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急成長スタートアップにおける人事の備え

スタートアップは変化が激しい、とはよく言いますが、変化の大きさ、早さ、頻度。どれをとってもこの1年は最大級だったな、と感じてます。
結果として、キャリアの中でもあまり経験をしたことがないような出来事に数多く相見える年となりました。

この1年の総括ということで、今回のnoteでは採用、組織の簡単からそれぞれ振り返りをしていこうと思います。

特に、急拡大フェーズにおけるスタートアップで人事責任者をしている人やぼっち人事をしている人にとっては少しでもパターン認識としての参考になれば、という思いを込めて、できる限り赤裸々に書いてみました。

1.採用

これまでの採用はこんな感じの体制でやってました。(年間の採用目標でいうとポジション数は40ポジション、枠としては60枠くらい)

図1

エージェント担当とダイレクト担当が分かれているのは少しユニークかもしれません。
これは、個の強みを最大限に活かすことを最優先にして考えた結果の体制で、これがうまく作用してざっと80人くらいの採用を実現することができました。
(ビジネス/コーポレート/Other:42%、プロダクト/テック:35%、新卒/インターン:16%、パート:7%という比率)
担当こそ分かれているものの、個人の目標ではなく、常に会社全体としての採用目標をチームで追い続けた結果が、このような成果につながったのだろうと考えています。より詳しくWealthParkの採用ノウハウが知りたい方は年明けに予定しているミートアップにも是非ご参加ください。

一方で、来年以降の採用計画を考えると、もうこの体制のままではやっていけないことは明らかで、というのも、この1年で何とかやり切った目標を、今度は半期で達成しないといけない計画となっているからです。
そこで、徐々にではありますが、人員も補強しつつ、以下のような体制にシフトしていくことを考えています。

図2

事業ドメイン別に担当を置いて、コミットメントの範囲をより明確にしつつ、事業部担当の権限、裁量の中で体制もそれぞれのニーズに合わせて作っていくイメージです。
例えば、SaaS事業部はこれまで通りにチャネル別で担当を分けてもOK、Fintech事業部は職種別に担当を分けてもOK。というように、ホリゾンタル型でいこうが、Vertical型でいこうがそこは各チームのポリシーに任せようと考えています。

また、これまでKPIマネジメントは一切してこなかったのですが(それもどうなの?という声が聞こえてきそうですが笑)、役割がある程度細分化していくことを踏まえて採用管理システムも、このタイミングでジョブカンからHERPに乗り換えることを決定しました。
これまでのように3人チームであれば、Dailyでチームミーティングもしていたので、常にアセット状況はすべて把握していたので、面接数とかをKPIとして細かく管理する必要もなかったのですが、今後は僕自身が採用業務をハンズオフしていくことを踏まえると、リアルタイムで各ポジションのパイプラインの状況はシステムを通して把握できるようにしておきたい、と考えたためです。
(ジョブカンはDBとしての管理ツールとしては安価ですし使い勝手が良かったのですが、大量採用フェーズにおける数値管理としての機能だと限界を感じるようになった、というのが正しい背景です。
ただ、ジョブカンも年間採用人数が20~30人くらいであれば全然この先も使い続けて良いと思えるくらい使い勝手は良かったので、リプレイスの判断は単純に採用におけるフェーズなのかな、と思います)

また、この1年でアトラクトの仕方にも変化を感じています。
これまで(従業員が~100人くらい)は、0→1やカオス感をセールスポイントにしてクロージングをかけていたのですが、事業/組織実態が0→1を脱し、1→10→100フェーズとなったことにより、より具体的な事業戦略を明示しつつ、その中で提供できるキャリアパスや得られるであろう経験、タイトルを伝えることが求められるようになりました。

その中でも特に苦労したのは、30前後のこれから組織の中核になっていくであろう層の採用でした。
これは後述する組織側の課題とリンクするのですが、これまでのWealthParkの組織作りのアプローチとして、経営陣と従業員の間に強いミドルを採用し、その人を中心にして組織を型作っていくものであったため、そうした年齢層の人から見ると、スタートアップの割には上が詰まっている(部長をしている人はだいたいが30後半~40代)、という印象を与えてしまったことが大きな要因として挙げられるのだと思います。

これは、人事責任者の方なら分かると思うのですが、やはり組織作りにおいて、まずは経営の期待を理解して現場にも落とし込むことができるミドルを最優先で配置していく、というのは至極当然のセオリーであり、逆を言うと、そのセオリーに沿って組織を作り過ぎてしまった、というのは今振り返っての反省点です。

新卒採用も開始している今、より積極的に若手から中堅層の従業員の内部昇格や抜擢の機会、実績を作っていき、ハイブリッド型の組織を作っていくことが来年は求められています。
(WealthParkの社員の皆様、これは絶対に失望させないような組織作りを心掛けていきます!)
これができないと、上述した採用ができないだけではなく、新しい機会を求める社員からどんどん辞めていき、定着率も低く、どこか他燃型の組織になってしまうと、非常に強い危機感を抱いています。

事業を伸ばすことだけを優先する、ジャイアンツのような組織(外部から補強ばかり)にするのか。将来的な成長やリテンションを大事にする、2018年のカープのような組織(生え抜き中心)にするのか。

こうした組織運営のポリシーも、拡大期の採用には大きく関わってくるので、人事責任者の方は、はじめから意識をしておくと良いと思います。

2.組織

組織側は、以下のような体制で各方面とは連携して動いていました。

図3

ただ、ここでの重大な欠陥は、「僕じゃないとできない」という体制にしてしまったことで、増え続ける従業員に対して当然ながら1人ですべてを対応できるわけもなく、一番大事にしないといけない従業員側への対応に大きな課題を残すことになりました。

特に、今年は会社分割(子会社設立)や人事制度のアップデートなど経営上優先度の高い対応が重なり、その中で採用もしつつ毎月のように5人~多い時は10人弱の新入社員が入社をする状況下のため、気付いた時には、組織状態が把握できなくなっていました。

また、結果的に、この1年はほとんどのシーンで来た球を打つ、という状況が続き、先回りをして手を打つという事がほとんどできなかったと感じています。採用計画に基づき、あるべき体制とあるべき制度で備えておく、という事が大事なのだと改めて痛感しました。

まずは体制面の備え、すなわち組織対応専任の人事(いわゆるHRBP的な)をいつどのタイミングで採用すべきか、という部分について、個人的な感覚としては、
・組織の全体人数が50~80人くらい
・月にならすと新入社員は1人くらいで、退職も加味した純増でみると年間で10人も増えていない
のであれば正直、採用も見つつ、組織も見つつ、など諸々兼務しながらでも人事責任者1人で、もうしばらくの間はいけそうな気がしています。(実際に入社~今年の頭くらいまでの個人的な実感値として)

しかし、
・月の新入社員が3~5人くらいで、純増だと年間で30~40人くらい
・組織の全体人数が1年以内には3桁超える見込み
なのであれば、すぐにでも組織側の担当人事を採用し、備えておくべきだと思います。
(採用担当は、ニーズも成果も分かりやすく経営も認知してくれるから増員ってしやすいですけど、こうした組織対応の増員って判断が難しいですよね。「え、今”人事責任者”さんが対応してくれているし、できてるんだからいいじゃん。本当に必要?」みたいな。たいていの場合は従業員対応が疎かになり、人が辞めていってはじめて気付く、というパターンが多いのでは、と思います)

このタイミングで組織を見る人材を採用できるかどうか(もっというと、経営にもその必要性を説き理解を得られるか)で、先手を打てるか、後手になるかが決まるといっても過言ではないです。後手になると結局来た球を打つことになるのですが、正直来た球を打つのって相当労力も時間も使うのでしんどいのです。また、従業員のエンゲージメント、リテンションは人事側の対応工数とは反比例して、むしろ落ちていくのでROIは最悪です。

WealthParkも、新年には新しいBP担当の仲間も加わってくれる予定なので、後手になった分の遅れはしっかりとリカバリーしていこうと思います。

そして次に制度面ですが、いつ、誰から、どういう情報を、何のために取得し、取得した情報をもとに何をするのか。その全体感を設計して、それらをEmployee Journey(または年間カレンダーとか)に落とし込み、従業員にもしっかりと共有をして、理解を得ておくことが大事だと改めて感じています。オンボーディング、能力開発、コミュニケーション活性、配置/異動、ターンアラウンド、評価、リテンション/セーフティーネット、それぞれの観点からアクションプランを設計しておくと良いと思います。

せっかくのアクションプランも、人事責任者の頭の中だけにしかなく、周囲の理解を得られていないとか、新入社員からしたら何のフォローもないのかと不安にさせてしまったりするので、しっかりと可視化して備えておくのが良いです。僕も、今頑張ってこれを作っているところです。(具体のアクションプランが知りたい、という方は個別で情報交換します)

3.最後に

繰り返しですが、この1年は変化が大きい年だったと感じています。自分の予測をはるかに上回る速度と角度で、変化は自分の目の前にやってきました。これがスタートアップなのだ、と改めてその面白さと怖さを認識させられました。

同時に、急拡大の組織で実体験のある先人達から学び、どれだけ自分の中でパターン認識が持てるのかも大事だとも感じました。来年は意識的にそういった機会、時間も作り、目の前にあることだけではなく外からの生きた学びも積極的に取り入れながら、より良い組織創りに貢献できたらと思います。

また、微力ではありますが、今年の頭に、100名までの組織作りにおける軌跡をまとめてますので、このnoteと合わせて読んでもらうと一定のラーニングは僕からも提供できるかもしれませんので、是非参考までにご一読頂けると幸いです。(というか、こういった人事の情報交換会をまたオフラインでやりたいなぁ、という心の叫び)

最後にはなりますが、WealthParkでは引き続き2022年も採用には力を入れていきますので、少しでも興味をもって頂けた方はご連絡、またはこちらの採用ページからのエントリーをお待ちしております。


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