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階層別研修の作り方③ ~階層別研修ってどんな種類があるの?前編~

【この記事は以下の読者様を想定して書いています】
・人事担当者様
 └なかでも、教育や育成の担当者様

【この記事を読むことで得られること】
シリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!


【登場人物】
▼ホッソン(細野 和彦):

研修作家、人事コンサルタント。㈱ハブプロダクト代表取締役。年間250日以上の研修プログラムを設計から実施まで行う。 自ら講師としても登壇する一方、近年はHOMEROOM、ROGCHECK、RE:CAREERなどの育成プロダクトを世に送り出す開発者でもある。㈱ログシー 育成支援事業部 統括。好きな食べ物は鶏料理。

▼さくら(鈴木さくら):

キャリアコンサルタント、研修講師。航空会社→ホスピタリティ系専門学校→独立。キャリアコンサルタントは天職で、主に企業や大学でキャリアコンサルティングを行う。育成にも力を入れ、キャリアコンサルタント養成講座の講師も務める。ホッソン主宰の研修講師育成塾の第一期生で、師弟関係でもある。好きな食べ物はエビフライ。


※前回の『階層別研修の作り方~階層は、どうやって分けたらいいの?~』はこちらからどうぞ!


◆階層別研修に入れていい研修テーマは3つだけ


さくら:前回の続きで、それぞれの階層では、いろんな種類の階層別研修が考えられそうだなあって思うんです。でも、あれやこれやと数が増えてもわけわからなくなりそうなので、今回は階層別研修の種類について、ぜひ教えてほしいです。


ホッソン:OK!まずはこちらから質問。今年度も一緒にHOMEROOM新入社員研修を担当したけれど、階層別研修のひとつである新入社員研修にはどんなテーマが入ってる?


さくら:まずはマインドの切り替え。もう学生じゃないんだぞと。あとは、社会人として最前線で出て行く時の武器になり得るものとして、ビジネスマナーですよね。


ホッソン:そうだね、ビジネスマナーは名刺交換の仕方や挨拶、電話の取り方、文章の書き方などがあるよね。その他にも、エクセルやプログラミングの基礎知識とか、接遇の専門的教育をしてほしいとか、医療や介護業界だったら救急医療に関する教育を入れてほしいというような話も今まであったと思うんだけど、じゃあね、このペースでテーマをどんどん挙げていくと、無限に出てくるでしょう笑。何でもかんでも階層別って言いたくなるんだけど、実はそういうものではないのね。だから僕は人事担当者にお伝えするときには「階層別研修に入れていい研修テーマは3つだけです」ってわかりやすく話をしています。


さくら:3つ?


ホッソン:そう。まず、3つのうち1つ目がマインドセット。「マインドセットは新入社員には必須ですよね」ってよく言われるんだけど、実は新入社員だけの話ではないの。その他リーダー、新任管理職や幹部にももちろんそれぞれのマインドセットは必須。このマインドセットは研修業界でいうところの動機づけや動機形成といわれるテーマになるけど、全階層別研修に入れてあげるといいと思う。


◆管理職こそマインドセットは必須!

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さくら:確かに管理職にもなれば、ある程度会社のことも仕事のこともわかっているでしょうし、わざわざ管理職に対してマインドセットしなくてもいいんじゃないかって思われがちですよね。


ホッソン:そうなの、それが大きな間違い。管理職の一番の悩みは「管理職って何したらいいんですか?!」問題だって知ってた?中小企業大国である日本の約7割の管理職がプレイングマネージャーで、マネジメントとプレイヤーを両方やってる人がほとんどだと思うのね。もう守備範囲が広がり過ぎて、管理職って何するんですかって。お金の管理ですか、人の管理ですか、それとも結果を出してみんなを引っ張っていくんですか、と。そういうのをわからないなかでマネジメントを始めるので、何の仕事するのかというのをまずは言ってあげないといけない。僕はよく研修の冒頭で、「部下が3人できた瞬間に、組織におけるありとあらゆる問題が起こりますよ」ってお話をするんだよね。

たとえば部下が3人揃うと、AさんとBさんが仲良くてCさんが仲悪いとか、Aさんは結果が出るけどBさんとCさんは出ないとか、奇数になった瞬間にいろんな問題が起こる。これをマネージメントにおいて気持ちのコントロールしながら人を育てていく必要があるっていうことが、人数の規模とは無関係に起きる。それを「部下の人数が少ないから管理職としての研修をしなくていいでしょう」と片付けてしまっている会社まだまだ多いので、そういった気持ちの切り替えは各階層にしてあげないといけないよね。このマインドセットっていうテーマがどの階層別研修にも入れるべきプログラムです。


さくら:そうですね、たしかに管理職になったときに管理職の仕事って一体何やるんですかって堂々と社内で聞けなさそうですよね。


ホッソン:そうなんですよ、この1つ目のテーマのマインドセットは前回話した各階層の視座に合わせながら、人事担当者と打ち合わせをする。各階層での受講者の気持ちを一回0ベースでセットして、そこからスタートさせるっていうようなことがやっぱり大前提ですよね。マインドセットは、階層別研修の1つ目のテーマとして入れておかないといけないですね。


◆スキルセットは実は各社によって大きく変わらない


ホッソン:テーマの2つ目は、スキルです。これをスキルセットって僕は言っています。1年目のスキルセットはまさにビジネスマナーですよね。リーダーになれば後輩に指導することもあるだろうから指導力というスキルが必要になるでしょうし、プレイヤーとしての結果を最大限にしていく武器も必要。論理的思考についてトレーニングし始めるのもこの時期だよね。管理職だったら、部下指導や人材育成についてのスキルが代表的。こういった各階層の役割を全うするための武器、つまりスキルを研修で学び、身に着けていきます。


さくら:そのスキルについては、新入社員を除いて各社によって必要になるスキルが変わってきそうですね。その会社の人事の方と話し合いながら決めていくんですか?


ホッソン:スキルセットは会社によって変わると思われがちなんだけど・・・実は大きく変わらないんだよ!変わる領域で言うならば、それは専門領域における教育だよね。たとえば、緊急介護や医療では一般企業では使わないスキルが必要になるし、営業職に必要なKPI管理はほかの会社では必要ないことも多い。でも、階層はどの会社にもあるからビジネスマナーしかり、論理的思考しかり、人材育成しかり、業種や職種によってあまり左右されないスキルだよね。だから、各階層の役割を全うするためのスキルセットだから、各社によって大きくは変わらないんですよ。


さくら:言われてみると、確かにそうですね。各階層に必要なスキルというのは前回で言うところの視座ピラミッドに基づいて求められる「この視野の高さを持つべき階層だから、このスキルを持っておかなきゃいけない」っていう考え方で合っていますか?

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ホッソン:そうそう。視座ピラミッドって、視野と時間軸の2軸で見ていったよね。新入社員だったらもうひとつの時間軸から見てみると、新入社員に必要な時間軸は1週間程度だから、ここで必要なスキルは目の前の仕事をどんな順番で処理していくかっていう、タスク処理力が必要なスキルに入る。リーダーだったら、1ヶ月ぐらいの時間軸になってタイムマネージメントの領域に入る。そこでは優先順位や緊急度・重要度の話になるので、それに対応できるスキルが必要になる。管理職になってくると、時間軸が3ヶ月ぐらいになり、工程管理能力やスキーム作成のスキルが必要になる・・・といったように、時間管理という一つのプログラムにしても、管理する時間のスパンが階層によって違うから、身につけてほしいスキルも当然変わってくるよね。

まとめると、スキルセットに関しては各社によって大きく変わるものではないというのが前提にあるので、各階層に必要な視野と時間軸に合わせてスキルセットを作っていくといいかなと思います。


さくら:なるほど、たしかに業種・職種でそんなに大差ないですね。視座ピラミッドを使ってシンプルに考えるといいですね。次回は3つ目を教えてください!


(おしまい&つづく)


\『階層別研修の作り方』シリーズ/
1)階層は、どうやって分けたらいいの?前編 
2)階層は、どうやって分けたらいいの?後編 
3)階層別研修って、どんな種類があるの?前編 ←イマココ
4)階層別研修って、どんな種類があるの?後編
5)階層別研修と他の研修って何が違うの?前編
6)階層別研修と他の研修って何が違うの?後編
7)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?前編
8)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?後編
9)階層別研修ってどうやって設計するの?前編
10)階層別研修ってどうやって設計するの?後編

このシリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!


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