見出し画像

アルバムとしての野菜天丼

恵比寿から松屋が消えて5日。
早くも行く店に迷い、今日は天やに行った。

天やは、天ぷらを減らすことができない。

これは「時間を戻すことはできない」に並ぶ
人生の命題である。

足すことはできても、減らすことができない。

天ぷらをゼロベースで選んでいく、
丸亀製麺などの天ぷらセルフ店に
慣れてしまうと、ちょっとした
カルチャーショックを受けるだろう。

天やの天丼は天ぷらの集合体ではなく、
天丼そのものとして存在している。

それは、アルバム単位でしか
曲を配信しないアーティストに似ている。

天丼はアルバムであり、作品なのだ。

計算されたそのラインナップに対して、
我々にできることは何もない。

ご飯を小盛りにすることくらいしか。

野菜天丼のご飯小盛り。これが最適解だと思う。

食べてみて、その答えは間違いなかったと悟る。
ベストアルバムだった。500円に収まるし。

しかし帰り際、それは覆されることになる。

「お会計、510円になります」

増税している!!

レジのおばちゃんは
すまなそうな顔をしていた。

そうだよね。
天や(アーティスト)のせいじゃない。
悪いのは国(レコード会社)だ。

ファンに対するアーティストの意向を、
レコード会社が制限している。

そんなんで、本当にいいもの(この場合天丼)が
作れると思っているのか?

仕方なく、僕はもう10円を支払った。

我々にできることは何もない。

無料で付いてきた味噌汁に対して、
10円払ったつもりになることくらいしか。