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【オープン探究】生徒のワクワクは、本当に簡単な探究プロジェクトの繰り返しから生まれる

主体性を育むためには、
1)オープン探究
2)テーマ探究
3)環境
の3つが大切になります。
今回は1)オープン探究についてです。

総合的な探究の時間が2022年度からカリキュラムに導入され、
現在2023年11月、2年目になります。
ですが、2022年度以前から探究的な学びの時間をカリキュラムに取り入れていた学校はいくつもあります。
そんな探究先進校の学校の事例や生徒のプロジェクト内容を見ていると
「あ、うちの生徒には無理かもしれない」
と思う先生がいらっしゃるかもしれません。

ですが、僕が聞く限り
どの探究先進校も試行錯誤、紆余曲折した時代があり
それこそ先生が誰よりも探究しながら
あーでもないこーでもないと進めていったそうです。

とはいえ当てもなく探究をすることはやはり難しい、
ということで最初の導入として
叩き台にしてもらえるようなオープン探究の方法を今日は書いてみたいと思います。

🔸理想(課題)

生徒がワクワクしながら自分でテーマ設定をして、地域社会に飛び出し、誰かと協働しながら探究学習を深めていく。
そのテーマは環境問題の解決みたいに社会的意義があったり
自分の興味関心をとことん貫いた先にある宇宙開発かもしれません。

生徒が自分の興味関心から湧き出たテーマで、主体的にプロジェクトを進めている状態、またそんな生徒がいる学校は魅力的ですよね。

その最初の段階として、
まずは生徒が「楽しいと思えるテーマを見つけられる状態」「そのテーマに向かって小さなアクションを起こす状態」を目指していきたいと思います。

期間的にはオープン探究を始めて最初の3ヶ月、最初の学期をイメージしていきます。

生徒が前のめりになって自分の探究テーマを設定できるようになるまでの期間は学校や生徒によって千差万別です。
しかし各学校のお話を聞いていると、大体の見積もりで半年くらいかかるのではないかと考えています。
(これは学校環境、先生の価値観や関わり方、生徒の性質によって大きく変動します。1年かけても生徒がワクワクしているように見えない場合もあります。)

🔸行動(実例)

生徒が「楽しいと思えるテーマを見つけられる」ように、生徒が探究に前のめりになるためには
やはり最初は簡単な探究プロジェクトから始めることが良いのではないでしょうか?
テーマはなんでもOK、自分の気になったものを設定して、探究学習を実際にやってみることが大事です。

テーマ設定

とはいえ「なんでもいいからテーマにしてみて」では困るので
少しだけテーマ設定について触れたいと思います。

最初のテーマは『〇〇をやってみた』が
わかりやすくていいのではないでしょうか?
できれば短めに期間を決めて1週間で活動を終えられるものが良いでしょう。

・炭水化物抜いてみた。
・推しの良いところ100個出してみた。
・毎日5時起きしてみた。
・お弁当自分で作ってみた。

テーマの決め方は自由ですが、「身近なもの」からスタートすることをお勧めします。

・「最近、疑問に思ったもの」
→どうやったら痩せるの?→炭水化物抜いてみよう!
・「気になっているもの」
→K-pop→推しの良いところ洗い出そ!
・「はまっているもの」
→美味しいものを食べること→自分でうまい弁当作ってみよ!

マインドマップを使って興味関心を可視化してみても良いかもしれません。
重要なのはここで否定しないことです。
一度でも否定されると、自由にアイデアを出せなくなり、周囲に認められる正解を探すようになってしまいます。

この方法でいくつかプロジェクトテーマを出し、
その中で自分が一番気になるもの、ワクワクするものを選びます。
モチベーションの低い生徒は、「簡単なもの」を選びがちですが、
「気になるもの・ワクワクするもの」を選ぶように促すことが大事です。
最初は「簡単なもの」を選ぶ生徒が多くても、徐々に変化が現れます。

探究プロジェクトの実施

テーマが決まったら、次はアクションを起こします。
そのために、生徒には以下の内容を考えてもらいます。

1)具体的に何をするのか
2)いつするのか

可能であれば、プランニングシートのようなものを作成し、
自分のやることを明確にします。
2)いつするか、が実は非常に重要です。
日々、どのタイミングで実行するかをイメージしておくことで
忘れずに実践するようになります。

プロジェクトの振り返り

ここまで、本当に簡単な(それこそ学習と呼べるのか怪しいほどの)探究プロジェクトを進めてきました。
このプロジェクトの振り返りが重要なポイントになります。

生徒に内省してもらう点は2つです。
1)内省的省察:
このプロジェクトを通して自分の心にどのような変化が起きたか?
何を感じて、何を考えていたかをジャーナリングします。
2)教訓にする(抽象化):
このプロジェクトを通して誰かに伝えたい気付き・学びは何か?
プロジェクトにどのような意味があるかを考えます。

このポイントは
デイビッド A コルブの経験学習に見られるステップと同じです。
今回は「教訓にする」を自分の教訓でなく、一般的な教訓にできるように促します。

https://schoo.jp/biz/column/1276

次のアクションを考える

最後のステップは次のアクションを考えることです。
ここまでの探究は長くても1ヶ月、短ければ2,3週間で終わります。
この流れを2,3度繰り返し、生徒が選ぶテーマにどのような変化が見られるのか観察するのも良いかと思います。

大事なポイントは「テーマは毎回変更して良い」ことです。
生徒がワクワクすることが目的のため、毎回自分で選ぶこと(自由意志と自己決定機会)を重要視する必要があります。

生徒によっては、あまり自分の好きなものなどを考えて行動してきた経験がなかったりするので、
すぐに自分をワクワクさせるテーマは見つけられない可能性が高いです。
何度もトライ&エラーして探していくのが良いでしょう。

🔸簡単な探究のポイント

簡単な探究を実施するにあたり、いくつかポイントがあります。
簡単に紹介しておきます。

1)先生が見せる
まずは先生が、やってみせるのが良いでしょう。
生徒はそれを見て、
「これくらいのテーマでいいのか」「こんな教訓につながるのか」などを理
解します。

2)短期間で何度も繰り返す
上記の通し、繰り返し行うことが重要です。
活動の最後に全員の前で発表する必要もないし、しっかりしたレポートを書かせる必要もありません。
まずは何度か活動を行うことで
自分のテーマを見つけ、探究プロジェクトのやり方を理解し、
何より「これ、楽しいかも」と思ってもらうことが大事です。

3)高校生の枠を広げる(例を見せる)
とはいえ、アイデアや活動の枠を広げるために様々な事例をみせることは有効です。
他クラスの実践例や先輩などの事例を出し、
生徒が持っている固定概念(探究でどこまでして良いか)の枠をどんどん取っ払いましょう。


まとめ

自分の興味関心をもとにワクワクしながらプロジェクトに取り組む、
そんな生徒がいる学校は、控えめに言っても魅力的です。

高校生が活動的に学校の外に出ていけば宣伝効果にもなります。笑
楽しそうに、活動的にプロジェクトに取り組む子どもをみた保護者は「この学校にいれてよかった」と思うでしょう。
周りの人に勧めるかもしれません。

そうして学内にワクワクしながら活動する生徒が増えることで
地域の後輩が「私も楽しい学校生活を送りたい!」と入学するようになる。
そんな好循環が生まれてくる。
その最初のステップは、もしかしたら小さな探究学習なのかもしれません。

もし「試してみました!」という方がいましたら、
コメントに感想もらえたら嬉しいです!

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