あの日、グレイテスト・ショーマンがぶっ刺さった。
「グレイテスト・ショーマン」がぶっ刺さったことがある。私の胸に。
2018年の春、私はひとりでお台場の映画館に行き、「グレイテスト・ショーマン」を観た。衝撃を受けた。一本の映画の中に、たくさんのドラマが詰まっていた。そして私は思った。サーカス団のような組織って、実は最高なんじゃないかと。
1人1人の個性を活かして、全体のパフォーマンスを完成させる。一癖も二癖もあるようなメンバーだ。団長がリーダーシップを発揮し、皆が同じ方向を向く。一度は道を踏み外すが、仲間はそれを許す。そしてより強い絆を結ぶ。
2年以上も前のことだけど、時々思い出してしまう。あの日観た興奮を。当時はいちマネージャーで、チームの悩みもあった。そんな私の胸に、「グレイテスト・ショーマン」はえぐいほど刺さった。
私はマネジメントが得意な方ではない。どちらかといえばプレイヤータイプだ。だから正直、人を巻き込むことで大きなことを成し遂げられるとか、1人でできることには限界があるとか、あまり理解ができなかった。自分ができることは自分でやった方が早い。そういう人間だった。
でも、映画館で私は思った。こういうことかと。1人じゃ生み出せない感動を、全員で作るパフォーマンスを、なんとなくわかったような気がした。衝撃が個人のそれと比ではないのだ。それ以来、私にとっての最高のチームとは、サーカス団のようなチームだと思うようになった。
歌が得意なメンバー、ロープが得意なメンバー、空中ブランコ、見た目に特徴があるメンバー、などなど、みんな強みもあれば弱みもある。1人も欠けてはいけない。映画の中で主人公は言う。「みんな違うから輝くんだ(No one ever made a difference by being like everyone else)」と。
そんなメンバーたちが、もれなくみんな楽しそうにしているのが良い。そういう組織を作りたいと強く思った。
また、私自身もメンバーの1人。全体のパフォーマンスをあげるために、役割を担う。何が一番貢献できるのかを考えて、やりきらねばならない。個の自分を立てつつも、周囲と調和して、最高のアウトプットを生み出していく。
しかし、言うは易し行うは難し。人は忘れる生き物だ。だから私は、定期的にサントラを聞いて思い出している。作業するときの最高のBGMである。特に年末の振り返りの時期には、反省することも多い。自分はいいチームを作れていたのかと。
正直いうと、全くできていない年の方が多い。だからサントラを聴きながら、来年こそはと誓いを立てる。なぜだろう、さっきからサントラっていうとすごく軽く聞こえるが、結構本気でそう思っている。
この記事を書いたのも、一年を振り返って、「グレイテスト・ショーマン」のサントラを聞いていて、「ああ、サーカスっていいな。」と思ったからだ。あと本当にたまたまなのだが、最近CMやってるうちの会社のサービス名が「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)」なので、思い出しやすくなっているのかもしれない。やってみなサーカス。
冗談はさておき、サーカスに限らず舞台やショーを観ていると、リーダーシップの大切さを実感する。強い想いがあり、それについてくるメンバーがいる。その想いの強さゆえにぶつかったりもするけれど、最終的には同じ方向を向き、1つの作品を作り上げる。他の組織には真似できないような、異常なパワーを生み、人を動かす。その積み重ねで、想像もつかなかったところへ到達できる。
そのためにまずは、譲れない想いとそれを体現する熱量を持つこと。リーダーシップとは、そこから始まる。来年の抱負を考える時は、どうしても「何をするか」「何を目指すか」から考えてしまうけど、「なぜ目指すか」「どうしてやりたいのか」から考えた方が、正しい気がする。
あの日ぶっ刺さった「グレイテスト・ショーマン」は、まだ私の胸の中にある。そろそろ一皮向けないと、そのまま腐って無くなりそうだ。殻を破ろう。そんなことを思う師走の終わり。来年の課題は、リーダーシップだと思う。強い想いを、譲れない物を、しっかりと持って、引っ張っていく。
最後に、「グレイテスト・ショーマン」の中で私が最高に好きなフレーズでこの記事を締めたい。
「最も崇高な芸術とは 人を幸せにすることだ」
心の底からそう思う。
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