<読書>夜のピクニック
ずっと気になっていたけれど、まだ読めていなかった作品の一つです。
最近、外出自粛中なので、この機会に様々な作品を読もうと思い、購入した本です。
夜のピクニック 著者:恩田 陸
『夜のピクニック』の物語の舞台は、北高校の伝統行事「歩行祭」。
「歩行祭」に参加する高校3年の融や貴子、その同級生たちのそれぞれの事情、人間関係が描かれています。
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現在、私は高校生の母親世代。
高校生を見ていると、「若い、青春している!」と感じます。
でも、高校時代の自分は、そんな単純な言葉では表現できない、もやもやしたものを心に抱えていました。
高校3年になると、進路を決めなくてはなりません。
しかし、その当時は、現在より大学進学率も高くなく、大学受験の競争は厳しいものでした。
大学生は、自由で、キラキラ輝いているように見えました。
でも、自分が大学生になれる保証は、一つもありませんでした。
大人に近づいていることを自覚していましたが、まだ自立して生活していける経済力もありません。
大人にならなくてはいけないのに、何もできていない、まだ子どもの自分。
高校時代、そんな自分が好きにはなれませんでした。
また、進学するつもりで受験勉強はしていましたが、学力も高くなかったので、無事に大学に合格できるのか不安でいっぱいでした。
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『夜のピクニック』の登場人物、高校の同級生の融と貴子は、お互いの関係を周囲に隠しながら、関わらないようにしながら過ごしていました。
しかし、その二人の態度を同級生たちは不自然に感じていて、関係を疑われています。
しかし、皆で一夜を歩き通すうちに、融、貴子とその同級生たちの事情や、気持ちが明かされていきます。
お互いに避けていた融と貴子も、二人で話をして、お互いの関係を認めようとします。
この作品では、登場する高校生たちの、感じていることや考えていることが丁寧に描かれています。
大人になる一歩手前で感じること。
それは、今になって思い出すと懐かしいけれど、楽しいだけではない、複雑な感情です。
『夜のピクニック』を読んでいて、高校時代のもやもやとした気持ちを思い出しました。
不安を抱えていてた私の高校時代は、輝かしいものではありませんでした。しかし、その時代があったから、その時代を自力で乗り越えたから、今の自分がいるのは確かです。
『夜のピクニック』を読み終えて、その様なことを考えました。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
恩田陸さんの他の著作も読んでみたいです。
私K.Kからのごあいさつです↓↓↓
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