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「バンドル」がマーケティングのキーワードになっている

初めまして。服部です。

デジタル広告やマーケティングに関わって8年目になり、これからは言葉でも自分の考えや思いを残していこうと思い、noteをスタートしました。主には広告やマーケティング、テクノロジーのことをメインに、そこから派生した内容や、まとまらない考えを書いていこうと思います。

プライベートは、国内外のニュースを読み漁ったり、本を読んだり、Podcastを聴いたり、アニメを見たり、子供と遊んだりの大体どれかをして生活している30代2児の父です。

言葉といえば、友人(星野くん)とマーケ×テック関連の議論をするPodcast"Boundary(バウンダリー)"もやっているので、SpotifyApple Podcastで配信中です。あなたの隙間時間、耳の暇つぶしのお供にぜひ。


バンドルがマーケティングのキーワードになっている

さてさて、第一回目は、「バンドル(Bundle)」ということをキーワードに話していければと思っています。

「バンドル」とは、e-Wordsさんの辞典の言葉を借りるなら「束(ねる)、塊などの意味を持つ英単語で、単体でも提供可能な製品やサービスを、複数組み合わせてセットで販売したり、別の製品やサービスに付属して販売、提供すること」とあります。

僕は、最近のストリーミングも広告もリテール/物流もメディアも、そして、海外も国内も、色んなところでバンドルが起きているなと思っているわけです。ここでのバンドルの意味合いは、「バンドル=パートナーシップ、協業、共創、経営統合、合併など」も含む考えです。先に簡単な理由を書くと、今の世の中の流れとして、その市場での成長を考えると、きっと一社で何かすることに限界がきているんだろうなと思っています。

幾つか事例を見ていきましょう!


1, ストリーミング市場のバンドル

まずはNetflixやDisney+などのストリーミング市場から。
Netflixの共同CEOであるGreg Petersは、Netflixの広告ありユーザーを増やすためにもT-MobileやVerizonの会員メニューにバンドルさせて顧客増加を狙うという話をしています

また、Disney's ESPNとWarner Bros. DiscoveryとFoxは3社で新しいスポーツストリーミングサービスを2024年秋にローンチすることを発表しました。また、このサービスは、Disney+とHuluとHBO Maxにもバンドルさせて視聴ができるようになるといいます。複数のプラットフォームを跨いでコンテンツを提供するパターンです

この話はまだ初期段階で未確定な部分は多いが、ComcastとParamount Globalが、Paramount+とNBCUniversal’s Peacockの2つのサービスを統合してサービスを提供することを話題が浮上しています

日本国内でも2023年6月のことではあるが、U-NEXTとParaviがサービスを統合を発表して、U-NEXT上でTBSとテレビ東京のドラマなどを見れるようになりました。U-NEXTの戦略はとても興味深いのでまた別で話したいです


2, 広告市場でのバンドル

広告でも色んなバンドルが起きています。
2023年4月のことですが、PinterestがAmazonとの長期的な広告パートナーシップを結び、Amazon Ads経由でPinterest内への広告配信が可能となりました。自社の広告枠の資源を他社に開放する形を取りました

続いて、Netflixが初めてグローバル広告パートナーシップを発表し、その第1社目はExpediaでした。Netflixの広告枠にExpediaの広告が出るという内容です。

こちらはリテールメディアにも関わる内容であるが、Instacartが自社の広告のケイパビリティを広げるためパートナーに選んだのはグローバルDSPのtheTradeDeskでした

国内の話も。2023年10月のことではあるが、カレンダーアプリTimeTreeと広告メディアレップのDACがTimeTreeのデータを活用したMIRAI_DSPをリリースしました。複数回、広告の検証結果を発表し、CTRや利用意向などにも効果的だと発表しています。これは、TimeTreeという1アプリがアプリ内に閉じず、自分たちのデータを活用して外に拡げてきたパターンと考えられます

交通広告やOOH/DOOHなどもまだ国内の課題は多い。その中で、メトロアドエージェンシーのインタビューでは、国内のOOHのメジャメントとテクノロジーの発展は他国に遅れていることを認識しており、「交通広告メジャメント標準化検討会」などを行いつつ、1社だけでは市場は良くならないというコメントをしています


3, ECやリテール、物流市場でのバンドル

今とてもホットであるECやリテール、物流にも色々なバンドルが起きています。
これは大きなニュースでしたが、AmazonとMetaのパートナーシップは衝撃でした。MetaのFacebook/Instagram広告でAmazonの広告をクリックすると、Meta上で「Amazon内で購入」というボタンが表示され、よりシームレスな購買体験の提供をした内容でした

米国のリテールでは、KrogerとAlbertsonsの合併の話も上がっています。まだまだFTC(米連邦取引委員会)との議論中ですが、リテールでトップであるAmazonやWalmartに勝つには、この2社からすると合併という選択肢しかないという状況なのでしょう

国内のリテールでは、ウエルシアとツルハの経営統合の検討が始まっているとニュースになりました。ドラッグストアの1位と2位の統合ですが、国内のイオンやセブン&アイの売上からするとまだ小さい状況。逆に、ドラッグストア3位以下のマツキヨココカラなどは今後どう動くのかも気になります

物流の人材不足など議論されている2024年問題。その解決策の一つに、まさかのヤマト運輸と日本郵政が提携をしたり、ファミリーマートとコカ・コーラボトラーズジャパンが配送トラックの共同活用を発表しました。もう2024年問題に立ち向かうには、競合や立場を超えて考えるフェーズになっているという事実がありそうです


4, メディアやパブリッシャーでのバンドル

最後に、メディアやパブリッシャー側でもバンドルの動きはあります。
ニコニコがライブドアニュース、ねとらぼとのパートナーシップを発表し、ニコニコの動画や切り抜きを2つのメディアで活用できるようになるようです

フジテレビも2023年10月にアメリカの"スカイバウンドエンターテインメント"、中国の"bilibili"、韓国の"カカオエンターテインメント"とのビジネスパートナーシップを結びました。TV局もよりグローバルに戦っていくためには、国を跨いでの協力が必要ということでしょう

アイティメディアのインタビューでは、アイティメディアがより専門メディアとのメディアアライアンスを進め、拡張していくということを話しています。自社がハブになりつつ、多様化するニーズに合わせてメディア発信を行なっていくためとも考えられます

最後に、日本テレビとBEAMSのパートナーシップも面白い取り組みです。2022年のドラマですが、2社がタッグを組んでドラマを作るという形を取り、新たな価値提供ができているように見えます。


なぜバンドルが重要になっているのか?

では、なぜこのようにバンドルやパートナーシップが多く発表されているのでしょうか?理由や事情は色々とありそうですが、僕としては「1社では限界が来ているから」が最大の理由だと思っています。

ストリーミングでは、自分たちのサブスク顧客を増やすため、自分たちの動画コンテンツをより多くの人に見てもらうため、業界の1位や2位に立ち向かうため。

広告では、自社の広告ケイパビリティを拡げるため、自社データをよりよく活用するため、業界として協力して仕組みを作らないといけないため。

リテールでは、顧客動線をよりシームレスにするため、業界の1位や2位に立ち向かうため、業界の問題にみんなで協力するため。

メディアでは、自分たちの資産を別の窓でも見て活用してもらうため、国外に向けて発展をしていくため、多様化するニーズにフィットさせるため。

どれ理由も、これまでの1社で何かを成長させていくという状況から次のフェーズに移っている印象です。各社はバンドルを行いながら、2社以上が協力して何かをしていかないと発展はないし、むしろ業界自体が衰退してしまう恐れもあるというフェーズになっていることをどうにかしようと動いています。

今後さらにまさかのバンドルが発表されるんだと思っています。どこが繋がると良いか、どこが繋がると発展するかなど、考えてみるもの楽しいかなと思います。


では、今日はそんなところで。


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Kazuma Hattori | デジタル広告・マーケの人 @KazumaHattori


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