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風の世界の童話|宇宙船ちきゅう号のものがたり【オリジナル/幼年童話】

あらすじ
かつて、ハコブネはそらを飛んでいました。
宇宙という海を自在におよぎ時に未来へ、過去へ、自由に時空を移動する星でした。

海底の奥底に沈んでしまった、宇宙船ちきゅう号 - ハコブネ。
そしてハコブネにくらす可愛いエートスたち。

ハコブネはふたたびそらへと飛び立つことができるのでしょうか。



第一話 宇宙船うちゅうせんちきゅうごう

宇宙うちゅうといううみで、一つのハコブネがかいていのおくそこにしずんでいます。

このハコブネは ちきゅう というほしです。

ハコブネにはたくさんのなかまがくらしています。

しかし、おおくのなかまにとってハコブネはカイテキなばしょではなくなってしまっています。

かつて、ハコブネはそらをとんでいました。

宇宙うちゅうといううみをじざいにおよぎときにみらいへ、かこへ、じゆうにじくうをいどうするほしでした。

ところが、いまハコブネは、宇宙うちゅううみのおくそこへしずんでしまっています。

なぜなら、ハコブネのなかのみずが クルーたちの にもつで とてもよごれてしまったからです。

それから ながいあいだ、ハコブネはうみのそこで ふたたび ふじょう することを ゆめみながら、すごしています。

うみのそこのハコブネのまわりを たくさんのエートスたちが かこんでいます。


第二話 ハコブネのいきもの図鑑ずかん

まんぼうさんがきもちよさそうにおよいできました。

まんぼうさんはとてもかしこいさかなですが、からだがとてもよわく あつさや さむさにも よわく、ストレスにもよわいおさかなです。

たまに、からだのかわがとてもかたいまんぼうさんもいますが、きほんてきにはとてもデリケートで せんさいなおさかなさんです。

おや。
ハコブネのなかでたからさがしをしているのは かいりゅう さんでしょうか。

たのしいことがだいすきで、ワクワクすることに かかんに チャレンジしていきます。
とてもかっこいい かいりゅう さんに みんなが あこがれています。
ハコブネにかっこいい おたからがあるらしいぞ!ときいて さっそうとハコブネにやってきたようですよ。

それをうみのそこからゆらゆらと ちんあなご さんが見ています。

「かいりゅうさんはおかしいね」と、ちんあなごさん。
「そうだねそうだね、だってハコブネよりも宇宙うちゅうおおきなうみのほうがおたからがありそうなのにね。」

ちんあなごさんは、みずからおよいでおたからをとりにいったりはしませんが、いつも おなじばしょ にいるので ゆらゆら しながらぶんせきしたり くうそうしたりすることがとても じょうずです。

ふわふわふわ~、 くらげ さんがやってきました。

くらげさんは、うみのエンターテイナー。そのおもしろいかたちや とくせい を いかして みんなを わらわせることがとくい。

きょうは まんぼうさんに よろこんでもらうために あたらしいマジックをもってやってきたようですよ。

「みてみて~。ほらっ、からだが とうめいになっちゃった。」

まんぼうさんはおおわらい。
なぜかって。このマジックをみるのはなんと50かいめだからです。



おや。こうそくで いどうしている くらげ さんがいます。

「おーい。そっちじゃないよ。こっちだよ。」
あわてて おいかけていって つれもどしたのは にんぎょさん。

にんぎょさんはいつもたのしそう。
うみにあそびにくることもありますが、
ふだんは にっこうよくをたのしみ、じまんのおはだを ぴちぴちに たもてるように びようには よねんがありません。

いつも たのしそうなので たくさんの なかまが にんぎょさんを したっています。

にんぎょさんはキラキラするものがだいすき。
ハコブネにはたまにほうせきをさがしにやってきます。みつけたほうせきは ネックレスにしたり ゆびわにしたりして、じぶんでつけたりおともだちにあげたりしているようです。

にんぎょさんたちが にっこうよくをしているところに かわいい くりおね さんがやってきました。
くりおねさんは にんぎょ にいいました。

「あなたたちはかわいいね」
にんぎょさんはよろこびました。

なぜなら くりおね さんにほめられたにんぎょさんは、かならずにんきもので めだつエートスになれるからです。

そのよこを よいしょよいしょ、と せいうち さんが とおります。
ごはんをたべにかいていに もぐりに いくようです。

せいうちさんは、みずのなか でも、りくのうえでも せいかつをすることができ、かつてはそらを とんだこともありました。

「でもいちばん、りくがらく。』と、せいうちさん。
おやおや、みずのなかに ずっといる せいうちさんもいますよ。
りくがらく ではないの?

「ぼくは らっこ だから、ずっとみずのなかでくらすんだよ。あらしがおこるまではみずのなかにいるんだ」

うーん。どこからどうみても みためは せいうちさん。きっとあらしがおこってりくにがると、じぶんが せいうちであることに きがつくのかもしれませんね。



「せいうちさんは かっこいいなぁ。」と、どこからともなく、おおきなせいうちさんにあこがれる あざらし さんが やってきましたよ。

せいうちさんのことをかっこいい、とあこがれているエートスで、
じぶんで いろんなことを そっせんしてやるのは にがて、と おもっていますが・・・。

じつは いざとなると せいうちさんいじょうにすばやく いろいろなことができることを、あざらしさんはしりません。

なぜなら、むちゅうで やっているときは きおくが ないそうです。

そんなあざらしさんのもとにそらとぶぺんぎんさんがやってきました。

「あざらしくん、あざらしくん、じつはきみもそらをとべるんじゃないかな。さあ…やってみようよ。」

あざらしさんは わらいます。

「ぺんぎんさん、ぼくたちはそらぶのも、みずのなかにはいるのも あまりすきじゃないんだ』

おや。あざらしさんはそらをとんだことがあるのでしょうか。

「とんだこと?うーんないけど。」

そらとぶぺんぎんさんがそらをとんでいると わたげ さんにあいました。

「めずらしいね、わたげさんにあうなんて。」
わたげさんはわらいます。

「そう?いつもそらをとんでいるのよ」

わたげさんはそらとぶぺんぎんさんにききました。
「ねぇ、もしかしてそろそろじゃないかなぁ?」

そらとぶペンギンさんはまるくしていいました。

「ついに!」

そして、こうそくで りく におり、ぺんぎん会議かいぎを しょうしゅう したのです。


第三話 ぺんぎん会議かいぎ


「そろそろらしい」
「ついにきたらしい」

そこにくりおねさんがやってきます。
「ぺんぎんさん 、なにがそろそろなの?」

「じつはね、もうそろそろハコブネをそらげるんだ。もうそのときなんだ。ぼくたちみんなでハコブネのために はたらくんだ!」

くりおねさんはとても かんどうしました。
「わかった!わたしがひろめるわ!」

そういってくりおねさんは、うみのなかにはいっていきました。

ぺんぎんさんたちは、あざらしさんたちにもこえをかけました。

「あざらしさん、ちょっとかいていにいって、ちんあなごさんたちにおそうじをしてもらってくれないかしら。」

あざらしさんは、こくっとうなずき、かいていにもぐっていきます。
つたわったのでしょうか?

そう おもって ぺんぎんさんがみずのなかをみつめると・・・。
だいじょうぶ、ほうきとちりとりをもって あざらしさんが ちんあなごさんのもとへおよいでいっています。

もういちどみずのなかをみると ちんあなごさんと あざらしさんが いっしょにおそうじしています。

あざらしさんはとてもはたらきものです。
とくいなちんあなごさんに、おそうじはおねがいしたかったのですが・・・。
ですが、ここはあざらしさんもいっしょにおまかせしましょう。

だんだんうみがきれいになっていきます。


くりおねさんは、うみのなかでよびかけます。

「みんな!おそうじをして!」

くりおねさんは とてもめだってしまうそんざいなので、えいきょうりょくばつぐん!

おやおや、なんとまんぼうさんたちがたいりょうにおよいできてみずのうずをつくっています。

「おそうじおそうじ!みんなでやるよー!」

「ちょっとやめて!ほこりがよけいに まってしまうわ!」

にんぎょさんたちから大クレーム!

「まんぼうさんたちは、かいりゅうさん と いっしょにハコブネをおして ほしいのよ。」

「わかった!」

まんぼうさん、にんぎょさんがいっしょうけんめいハコブネをおしますが、なかなかハコブネはふじょうしません。
おや?はたらきもののあざらしさんはここでもとうじょうです。

そこに わたげさんがそらからいました。

「うたをうたいましょう。
うみおんがくをながし、はなをうえましょう。』

そういうと、ぺんぎんさんたちはうたをうたい、はなをうえます。
そう、わたげさんがうことを せいかくに りかいし すばやく こうどうが できるのは ぺんぎんさんです。

「よーし、じゅんびができたぞぉ」


第四話 ついにぶハコブネ


せいうちさんがうごきします。

「よーし!ぼくらのでばんだ!」
せいうちさんは よいしょよいしょ と りくへ ハコブネをひきげます。

ようやくハコブネはみずからすこしかおを しました。

「ぼくが いっとうこうかいし!」
せいうちさんは すっかりせんちょうさんです。

そらとぶぺんぎんさんたちがハコブネをそらへと、いっきににひきげます!

ハコブネがすこしかおをげたら あとはぼくのでばん!

「さあみんな! ハコブネにのって!!!」

ハコブネはいっきに 宇宙うちゅうちます。
かつてのハコブネのように。

そらとぶぺんぎんさんたちは、もうハコブネをひっぱる ひつようが ありません。
もう自由じゆうまわっているのです。

なにものにもとらわれず すべてのエートスたちが このハコブネでカイテキに くらしています。


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