週刊金融日記 第533号 勉強やる気スイッチを押す方法と寮のある学校特集の補足、米長期金利低下で株価大幅上昇と急激な円の切り返し、香港の都心で美味しいシーフード中華、いつまでもあると思うな親と男の性欲、他
// 週刊金融日記
// 2022年8月2日 第533号
// 勉強やる気スイッチを押す方法と寮のある学校特集の補足
// 米長期金利低下で株価大幅上昇と急激な円の切り返し
// 香港の都心で美味しいシーフード中華
// いつまでもあると思うな親と男の性欲
// 他
こんにちは。藤沢数希です。
先週は為替相場に大きな動きがありました。1ドル=140円近くまで円安が進んでいたのですが、米国のGDPが2四半期続けてマイナスになりリセッションになりそうで、FRBのパウエル議長がガンガンと利上げすることに関してちょっと弱腰になました。結果、米国の長期金利が低下し、日米金利差が縮小し、現在1ドル=131円台まで円高になっています。
★金利差と為替の関係はとても基本的なことなんですが、意外とみんな理解していません。
この為替の動きというのは、教科書の通りです。為替理論はいろいろありますが、金利平価説(Theory of Interest Parity)というのは最も強力で、これに反することはよほどのことがない限り起きません。というのも、これはとても単純な裁定だからです。ドルと円の期待リターンを比べて、どちらかが高ければそっちを買えば期待値では儲かることになります。しかし、市場は効率的なので、どちらの期待リターンもだいたい同じぐらいになっているはずです。通貨のリターンは金利と変動で、金利の部分は見えているので必ず儲かる分ですから、ドルと円の金利差が広がれば、ドルが金利で得する分は変動のほうで損しやすくならないといけませんから、瞬間的にひょいと上がって、高いところに行って、下向きに落ちやすくなるわけです。今回は、この金利差が縮まったので、逆に動いたわけです。
よく、金利が上がったので通貨の魅力が増して、みんなが買うから上がる、とごまかして説明されますが、この説明は本来はおかしいのです。金利が上がって、金利で得する上に、さらにみんなが買って上がりやすくなるなら、変動幅でも得しやすくなり、金利が高い通貨が一方的に上がっていくことになりますが、そんなことはありません。金利が動く時に瞬間的に価格も上がって、その後はゆっくりと下がりやすくなるわけですね。まあ、こうやって言葉で説明するのは難しいので、金利が上がって通貨の魅力が増したため……、と大昔から嘘の説明が繰り返されています。
ところで、金利差と為替の動きが教科書に書いてある理論通りだからといって、儲けられるわけではありません。為替の動きは金利差の動きで決まるんですけど、じゃあ、今度は金利差がどっちに動くかを当てるゲームになるだけで、それは簡単にはわからないからです。
以上のような為替の理論は、だいぶ昔に書いた経済学の本に、数式を使って、わかりやすく書いてあります。
『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』 http://amzn.to/2wdYno3
WHOが緊急事態宣言を出しているサル痘ですが、ニューヨークではすでに感染が急拡大していて、ニューヨーク州が非常事態を宣言しました。まだ、男性同性愛者間での感染がほとんどですが、これからどんどん広がっていくでしょう。天然痘のワクチンが効くみたいなので、早いところ、コロナワクチン同様に、簡単にワクチン打てるようにしてもらいたいですね。
●サル痘 感染広がる 米 ニューヨーク州が非常事態宣言
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220731/k10013744311000.html
Google、Amazon、Apple、Facebook、Microsoftなどの米国の巨大IT企業の決算が発表されました。今週のマーケットコーナーにも書きましたが、まあまあ悪いですね。Amazonは赤字で、GoogleとAppleは減益です。Microsoftは増収・増益。Facebookは初の減収となり想定通り悪かったです。しかし、思ったほどめちゃくちゃ悪くなかった、ということで、Google、Amazon、Appleなんかは決算が終わってから株価が上がっています。Microsoftももちろん上がりました。
イーロン・マスク氏が率いる宇宙ベンチャーのSpaceXが提供するStarlinkという衛星インターネットアクセスを戦争がはじまるとすぐにウクライナに提供するなど、米国の企業はウクライナ軍を間接的に支援しているのですが、Microsoftもいろいろ協力しているようですね。現代のハイブリッド戦争です。
●ウクライナ侵攻のもうひとつの戦場「サイバー空間」その実態に迫る
「IT企業がウクライナの抵抗を支えている。これは新しい現象です。この協力なくして、いまは(戦争を)遂行できなくなっている現実が出てきている。アメリカの民間企業の協力がなければ戦況が変わっていた可能性もある」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2022/07/special/cyber-ukraine-0728/
この原稿を書き終わるころに、米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問しそうである、ということで僕のTwitterの英語圏の金融クラスタがザワザワしており、それから、日本の軍事クラスタとかもザワザワしはじめて、これは中国がドンパチはじめるんか!?みたいなことまで言いはじめて、僕は正直、ナンシー・ペロシという82歳のばあちゃんのことをよく知らなかったので???となりました。
調べたら、この80過ぎのばあちゃんは、1991年に天安門事件が起こると、速攻で天安門広場を電撃訪中して、垂れ幕かかげて全世界に放送させるわ、反中国の代表的な政治家で、もちろん米国でも偉いポジションに就いています。ウクライナで戦争がはじまると、すぐさま戦時中のキーウまで飛んでゼレンスキー大統領と会談したりしているんですよね。いまアジア歴訪中でシンガポールにいるんですけど、ついでに電撃的にまた台湾に行くみたいです。それで、中国がめちゃくちゃ怒っていて、必ず対抗措置を取る!と言っております。
せっかくサプライチェーンとかの問題も落ち着いてきたのに、ここでまた米中対立で制裁合戦ということになると、世界経済に暗雲が立ち込めますね。
ナンシー・ペロシさんは子供が5人もいて、すでに孫もたくさんいるそうです。82歳でも元気で、こうやって世界を揺るがしちゃうって、とんでもなくパワフルなばあちゃんですね。
★Twitterを見ていたら、ペロシ米下院議長が台湾に行くということで、ザワザワしはじめました。
●米ペロシ下院議長 シンガポール到着 台湾訪れるかどうかに関心
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220801/k10013747111000.html
●中国外務省「ペロシ議長が台湾訪問すれば強力な対抗措置」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220801/k10013746791000.html
7月は株式市場は大変な上昇となったのですが、僕はいいところでいくつかの銘柄を拾えました。市場参加者はとにかくインフレとそれに対抗するFRBの利上げペースばかり気にしていたので、パウエル議長の会見後には、それが思ったほどではない、というだけでこんだけ爆上げしたんですが、何といってもリセッションですし、企業業績も順調に悪化しておりますし、こうやってナンシー・ペロシさんがまた米中関係を引っ掻き回したりしています。株式市場はだいぶ過熱感があったんで、メルマガの原稿書きながら、いくつか利食って、短期トレード用のアカウントはちょっとショート気味にしました。別の長期保有用の口座に世界株インデックスETFが置いてありますから、全体ではだいぶロングですけどね。
●世界株1年8カ月ぶり上昇率 期待先行、買い戻しが主導
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB010SV0R00C22A8000000/
BLOGOSに引き続き、Cakesもサービスが終了することとなりました。Cakesに8年前に掲載されたインタビュー記事をメルマガに再掲載しました。他にもまだ対談記事がありますので、順次再掲載します。
『週刊金融日記 第520号 モテるかどうかは"ひとこと"が言えるかどうか』
『週刊金融日記 第527号 IT革命と恋愛市場の変相 その1 インターネットは現代社会にバラ撒かれたアヘン』
『週刊金融日記 第528号 IT革命と恋愛市場の変相 その2 ふつうの彼氏はどこにもいない』
『週刊金融日記 第529号 IT革命と恋愛市場の変相 その3 三低なんて大嘘、仁義なき女の見栄の張り合い戦争』
『週刊金融日記 第530号 IT革命と恋愛市場の変相 その4 ミクロ恋愛工学と男女別モテ曲線』
『週刊金融日記 第531号 IT革命と恋愛市場の変相 その5 美人であるということは賭け金の高いゲーム』
『週刊金融日記 第532号 IT革命と恋愛市場の変相 その6 女の人の男の選び方は常に間違っている』
今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。
- 数十年前に難関中学に合格した時のやる気スイッチを思い出してみました
- 仕事部屋のレイアウトに風水を考慮すべきでしょうか
- ホリエモンがワクチンを打たないビジネスパートナーと絶縁していた件について
- 中高生の時代にされた嫌だったことを思い出し怒りが湧いてきます
- 性欲という燃料がなくなり3年同棲していた彼女と別れました
それでは今週もよろしくお願いします。
1.勉強やる気スイッチを押す方法と寮のある学校特集の補足
今週は読者の方から洞察に富む勉強のやる気スイッチに関する投稿が送られてきたので、まず、これに関して議論したいと思います。また、以前、寮のある学校についての特集をしました。これはたくさん売れたバックナンバーなのですが、追加情報があるので、補足記事を書きたいと思います。
『週刊金融日記 第504号 子供を寮のある学校に入れれば中学受験は割に合います』
『週刊金融日記 第531号 子供の勉強のやる気スイッチはどこにあるのか』
まずは、読者の方からの投稿です。
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- 数十年前に難関中学に合格した時のやる気スイッチを思い出してみました
毎週メルマガを楽しみにしております。
最近話題になることの多い教育工学の「やる気スイッチ」ですが、所長は「やる気スイッチを無理矢理押すのは困難」という立場でした。
以下のメルマガなどに、そのようなことが書いてあります。
『週刊金融日記 第518号 中学受験は代理戦争ではない!親はウクライナ軍を支援するアメリカのようになれ』
『週刊金融日記 第524号 ディープステイトを舐めてはいけない、米国株のバリュエーション正常化は一段落』
『週刊金融日記 第526号 コロナバブル崩壊!今年の荒れ相場が楽しみ、インフレで株もクリプトも大暴落』
『週刊金融日記 第531号 子供の勉強のやる気スイッチ、美人であるということは賭け金の高いゲーム』
『週刊金融日記 第532号 米国経済はリセッション入りしそう、GAFA決算、百年以上続く広東料理』
一方、このメルマガの読者には所長も含め「やる気スイッチ」が入った経験のある人が多いと思われます。
もしかすると皆が経験を共有することで100%ではなくても「やる気スイッチ」を押す可能性が高くなる術を探し出すことができるのではないかと思い、僭越ながら私の経験をお送りさせていただきます。
私は九州のとある中高一貫校(所長が時々話題にされている2校のうちのどちらかです)に30年以上前に入学したものの、見事に入学後の成績は低空飛行しました。
大学受験は某国立大でやりたいことを見つけたものの不合格。
早慶にも落ち、MARCHに入学した経験があります。
まさに、某開成高校からMARCHに入学した、と投稿した方と似たような経験です。
『週刊金融日記 第210号 開成から浪人してMARCHに進学しました』
今思うと大学受験は「やる気スイッチ」がそれほど入っているわけではなく(それでもSAPIX卒業生の平均ぐらいのMARCHには合格できているので、名門中高には感謝したほうが良いのでしょうね)、その一方で中学受験は必死でやっていた記憶があります。
この2つの違いを思い返してみました。
中学受験は、当時の私が進学する予定の公立中学校が校内暴力で荒れ果てており、なおかつ小学校の教師やクラスメイトとは仲良くなれず「こんなところに行ったら人生終わりだ」「絶対に行きたくない」の一心でした。
今思うとなかなか失礼な発想ですが……。
それに対して大学受験は、高校時代バブル期だったこともあり、「MARCHでも行ければ人生そんなに困らない」「でもたった一度の人生、頑張ってみたい」くらいの気持ちでした。
受験だけでなく私の人生を振り返ってみると、高得点を取るのは快感でしたが、勉強は好きでもなく、それほど上昇志向も強くないので「ギリギリに追い込まれた状態」を作らないと「やる気スイッチ」が入らないようです。
そう考えると、私が今の時代の恵まれた小学生だったらなかなか「やる気スイッチ」が入らない気がします。
敢えて「やる気スイッチ」を押すなら、たとえば東南アジアの貧民街を見学させて、「今後日本は少子高齢化で没落して、ほとんどの人間がこんな生活を送ることになるかもしれない。だから勉強しないといけない」と信じ込ませるしかないと思います。
所長は以前「大学は東京に行きたい」「留学したい」と強く思って勉強した経験を書かれていましたが、中学受験はどういう気持ちで突破されたのでしょうか?
共有いただければ幸いです。
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