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地鶏の白子!?「甲州地どり」の魅力

『なるほど!畜産現場4』養鶏編の後編。前回は、鳥の種類について、代表的な地鶏の特徴、最後は江戸からの伝統を受け継ぐ特殊なブランド鶏「東京しゃも」の取材から親子丼づくりまで駆け足で参りました。

みなさん!もう、「地鶏」と「銘柄鶏」の違いは答えられるようになりましたか?答えは前回の記事を参照してください!

さて、今回の取材先は下記の3つ!

家畜改良センター兵庫牧場
甲州地どり生産組合
甲州地どり庵「一π(いっぱい)」

と、このように甲州地どりについて追っかけました!一番上の兵庫牧場は甲州地どりの生産に必要な国産鶏種の種鳥の育種改良・配給をしている機関です。

オンエアの流れ
①その国産鶏種とは何か
②甲州地どりの鶏舎の様子
③甲州地どりのお肉の解体の様子
④甲州地どりを使った最高の料理!

見どころを2つ選びます!1つは②の鶏舎での取材で聞いたお話。甲州地どりの生産を始めてから数年間は値段が高価なため、販売が上手くいきませんでした。しかし!とある漫画がきっかけとなり甲州地どりの人気度が右肩上がり!その漫画とは??

続いて、③の甲州地どりの解体の場面。これはなかなかの衝撃映像でもしかすると生々しい場面が苦手な方は「うっ」となるかも。いや、しかし、日頃僕らが食べている鶏肉を食べやすく切ってくださる生産者の凄みを見ました!せっかくですから、これ以上のネタバレはせず。ぜひ、オンエアをご覧ください!

本記事では少し取材内容をまとめますが、お勉強ばかりでは疲れてしまいますよね。学術的な部分は最小限にし、取材の裏話を中心に綴ります!

国産鶏種ってなんだ!?

とはいえ、新しい用語「国産鶏種」が出てきたので整理しましょう。地鶏、銘柄鶏、ブロイラーとは何が違うんだろう?

国産鶏種
日本国内で育種改良された鶏、およびこれらから生産された肉用鶏

ブロイラーそのものは海外から輸入される鶏種。その安さゆえ、現状、日本において流通する鶏肉の98%が外国鶏種の鶏肉だと言われています。しかし、日本の風土にあった国産鶏種の開発の必要性があり、家畜改良センター兵庫牧場では育種改良を行っています。

さて、この育種改良とは何のために行うのか。良質で安価で高い生産性を持つ鶏肉を生産するために行います。しかし、1つの種類の鶏が生まれた時点で既にそのすべてを網羅できるわけではありません。したがって、「大きいお肉になりやすい(産肉性)」、「美味しい(肉質)」、「卵をたくさん産み供給量を増やしやすい(産卵性)」という条件を一気に満たすため、それぞれの特徴を持つ異なる種類の鶏を交配するのです。

こうして育種改良によって生産性向上に適した鶏たちが地方自治体などを通じて生産農家へ渡ります。そして、今度は生産農家の抱える在来種などの別の鶏と交配させることでオリジナルの地鶏が、飼養管理などに工夫を加えた銘柄鶏が効率的に生産されるのです。

つまり、国産鶏種は地鶏や銘柄鶏の素材となる種。BtoB商品とも言えるのではないでしょうか(間違っていたらすみません)。一般的に消費者が食べる鶏肉の種類のことを指すブロイラーや地鶏、銘柄鶏よりももっと大きいカテゴリーです。

そして、甲州地どりこそ兵庫牧場で生産された国産鶏種「はりま」を素材として利用した地鶏の一例なのです!

甲州地どりを盛り上げた漫画(ネタバレ)

ということで、甲州地どりの鶏舎と小売店に取材先を移したのであります。特筆すべき点として、甲州地どりの年齢に合わせて鶏舎が区分けされているんですが、年齢に応じて見た目も鳴き声も変化するんです!ここは映像で見ていただくとしましょう!章題からリンク飛べます!

こちらでは、そんな甲州地どりがなかなか売れなかった頃から一変して人気になるきっかけの漫画を紹介。その漫画とは……『美味しんぼ』!

実際に見つけました!

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『美味しんぼ』80巻「日本全国味めぐり・山梨編」の1コマです。

生産者の加藤政彦さんの描写が!これは架空の人物ではありません。実在、というか僕がお話を聞いていた生産者の方ですよ!すご!

そして、読みました。ちゃんと作中でも甲州地どりの概要や国産鶏種の説明もありましたね。驚くのは、経営に不安があった当時も美味しんぼでヒットした後も飼育方法などが変わっていない点です!結果が出るまで信じて同じ方法を続けていたんですね。

エンターテイメントが現実の世界の食品をフックアップできるなんて、表現者冥利に尽きるなと感じました。

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そして、小売店へ!ここには甲州地どりを使ったお肉や加工品、そしてジャムなど近隣の畜産物も販売。地産地消のコンセプトが現れています。芸能人も訪れていてなんと事務所ニチエンプロダクションの先輩、テツ&トモさんのサインが!この関係性、実は知ってる人は少ないでしょう。昔、テツ&トモさんが出演したエンタの神様にバックダンサーで出演したことあるんですよ。余談でした。

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それだけでなく、解体もこちらで行われているのです。
頭が残っていて顔がはっきりわかるため、厳かさを感じます。命から食材へのグラデーション。僕自身はこういった現場は食を知るうえで重要と感じております。敬意も忘れず。この肉厚な地鶏をスルスルと切れる包丁も凄まじいなと思いますね。

カメラマンが肩を落とした!甲州地どりの白子

最後は、甲州地どりのお肉をふんだんに使った日本料理を提供する『一π(いっぱい)』。隠れ家的な場所にあって、知ってる人だけがガッチリ得をする素晴らしいレストランです。食べログをば。

これは映像でご覧いただくしかないですよ!マジで美味すぎました!そして、値段もちょうど良く、これだけ美味しいならリーズナブルと思うほど。

とりわけ、甲州地どりの料理の中で特殊だったのが、「白子」!みなさん、お魚の白子は聞いたことありますよね?そして、苦手な人もいらっしゃるかも。僕も、好んで魚の白子は食べません。でもでも!これ社交辞令じゃなくて、ホントにこの甲州地どりの白子は美味い!!白子を考え直すきっかけになります。

そして、何よりもサイズがデカイんですね!デカい。ここでこんなエピソードが。

僕らは取材に行くと、そういった食べ物だけを撮影して場面に挿入する「インサート」撮影というのをします。店員さんに差し出されたメニューを食べる前に。

その時に、じっと数秒間、カメラを回している間に、カメラマンさんが

「(ため息)う〜わヤベェ…俺のよりデケェ」


って言ったんです。いや、なにワケわかんないこと言ってんスか!
これから食べるのに。

すると、店員さんが言いました。

「男性の方は、ショックを受けて帰られる方が多いです。」

でしょうね…。

そんな魅力的な甲州地どりの魅力と生産者たちの努力、ぜひ、ご覧ください!


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