乗り込み、先に行ってしまった周遊バスを追いかける。追いつければ幸い周遊バスには観光客しか乗ってこないのでバックを回収できる可能性が高い。

 セントラルパークに到着して自分が乗っているバスのプレートナンバーを確かめる。このバスがもう片方の停留所に戻ってくるまではバスを1つずつ調べて探す価値がある。停留所に止まるバスを1つ目2つ目と調べて行ったが、一向に見つからない。

 お終いだと諦めかけたその時、子供連れのピーナッツ売りのおばちゃんに話しかけられた。正直、そんな気分ではなかったが、気を落ち着かせるためにも少しお喋りをした。今までの経験上、暗い気持ちでは不幸が続き、笑顔でいれば運を引き寄せることができていたのでしばらく子供と遊んでバスを待つことにした。子供とだいぶ仲良くなって気分も落ち着いてきた頃、1台のバスがやってきた。中を調べてみると私のカメラバックがあった。奇跡だ。

 無事バックを回収し、宿に戻る途中、タバコ売りの黒人のおっちゃんに話しかけられる。アバナが僕を休ませてくれない。おっちゃん曰く、今日だけ葉巻が半額だから商品を見にきてくれと。今日だけ半額は絶対に嘘であると思ったが、葉巻には興味があったのでついて行くことにした。宿の近くの家に連れられ、葉巻の説明を受けた。とてもゴツい黒人3人に囲まれていたが不思議と危機感は感じなく、こいつらは大丈夫だと確信した。(正直こんな確信ほど当てにならないものはないので、海外で知らない人の家に上がるのはオススメしない。)値段も思ったより安くなかったので軽く断りを入れて宿に戻った。

 宿に戻ると昨日タクシーを一緒にシェアした日本人女性がリビングでくつろいでいた。昨日は旧市街から少し離れた所に泊まっていて宿を移動するとは聞いていたが、偶然にも同じ宿に来たみたいだ。
 キューバにはいわゆる日本人兼韓国人宿と呼ばれるカサ(民宿)が3件ある。1つは私が宿泊しているホアキナの家で、今日は10人ほどの日本人が宿泊している。残り2つはヨハンナの家とシオマラと呼ばれるカサで、大体の日本人バッパーはここに集まるため、昨日会った女性と宿で再開するのも不思議ではない。この女性、身長は私より少し高いく、メガネをかけた私好みの可愛らしい女性である。バックをなくして下がっていた気分が少し上がった。運を引き寄せてくれた少年に感謝する。

 宿では各街への移動手段も手配してくれる。私は次の日にビニャーレス渓谷というアバナから日帰りで行ける世界遺産に行きたかったため、宿のおやじ(カイロ)に予約をお願いした。タクシー往復40cucで、+10cuc運転手に払うと観光でまわってくれるみたいだ。先ほどの女性を誘って見るも、バラデロかトリニダードという他の街へ移動したいらしく、残念ながら断わられてしまった。

 少し休憩した後、宿にいた男性を誘って野球を見に行くことにした。野球を見るのはキューバに来た目的の1つでもある。野球の情報はガイドブックを見ても全く載っていないため宿のおやじ(カイロ)に情報を聞いてみた。おやじ曰く土日の15時くらいからやっているという。今日は土曜日、時間も16時過ぎとちょうどいいためスタジアムに向かうことにした。宿の近くにバスターミナルがあり、おやじから聞いた27番バスに乗ってスタジアムへ向かう。しばらく乗ってバスの運転手に野球場に向かうか聞いてみたところ行かないというため、旧市街の端で降りてスタジアム行きの8番バスを待つ。しかし、待てども待てども一向にバスが来る気配がなく、17時半を過ぎてしまったためそのまま歩いて帰ることにした。野球が見れなくて残念ではあったが、帰り道に食べた1cupのチョコレートアイスは美味であった。

 宿に戻ると1人の日本人男性と仲良くなった。彼は学生時代にスペイン語留学していた経験を活かし、現在は日系の商社に入ってメキシコで働いているらしいく、もちろんスペイン語が堪能であった。彼の仕事内容に私はとても興味があり(というのも私はもともと商社に勤めてみたかった。)、また彼も、インフラ整備をしている私の仕事に興味があるようで、話が弾んだ。色々話していると、どうやら彼は今日がキューバ旅行の最終日らしく、友人の外務省の方と19時から一緒に飲みに行くのだという。運良く私もご一緒させて頂くことになった。

 飲みに行く準備をしていると宿に新たな日本人女性がやってくる。今度の女性は小柄で、かぶっている麦わら帽子がよく似合う。私と同い年くらいだろうか、やはり可愛らしい私好みの女性であった。(私はメガネや帽子が似合う女性に弱い。)残念ながら今日はカサがいっぱいなため宿に泊まることはできないみたいだが、せっかくなのでビニャーレス一緒に行きませんかと誘っておいた。もう少しこの女性とお喋りをしていたかったが、19時になったので私は女性とは別れて、商社マンの男性と飲みに出かけた。

 向かったbarは旧市街のEL SHAMUSICA'Oという場所でハッピアワー(18時~20時)はドリンクは全て1cucと非常に安い。メインディッシュも3.5~4cucと良心的な値段で、私は野菜グラタンを注文した。

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 店員さんも若いキューバ人女性で愛想が良く、非常にリラックスした雰囲気で会話を楽しむことができた。私はせっかくの機会なので、外務省の方にキューバに関する疑問を聞いてみた。
「キューバ人の給料ってどうなっているんですかね。日本ではキューバの平均月収が1000円程度という報道がされていますが、本当でしょうか?」「確かに1000円程度の人もいるにはいるだろうけど全員が全員ってわけではないかな。基本的に公務員であれば大体40~80cuc(4500円~9000円)はもらっているんじゃないかな。仕事によって給料に差は出るみたいだけど」

 やはり、日本の報道は少し極端すぎるようだ。折角なのでもう1つ質問してみた。「そういえばカストロが死に、アメリカとの国交も回復に向かっている今、キューバが変わっていってしまうのではという噂があるのですがこれは本当なんでしょうか?」「う~ん、正直読めないけど今住んでる限りは変わる気配は殆ど無いよ。このまま変わらないんじゃないかな?マックやスタバが入って来たところでキューバ人が利用するとは思えないしね。」私もこの意見に賛成である。来る前まではキューバが変わってしまうという噂もあり、変わる前に行こうという感じだったが、実際来てみるとここの時間だけは本当に止まっているように思える。来て2日目のやつがなんだという気がするがそれはさて置き、キューバが社会主義国である以上まだまだこの古臭い感じの雰囲気は楽しむことができそうだ。

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