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目に見えないゴジラ

昼頃に志村けんさんの訃報を耳にして、
本当に気持ちが滅入ってしまった。

とてもショックだった。

僕は自分で思っていた以上に、
彼のことが好きだったんだなと思った。

人はいつか亡くなってしまうし。
これまでにも亡くなっているけど。

それでも、よく知っている人の訃報は
胸が締め付けられてつらい。

たとえその人に、一度も会った事がなくても。

すぐには受け入れられなくて。
追悼映像もまだ見たくなくて。

何かを観て気を紛らわせようと思って。
なんとなく、シン・ゴジラを観ていた。

シン・ゴジラはいい。
最初から引き込まれるから。

海洋生物であるゴジラの
上陸を信じない御用学者。

蒲田に上陸を許しても
しばらくは楽観的な閣僚。

品川で立ち上がり暴れるゴジラを
対処できず逃してしまう政府。

100名を超える死傷者が出たのに、
次の日には日常に戻って通勤する都民。

そして、その数日後に
「人知を超えた完全生物」となって
東京に襲いかかるゴジラ。

……今の現実と、とても似ていると思った。

目に見えないゴジラが、東京に来ているんだ。

ゴジラの炎で永田町が火の海に
なったところでビデオを止めた。

最後まで見れば、ゴジラを倒す
カタルシスが得られるだろうけど。

今日はそんな気分になれなかった。

現実は、そう簡単には行かない。

それにしても、久しぶりに観たけど
総理大臣役の大杉漣、よかったなぁ。

最初に映画館で観た時はずいぶん
頼りない総理だなと思ったけど。

現実よりは、全然いい。

そういえば大杉漣さんも
もういないんだと気づいて。
余計に悲しくなってしまった。

僕たちはいつも惜しい人ばかりを
亡くしているような気がする。

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