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「褒める」って本当に良いことだらけ?

こんにちは!
今日はタイトル通り、「褒める」ことの是非について書いていきたいと思います。

「褒める」という行動はビジネス書なんかでは率先してやるべき推奨行為として言われていますよね。
褒めて伸ばす、褒めることでモチベーションを上げるなどチームマネジメントの方法として有効だと書かれていることが多いです。

ですが、その「褒める」という行為も一概に良いとは言えないのではないかと思っています。
今回はそんな「褒める」という行為について書いていきたいと思います。

「褒める」とはどんな行為?


みなさんは自分が褒められたときにどう感じますか?
嬉しい、認められた、頑張ってよかった、でしょうか?

もし、自分の部下や小さな子どもから褒められたらどう感じますか?
不愉快、馬鹿にされている、違和感、でしょうか?

一般的に褒めるという行為の背景には「上下関係」があります。
上の人が下の人に行うのが「褒める」という行為です。

つまり相手を褒めた時、それは同時に自分と相手の上下関係を認めていることになるのです。
いやいや、そんなこと意識してないし、思ってもないよ!
と思うかもしれませんが、たとえ無意識だとしてもそこには上下関係が存在することが多いです。
そして、その上下関係は褒められた側の人も無意識かどうかに関わらず感じています。

また、多くの人が褒められると嬉しいように、
「褒める」という行為は「相手にその行動を繰り返してほしい」というアピールになります。
つまり「褒める」ことの目的は相手のコントロールです。

ここが難しいところで、企業などの組織において最終目的は行動規制の場合が多いです。部下が仕事をしてくれるこれればぶっちゃけいいのです。
そう考えた場合、「褒める」ことはとても有効な方法でもあります。

褒め続けるとどうなるのか


さて、「褒める」という行為について考えたところで、褒め続けるとどうなるのかについても考えていきたいと思います。

「褒める」ことは自分と相手の間の上下関係を確認するという側面があります。
褒められるたびに、両者はその上下関係を(たとえ無意識だとしても)感じることになります。

ちょうど、飼い犬が餌を与えられるたびに「喜び」と「従属意識」を感じるのと同じです。
褒められるたびに相手の価値観に心酔していき、その価値観の中で認められることを求めるようになります。
僕はこれをマインドコントロールの一種だと思っています。

その結果、褒められ続けた人はその価値観の隷属し、その価値観から出ることができなくなります。
自信を持つためには、他者から褒められる必要があり、褒められるためにその価値観を盲目的に信じる必要があるからです。
そして他者からの褒め言葉によってだけ自信を持てるようになってしまいます。

ここはぜひ、多くの親御さんや教育関係者の方に御一考していただきたい点です。
家や学校のルールに従う子どもたちを育むためにはとても使い勝手の良い「褒める」という行為ですが、
それは本当に実社会でも役に立つ価値観でしょうか?
その価値観が思考の幅を狭め、他者理解を阻んでしまうことにならないでしょうか?

そう考えると、褒めて伸ばすという方法も手放しに推奨される方法ではないのではないかと感じています。

子育てに限った話しではありません。
部下の指導についても同じで、上司の価値観をトレースした部下は上司の想像以上の成長をすることができなくなります。
自分のコピー品を作りたいのであればそれも良いのですが、長期的に見た時に会社の利益になるかは微妙なところだと思います。

アドラー心理学の「勇気づけ」という方法


「褒める」とは別の方法として「勇気づけ」という行為があります。
アドラー心理学で使われている言葉です。

これは相手を褒めることによって上下関係の中で相手を評価するのではなく、対等な横の関係として相手に行動を促す行為になります。

背景にあるのは、他者への尊敬や尊重、慈愛といった感情です。

普段使っている言葉に意識すると、その背景にある関係構図に気づくようになってきます。
自分の今の発言は「褒める」だったのか「勇気づけ」だったのか
(「これどっちだ?」と自分でもわからなくなることもありますが笑)

「勇気づけ」の代表的な言葉は「ありがとう」です。
ありがとうの語源は
有難う→有ることが難しいことに対する感謝と尊敬の念
であると考えています。

そして、あなたが感謝や尊敬、喜びの言葉を発し、
それを聞いた他者が他者に貢献すること喜びを感じた時、
初めてその人は自ら湧き出た意思で行動することを選びます。

まとめ


さて、ここまで「褒める」行為を否定するようなことをつらつらと書き連ねてしまいました。

しかし「褒める」ことが完全に悪いことだとは思っていません。
完全に自信を失った人に対して
「私が」あなたを認めていますよ!
というコミュニケーションが相手の自信になることはよくあります。
最初のステップとして効果的なことも確かです。
要は使い所だと思っています。

そして僕自身も「褒める」という行動を使わないように意識しながらも行ってしまうことはあります。
染み付いた言葉遣いは簡単には変わりません。

ですが、その言葉の背景にどのような思いや考えがあり、相手との関係があるかを意識するようには心がけるようにしています。

みなさんもぜひこの機会に
普段使う言葉を意識してみてはいかがでしょうか?

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