見出し画像

語学業界はオワコンなのだろうか

こんにちは。英会話スクール「ミライズ英会話」を日本と台湾で、語学学校「ミライズ留学(ロックダウンにより休校中)」をフィリピンセブ島で展開しているミライズ株式会社のカズと申します。

初めての方は、こちらに自己紹介をまとめてますので、ぜひご覧ください。

先日Twitterを徘徊していたらゲームセンターの市場規模が5,200億もある!という話題がトレンド入りしてまして。ちょっと胸熱な感じになったのですが、というのも、ミライズが属する語学ビジネス市場についても、「英会話サービスってオワコンでしょ」と思っている方が多いんじゃないなと勝手に推察。ということで記事を書いてみました。

驚きの市場規模

みなさん、語学ビジネスの市場規模ってどの位あると思いますか?矢野経済研究所調べによれば、2019年の語学サービスの市場規模は

8,762億円(2019年度)!!

になります!前段で話題になっていたゲームセンター市場よりも圧倒的に大きいのです!すごい!と言いたいところですが、比較対象がないのでいまいちピンとこないかもしれないので、もう少し掘ってみたいと思います。

同規模に位置する市場

この8,762億円を皆さんにすごい!と言わしめるために、同規模の市場を調べてみました。

コールセンター市場(約9,900億円)
学習塾市場(約9,750億円)
ライブエンターテイメント市場(約9,000億円)
ファッション2次流通市場(約9,000億円)
語学サービス市場(8,762億円!)
中国AI市場(約8,000億円)
玩具市場(約8,000億円)
ゲームセンター市場(約5,200億円)
フィットネス市場(約4,000億円)

こんな感じです。中国のAI市場よりも(現時点では)市場が大きいと思うとちょっと誇らしさも。こうやって並べてみると、語学サービスも立派な一つの産業であることが窺い知れますね。

ちなみに、市場規模ランキングの全業種トップ3は以下の通りでした。規模が違いすぎる!笑

市場規模ランキング
1位 卸売   107兆4,409億円
2位 電気機器 78兆8,670億円
3位 金融   65兆8,855億円

語学サービスの歴史はとても古いですが、今も昔も日本人が他国の言語を学ぶニーズがとても高いことが窺えます。そのニーズの根源的な部分には、語学を習得することによる経済的、社会的メリットがとても大きいことが要因だと考えられますね。

語学サービス市場の中身

さて、「語学サービス市場」といっても幅広いので、その中にどのようなサービスが含まれているのかをみてみると、大きく3つの分野に分類されます。

①語学スクール(約3,500億円)
当社のような英会話スクールを始めとして、英語以外も含まれる。ビジネス向けから、幼児、プリスクール、幼稚園などへの英語講師派遣なども含め、主に店舗型で語学学習を提供しているスクールビジネス全般

②学習教材(約1,700億円)
書籍、電子辞書、通信教育、e-learning(オンライン英会話はここに含まれる)、ソフトウェアなど

③周辺ビジネス(約3,500億円)
語学試験、留学斡旋、通訳、翻訳など

最新の市場規模ではコロナの影響を受け約1.6%減少となりましたが、前回までの全体トレンドは微増が続いていました。この中で特筆すべきは、ここ数年語学サービスのトレンドであるオンライン英会話ですが、2019年度時点での市場規模としては160億円であり、市場全体のわずか1.8%しかありません。

もちろん年々市場規模は大きくなっていて今後もそのトレンドは変わらないと思いますが、消費者目線での印象と比べて市場バランスは大きく違うことに驚かれるかと思います。

今後の動向は

画像1

現在語学サービス市場(ここでは語学スクール)は現在過渡期にあると思います。まず、矢野経済研究所の市場予測としては、

2020年度の語学ビジネス総市場規模(主要14分野合計)は、事業者売上高ベースで前年度比9.4%減の7,940億円と予測する。
2019年度と同様、新型コロナウイルスにより外国語教室市場や留学斡旋市場、通訳・翻訳ビジネス市場などへ引き続き影響があることから、減少傾向で推移する見通しである。

となっています。

特にいまのコロナ禍においては、市場を牽引する対面型の英会話スクールの売上が半減近くになり大打撃を受けています。僕らが運営するミライズ英会話も大きな打撃を受け、これまでの事業形態ではこのコロナ禍を生き残っていけない状況に陥っている企業が大半かと思います。

コロナがきっかけとなりましたが、遅かれ早かれ語学サービス事業者は変革に迫られることになる運命だったのだと、僕は思っています。

その理由は、これだけの市場規模がありながらも、テクノロジーとの融合を積極的に進めて来なかった業界だったのではないかと。皆さんも想像してもらえれば分かりやすいと思いますが、

10年前、20年前の英会話スクールと現在の英会話スクールの形態を比較した時に何か違いがあるでしょうか?

僕も数年前に大手の英会話スクールに通っていましたが、授業の予約や変更が電話でしか出来なかったことが今でも忘れられません(笑)

その上で、今後の業界動向を予測するとコロナが契機となり、間違いなく英語学習のオンラインシフト、デジタルシフトが大幅に加速していくと思います。先程の市場規模では、オンラインの市場規模はまだ大きくないって話でしたが、今後数年かけて大きく市場シェアを伸ばしていくのは間違いないです。また英会話アプリも同様かと思います。

現代のテクノロジーを使って、手軽にいつでもどこでも英会話の学習が出来る環境がますます整備されていくことで、これまで大きな市場規模に胡座をかき、イノベーションを怠ってきた企業群の市場が奪われていく。長年、大手プレーヤーの顔ぶれが変わらなかった市場が、いよいよ転換期を迎えるのではないかと予想しています。

では、対面型スクールの今後は

画像2

では、「対面型の英会話スクールは無くなっていく運命にあるのか?」という論点が生まれてくると思いますが、ぼくの予想としては「NO」です。市場は徐々に縮小していくと思いますが、ある一定以上の市場規模は保ち続けるものと思います。先日書いた記事を参照してもらえればと思いますが、現在のオンライン英会話やアプリも完全ではありません。

なので、これから求められるものとしては、「オンラインで手軽にいつでも、どこでも受けられる英会話」だけでは得られない価値を見極め、それを対面型スクール事業者が提供することが出来れば、そこには大きなニーズがあると思います。

オンラインVS対面型スクール、といった構図ではなく、オンラインと共存できる、シナジーが生める、といった視点での事業のあり方が求められるのではないでしょうか。

そういった観点で各社が競い合っていくことで、語学サービス市場の発展につながり、お客様へよりレベルの高いサービスを提供していけるものと期待しています。

まとめ(で、オワコンなの?)

まとめると、こういったことだと思います。

変化を求められずに総論としてはオワコンになろうとしていた語学サービスが、コロナをきっかけに大きく変化を求められていることで、大きくイケてる市場になる可能性が出てきた

今のままの語学サービス市場であれば、オワコンの道を進んでいったと思います。イノベーションが起こってないから当然ですよね。しかしコロナによって市場自体が変化を求められる中で、どういったサービスが生まれてくるのか次第で状況は大きく変わって行くと思います。

特に、これほどの市場規模がありながら、まだまだテクノロジーの活用が進んでないことを考えると、大きな成長余力があるとも言えますね。

Amazonのように異業種からやってきて既存事業者を一気にDisruptする可能性も。オワコンではなくイケてる市場になるよう、僕らも次世代型の語学サービス作りに取り組んでいきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?