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2020年5月の記事一覧
DIYで防音室を作ってみた(1.まえがき)
今の時代、DAWの普及や各種シミュレーター等の技術的発展はめざましく、ある程度の音楽作品は自宅にいながらにして簡単に作れてしまう時代になりました。
しかし、ただ唯一取り残されているものがある。それは、
生楽器や歌の練習や録音をするために、自由に大きな音を出せる環境。。。!
生演奏や肉声の魅力というのは、いつの時代でも人の心に訴えかけてきたもので、どれほど世のテクノロジーが変容を迎えても、我々
DIYで防音室を作ってみた(2.計画)
以下のような仕様で防音室製作を進める事にしました。
(1)部品は原則、全てホームセンターにあるものだけで構成するものとし、自立型の据え置きタイプ、かつ一人で組める軽量設計を目指す(総重量180kg以内)
(2)高い密閉性を実現する為、1mmの隙間も許さないシビアな寸法精度
(3)ギターやベースを弾けるだけの十分な広さ
(4)内部液晶モニター付き(室内でDAWを操作できるよう、セルフレコーデ
DIYで防音室を作ってみた(3.壁の構造)
さて、今回の設計コンセプト「一人で組める軽量設計」を目指す上で最も重要なポイントとも言えるのが、壁の構造です。
壁および天井の材料構成は、下図のようにしました。
防音効果のある壁の構造について多くの資料に目を通しましたが、現在の定説として言われているのは、遮音材と吸音材の両方をいかに組み合わせるか、という事のようです。
遮音材は、音を遮蔽する能力は高いものの吸音能力は乏しく、そのまま音を反射
DIYで防音室を作ってみた(4.寸法の決定)
まず、ギターやベースをストレスなく演奏できる広さを確保。
そして、ある程度身長の高い人を呼んでレコーディングをするような事になった場合でも対応できる天井高さを確保したかったので、以下のような寸法としました。
(外形寸法)幅915mm、奥行き1350mm、高さ2065mm(頂部設置の吸気ユニットを含む)
(内法)幅840mm、奥行き1290mm、高さ1910mm
(ちなみに僕の身長は168cm
DIYで防音室を作ってみた(5.材料購入)
細かい雑部品(金具やネジ類など)などは後から買い足すとして、まずは外側の壁材と柱材を購入。
・板材(壁&天井用):OSB合板 1820x910x厚さ11mm (6枚購入)(7200円)
細かい木片を不規則に絡み合わせ、ボンドを混ぜてプレスされて作られる外国産の合板。
こうした材料が持つ全体の不規則性/不均一性は音や振動を減衰する効果が高い(エレキギターやエレキベースのボディ材には実際にそう
DIYで防音室を作ってみた(6.壁組立)
いよいよ組立作業開始です。
外側のパネルに使う材料に関しては、全てホームセンターで事前に切ってもらいました。
※ ホームセンターでも、切ってもらう人の練度や工作機械の種類によって微妙に寸法の追い方が違ったりするので、材料の切断加工をお願いする場合はできる限り同じ店で一度に全部お願いするようにしたほうが良いかもしれません。
(パネルジョイント作業)
最初は、パネルのジョイントに↑のシンプソン
DIYで防音室を作ってみ(7.換気装置)
防音室用の換気ユニットは専用のものが個人向けにも販売されていましたが、数万円と結構なお値段だった為、やはりこれも自作しました。
「空気は通り抜けるが、音は通さない」という、そんな欲張りな機能を持った換気ユニットとは、一体どのような構造になっているのだろうか?と、首を傾げながら関連する設計書や技術資料をくまなく調べました。
その結果、防音仕様の吸排気ダクトは、内側に吸音材を貼った迷路のような構造に
DIYで防音室を作ってみた(8.ドア周り)
今回の防音室製作に際し、これまで完全DIYで防音室を完成されてきた多くの先人の方々のブログを参考に見てきましたが、どの方もドアの設計にはかなり苦労しているのがわかりました。
僕も相当な時間をかけて入念に調べたものの、ドアに関しては「このアイデアを採用しよう!」という画期的なものにはついに出会わず、けっこう悩みました。
ドア部分だけ、スチール製の堅牢な防音ドアユニットをまるっと購入する事も考えま
DIYで防音室を作ってみた(9.ドアノブ)
スタジオやライブハウスの防音ドアによく使われていて、個人的にはすごく見慣れていた防音扉用のドアノブ(グレモンハンドル)。
個人的には結構見慣れた部品だったし、ネットで調べればこんな部品は簡単に見つかるだろうとタカをくくっていたのですが、まずこれが誤算でした。
完全受注生産品のため、個人向けにはどこも売っていない!(2016年5月時点)
ここでは相当な時間をかけて調べたのですが、仮に本当にどこ
DIYで防音室を作ってみた(10.完成)
ダイニングのスペースを作業場として占有して早4ヶ月。ようやく設置予定の場所に組み立てる日が来ました。
側面板に2本見える縦の線は、ロイヤルチャンネルサポートという棚をつけるレール。
主にオシャレな陳列棚などに使われる棚用レールとブラケットですが、液晶モニターやキーボードを置く場所を作るために取り付けました。
そこの部分だけ吸音材やジョイントマットを切り抜いて板材に向けて直接ビス留めしてあります
DIYで防音室を作ってみた(11.性能検証・総括)
(遮音性能の検証)
いよいよ運命の性能試験。と言っても最終的に自分で使っていく物なので気楽なもんですが、果たしてここまでの4ヶ月の努力が結果としてどう出るか。。。
(性能試験)
まず写真のようにモニタースピーカーを置き、同じ音を鳴らした場合の室内と室外での音をiphoneアプリのスペクトラムアナライザーを使って、周波数帯域ごとのデシベルの値を計測しました。
上が防音室内の波形。下が室外の波
DIYで防音室を作ってみた(12.あとがき)
以上で終了になります。このトピックをここまで読んでいただき、ありがとうございました。昨今、日本では数多くの楽器メーカーが防音室をラインナップしており、それぞれのメーカーがこの苦境の中でしのぎを削っています。
そんな中「5万円」などという金額で買える防音室は現在どこにも無いどころか、中古でもその10倍、20倍という金額がかかり、中古自動車が買えてしまうほどの大きな買い物だったりします。
しかし、そ