展示用GraftinCraftin

木からロボットを「収穫」する未来

追記: コロナウイルスを懸念して出展を中止する運びとなりました!作品説明だけさせてください!
供養っす。

この記事では展示コンセプト、ならびに自分の出展作品の説明をします!

展示コンセプト:Alternative Beings

今回、橋田研のテーマは "Alternative Beings ~76億の生ではモノ足りない~"。どういった内容なのか、コンセプト文を自分が担当したので引用します。

人類は永きに渡り,他の生物や自然,果ては自分とは異なる部族の犠牲の上に文明を構築・発展させてきました.しかし,気候変動をはじめ機人間中心的な営みにより引き起こされる負の影響を受け,人類はこれからどうあるべきか,再定義が迫られています.もはや「進化」や「革新」といった観念に囚われて他者を駆逐し,外部世界を支配するのではなく,すべての生命や自然環境によって成り立つ均衡を尊重し,そのなかで変容する生命の在り方を受け入れるべきではないでしょうか.
橋田研究室では,これまで人の便利・快適な生活のための技術ではなく,人に自分自身の在り方や他者との関係性を意識的に問うきっかけを作る,まだ見ぬ生命体に思いを馳せる機会を作るテクノロジーやデザインを模索してきました.本展示ではその一環として,身の回りの自然物・人工物そして人自身をじっくりと観察し,その副次的な機能や特徴を僅かに引き出すことで,新たな生き物を感じさせる試みや, 人と外部世界との関わり方をたおやかに変える試みを紹介します.これらの作品は学生それぞれがインキュベーターのように, 自身の内で孵化するまで抱卵した異端な外来種たちと言えるかもしれません.

それぞれの研究生が異なる分野(デザインとか、人工生命とか)で研究を進行させているので、ひとくくりで説明するのは難しいですが、どのような手法であっても今ある社会問題を直接解決するのではなく、「便利のその先」にある未知領域にテクノロジーで探求しています。新しい表現、新しいサービス、とにかく新しさを求められて日々研究しています。

上のコンセプト文は『サピエンス全史』を読んだ影響にありますが、人間中心的ではなく、他の生物を中心に据えて人間はその円周を取り囲むべきなのではという個人的な思いを反映させました。そのため、今までにないモノの見方を提示したり、生物らしい人工物の制作などを研究室の取り組みとして強調しました。

では、自分はなにを展示するのか。に、移ります!


Graftin' Craftin':収穫可能なロボット製造を目指した接ぎ木・誘引を用いたファブリケーション技術

自分の出展作品は修士の研究を紹介したいと思っています。
意味わかんないタイトルですよね。スライドとともにお話しします。

「接ぎ木」という園芸手法はご存知でしょうか?これは、異なる植物体の枝同士をくっつけて一つにするというものです。植物って樹皮が剥がされるとカサブタを作るように癒合作用をもたらすんですね。その時に別の枝の形成層どうしを合わせると、カサブタどうしが活着して繋がります。これによって、互いの植物のいいとこ取りができるので品種改良ができるんです。ちなみに、みなさんが食べているキュウリの9割がカボチャを土台にした接ぎ木でできているんですよ!

続いて、「誘引」というのはアサガオを支柱に巻きつけるように所望の方向へ生長させるために植物を曲げる園芸技術です。ワイン畑のブドウとか、ツル科の植物によく使われていますね。また、盆栽や生花においてハリガネで植物を曲げることもあります。

自分の研究はこれらの園芸手法に着目して植物を利用した「ものづくり技術」を提案することです!接ぎ木によって枝をつなぎ合わせて立体物を作り、誘引によって好きな形状に折り曲げることができたら、植物を育てながら好きなものをつくれて、尚且つ環境に優しいのではないかと考えています。

ただ、その取り組みはもうやられてるんです!!Full Grownでは、接ぎ木と誘引で柳の木を育てながら数年かけてイスなどの家具を作って販売しています。じゃあ、この人たちは静的なモノを作っている。ならば、ダイナミックに動くロボットやからくりを作ったら新規性あるかな〜と思い、今取り組んでいます。

今の目標です!最終的にはやはり植物のみで構成されるロボットが良いので、トコトコおもちゃとして認知されている「受動歩行機」の制作を目指しています。展示では、実際に接ぎ木は施していないモックアップになりますが、この冬、植物の細胞活着が活発になる時期を正念場と捉え、まあつまり、頑張ります!

ぜひ、仕上がった樹木ロボをお見せできる日に期待してください!
っざした!

展示やイベントレポート、ブックレビューなどを通じて、アート・テクノロジーなど幅広いジャンルを扱った記事を書こうと思います。また、役者としても活動しているので劇場などでお声がけさせてください!