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階層別研修の作り方⑤~階層別研修と他の研修って何が違うの?前編~

【この記事は以下の読者様を想定して書いています】
・人事担当者様
└なかでも、教育や育成の担当者様

【この記事を読むことで得られること】
シリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!


【登場人物】
▼ホッソン(細野 和彦):

研修作家、人事コンサルタント。㈱ハブプロダクト代表取締役。年間250日以上の研修プログラムを設計から実施まで行う。 自ら講師としても登壇する一方、近年はHOMEROOM、ROGCHECK、RE:CAREERなどの育成プロダクトを世に送り出す開発者でもある。㈱ログシー 育成支援事業部 統括。好きな食べ物は鶏料理。

▼さくら(鈴木さくら):
キャリアコンサルタント、研修講師。航空会社→ホスピタリティ系専門学校→独立。キャリアコンサルタントは天職で、主に企業や大学でキャリアコンサルティングを行う。育成にも力を入れ、キャリアコンサルタント養成講座の講師も務める。ホッソン主宰の研修講師育成塾の第一期生で、師弟関係でもある。好きな食べ物はエビフライ。


◆階層別研修の目的は「よい組織をつくるため」

さくら:細野さん、階層別研修とそれ以外の研修と、この2つはどう違うんでしょうか?なんなら全部階層別研修で括ってもいいんじゃないの?と思ったりもしたのですが。


ホッソン:わかりやすくするために、また問いを立ててみましょうか。階層別研修とそれ以外の研修は、それぞれ何のためにやるのか?何の教育なのか?っていう目的を考えてもらえるとわかりやすいと思うよ。まず、階層別研修って読んで字のごとく、新入社員・リーダー・管理職・幹部・経営者みたいな感じで階層に分かれているよね。つまりその組織活動においてよい組織を作るための研修なわけですよ。だから、個人活動に関する目的には一切フォーカスを当てていないんだよね。一方で、階層別研修以外の研修もたくさんあるよね。たとえば、スキルアップのための研修とか、資格取得のための研修とか、生産性向上のための研修とか。そういう研修はいっぱいあるから「階層別研修とその他の研修」って言いたいところなんだけど、さすがに雑多すぎるので、僕がコンサルティングをするときには、「研修には3種類ある」っていう話をしてるんですね。


さくら:いつも3つで覚えやすいですね笑!


ホッソン:コンサルタントって、たいてい3つって言いたがるよね笑。でもね、今回は本当にそうなんです(断言)!3種類のうち1つ目は、「階層別研修」。これがベースにあって、よい組織とかよいチームをつくるためにそれぞれの階層に必要なマインドセットとスキルセット、そしてメンタルヘルスがあるというのは、以前お伝えしたとおりです(下記の記事を参照)。

2つ目は、その職種に必要な「職種別研修」というのがあるんですよ。


さくら:職種別研修ですね。


ホッソン:たとえば営業職だと、営業職に必要な研修ってあるよね。KPI管理、ロールプレイングを取り入れた交渉力向上、顧客との関係構築力強化研修など。最近では、リアクションの取り方みたいな研修もあるよね。今は「1億総リアクション時代」と言われていて、リアクションが取れない営業マンはダメだよという時代。オンライン商談の常用化が進んだ今、怖い営業マンや反応が薄いっていうのは相手からすると距離を縮めづらく信用できないので、そういう職種別研修では営業職はわかりやすい。またはバックオフィスで言うと、エクセル研修とかのPCスキル系がまさにそうだよね。デザイナーだったらライティングとか、エンジニア向けのプログラミングとかも職種に関係してくるものだよね。


さくら:たしかにそうですね。


ホッソン:3つ目は、その業種に必要な「業種別研修」。階層や職種に関係なく、たとえば医療従事者だったら医療従事に関連する法律を知って理解する研修は受けないといけないよね。ほかには、弊社のお客様の製造業の会社さんでいうと、5Sや危険予知訓練(KYT)などが業種別研修に当たる。だから、「どんな研修があるんですか」と聞かれたら、「階層別研修・職種別研修・業種別研修」のこの3つに分けて考えるといいよね。実はこれだけの話なんですよ、シンプルに言うと笑。


◆研修の中でニーズが高いのは「職種別・業種別研修」

さくら:意外とシンプルでした笑。この3つの研修の中で一番ニーズが高いのは、やはり階層別研修ですか?


ホッソン:いやいや、職種別・業種別研修じゃないかな。たとえば、先日たまたま医療関係者の研修に呼ばれて行ってきたんですけど、「今までうちの会社ってこういった人事系の研修はやっていなくて、ずっと医療関係の安全衛生だったり、看護師向けの資格の研修だったり、人事系の研修はぜんぜんしてこなかったんです」っておっしゃっていたんですよ。人事系の研修って何かなと思ってよく聞くと、階層別研修のことだったんですけどね。階層別研修はしてこなかったようですよ。


さくら:どのくらいの規模の法人だったんですか?


ホッソン:そこはね、300人ぐらいの規模かな。


さくら:もっと小さいかと思いました。小さい規模の法人だから階層別研修はしなくてもいいやっていう考えかと。


ホッソン:昔ね、僕の友人の女性が「私、明日研修やねん。憂鬱やわー」って言ってたのね。「どんな研修なの?」って聞いたら、「数字が悪いからコンコンと詰め寄られて、接客のトレーニングをさせられる研修よ」って言ってたんだよね。別の例でいうと、僕の知り合いの会社の人事の方も「うちの会社って営業トレーニングの研修はするけど、人事系の研修(階層別研修)ってないよ」って言われてた。だから一般的には、階層別研修をしている会社の方が少ないのかもしれないね。


◆成果がわかりづらいことが一番のネック

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さくら:さきほど、階層別研修の目的はよい組織づくりというお話がありました。でも組織である以上、規模問わず、よい組織づくりをしていくことはすべての会社に共通だと思うんです。でも階層別研修が少ない現状をお伺いすると、職種別や業種別研修をしている会社さんは階層別研修の重要性や研修を通してよりよい組織づくりをしていこうという意識を持ち合わせていないってことでしょうか?


ホッソン:僕の感覚で言うと、階層別研修って目に見える成果が出づらいでしょう?たとえば、資格関係の研修だったら資格取得というわかりやすい成果がある。ライティングやDTPなどデザイン関係だと、研修を受けて技術が身について成果物が良くなったりする。製造業だったら、5Sの研修を受けて安全大会で成果発表をするという大手企業もあって、研修を受講してよくなったからやっぱり研修って大事なんだなあと会社が思ってくれる。その研修を受けた成果がわかりやすいものについては、会社としても「参加してみたら?」ってなるけど、階層別研修については、「よい組織っていうなら社長が引っ張っていったらいいんじゃないの?」ってなりがちじゃないかな。階層別研修の成果がわかりにくいのは、確かにあるんだよね。


さくら:階層別研修がビフォア・アフターでわかりづらいっていうのは確かにそうかなと思います。もしかしたら、人事や経営者の方々はよい組織をつくるためにいかに研修が寄与できるかっていうことが、そもそもリンクしていないのかもしれないですね。


ホッソン:その点は否めないよね。でもその会社の考え方によるけど、逆に、僕らみたいな組織開発型の研修コンサルティングの重要性をわかってくれていて、有難くも、ずっと離したくないとか、この先もずっと研修をやってほしいって言ってくださる会社さんも一部ではあるけれど存在することも確かなんだよね。やっぱり目の前の課題に皆さん着手しすぎで、この課題解決するためにこの研修を導入する企業がほとんどで、長い目で見て10年ぐらい経ったときに「うちの会社、変わったな」っていう未来を見据えて今着手する経営者は少ないのかもしれないね。


さくら:なるほど・・・よい組織づくりという視点から見たときに、階層別研修はもはや欠かせない研修だと断言できそうですが、一方で、短期での明確な成果が出づらいというのも、階層別研修の良さを伝えるときのネックとなって、ジレンマを感じてしまいます。今回、階層別研修の実態をだいぶ包み隠さず教えてくれたので理解が進みました。次回はぜひそんな細野さんの、階層別研修についての本音や諸外国と比較したときの階層別研修の見え方といった、ちょっとマクロな視点からの話をぜひ聴かせてください。


ホッソン:オッケー!ではまた次回に!


(おしまい&つづく)

\『階層別研修の作り方』シリーズ/
1)階層は、どうやって分けたらいいの?前編 
2)階層は、どうやって分けたらいいの?後編 
3)階層別研修って、どんな種類があるの?前編
4)階層別研修って、どんな種類があるの?後編
5)階層別研修と他の研修って何が違うの?前編 ←イマココ
6)階層別研修と他の研修って何が違うの?後編
7)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?前編
8)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?後編
9)階層別研修ってどうやって設計するの?前編
10)階層別研修ってどうやって設計するの?後編

このシリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!


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