風の世界

すべての人の中に"あの世界"はある。 私は"あの世界&…

風の世界

すべての人の中に"あの世界"はある。 私は"あの世界"を「風の世界」と表現していますが、 それは人によって花畑のようであったり宇宙のようであったりするそうです。 このnoteでは"風の世界"を表現した作品を公開していきます。わたげさんに書いてもらったよみものもこちらからどうぞ

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    「風の世界の童話」では子どもから大人まで楽しめる ちょっとふしぎな幼年童話を発表・発信しています

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風の世界の童話|宇宙船ちきゅう号のものがたり【オリジナル/幼年童話】

第一話 宇宙船ちきゅう号 宇宙という海で、一つのハコブネが海ていのおくそこにしずんでいます。 このハコブネは ちきゅう という星です。 ハコブネにはたくさんのなかまがくらしています。 しかし、おおくのなかまにとってハコブネはカイテキなばしょではなくなってしまっています。 かつて、ハコブネは宙をとんでいました。 宇宙という海をじざいにおよぎ時にみらいへ、かこへ、じゆうにじくうをいどうする星でした。 ところが、いまハコブネは、宇宙の海のおくそこへしずんでしまってい

    • 風の世界の童話|この祈りを、羽に乗せて【連作短編】

      私は、善にあこがれ、善なるものと共に 生きてきた。 善は優しく 善は暖かかった 善のために私は戦った 善のためには何でもできると思った 私は何度も祈った この世界が平和になるように この世界が美しくなるように しかし私は弱かった 善のために戦おうとしても心が何度も悲鳴を上げ 心が何度も苦しいといった 時には倒れてしまった 時には入院することもあった 意識が遠のいていったり、死の淵をさまよったこともあった 私は善を祈りながら、ベッドの淵に腰かけていた 周囲の人は私を

      • 風の世界の童話|やさしく、たゆたうように【連作短編】

        難しい顔をしてチンアナゴさんが漂っています。 どうしたのでしょうか 「ゆらゆら・・・あぁ海はもっと広いのに。私は何でこんなところにいるのかしら?」 それが、難しい顔をしている理由ですか 「いえいえ、違いますよ。ちょっと難しい問題を解いていたんです。」 なんだ・・・・心配しちゃいましたね。 チンアナゴさんのところにいろいろなエートスがやってきます。 皆チンアナゴさんとお話するとうっかり笑顔になってしまいますね。 「あ~・・・・やっておきます」 チンアナゴさんは優しい

        • 風の世界の童話|いつだって、輝いて【連作短編】

          ざばーん!!!大きな音を立てて、カイリューさんがやってきました。 カイリューさんは、それぞれに得意を持っています。 「私はね、先見の明があるのよ!!!ほんとね、もう無一文からビジネスを作ってこんなにできるようになったのよ。あ~昔?昔はね、全然違う仕事してたの」 「私はね、、ここだけの話、目に見えないものが見えるのよ。しかもね、生まれつきではないの」 皆がカイリューさんにあこがれの目を向けています。 「え?今日の会議の会議室が取れてないって‥!?」 大きな声でカイリューさ

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        風の世界の童話|宇宙船ちきゅう号のものがたり【オリジナル/幼年童話】

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          風の世界の童話|漂うように、ただそれだけで【連作短編】

          ふわわ~ふわわ~ クラゲさんはいつも浮かんでいる。 でもふわふわしてて何も考えていないのかというと、実は違うのです。 クラゲさんはとにかく頭がいいんです 「あーその視点はなかったです。」 と、いうのがクラゲさんが何かを伝えたときの周りの反応だ。 細かなところもよく気が付くし、視点がとてもこまやかで正確です。 ふわふわしているけどルールはきっちり守ります ふわわ~ふわわ~ 「クラゲさんっ!!!!」 ものすごい速さで、マンボウさんがクラゲさんのところにやってきました。

          風の世界の童話|漂うように、ただそれだけで【連作短編】

          風の世界の童話|わたしはいつも、ここにいる【連作短編】

          私は、よく”仕事ができる”と言われるし、私自身もそう思っている。 正直なところ仕事ができすぎて仕事は多いんだ。 だから残業が人より多めかな・・・それが悩みだよ。 どんな仕事でも難しいマニュアルとかもちゃんと読み込むんだ。 だから私の右に出る者はいない。 クラゲさんもそういうものは得意みたいだけど、使いやすい仕組みで言ったら、もうそりゃ比べ物になんてならないよね。 隣にいる彼は、事業部長なんだって。 僕たちは、物事を俯瞰してみることも得意だからねぇ。。 あ、でもね、えらく

          風の世界の童話|わたしはいつも、ここにいる【連作短編】

          風の世界の童話|かわいいは、世界を救う【連作短編】

          陸はいつも穏やかだった。 ただし時には、陸は暑すぎて泳ぐことも必要だったし、何より私は泳ぐように生まれてきた。 足があったらいいのにな・・・と思うこともあった。 泳ぐことも好きだった。 上手に泳げたし、体中の汗がすっきりした。 どんっ!!アザラシがぶつかってきた。 「もう!!!!!!何で前を見ないのよ!!!!」 と私が怒るとアザラシは小さくなって「ごめん…」といった。 もう、きをつけてよね!!と私は怒ったが、小さくなったアザラシをみたらもういいかなと思った。 水中に

          風の世界の童話|かわいいは、世界を救う【連作短編】

          風の世界の童話|見えてしまう、この痛み【連作短編】

          わたしはとても目立つらしい たくさんの群れの中にいても、特別に輝いている。 オーラは黄金だ、と言われるのだ それゆえに、社会で評価されることもあれば、著名な方から声がかかった経験もある。 思えば小さい頃から辛い人生だった。 繊細ゆえに体を傷つけ、悲しむことも多かった。壊れてしまいそうになったことも一度や二度ではない。 社会の冷たさに心まで凍りそうだった。 恵まれていたか、いなかったか、という軸ではなくて頑張って生きてきた。親は愛情をかけてくれたのかもしれないがそれが

          風の世界の童話|見えてしまう、この痛み【連作短編】

          風の世界の童話|うれしい、たのしい、大好き【連作短編】

          シャカイにでて、いつも掃除をしている。 今はカンリショクって呼ばれているけど、 そんな僕にも「できなかった時代」があった。 何をしてもうまくいかなくて 怒られてばかりいた 楽しいことに目がなくて楽しいことばかりしていた。 ここを掃除して、と言われたのに 言われてない部分を掃除し始めたら夢中になってしまって、 言われてない部分しか終わらなかったり ついついのんびりしてしまって終わらなかったこともあった。 そんな時、みんなが助けてくれた。 教えてくれた。 いろんな教えを

          風の世界の童話|うれしい、たのしい、大好き【連作短編】

          【短編小説】ひまわりの絵 - ある旅人の手記より

          ある人が 世界の真のすがたかたち を表そうと思いたち、筆をとった。 ある人が完成させたそれを見た誰かがこう言った。 「なんてうつくしい、これはひまわりの絵だ」 その日からそれは「ひまわりの絵」と呼ばれた。 素晴らしい、という人もいれば らくがきのようだ、という人もいた。 神が宿っている、という人もいれば 高く売れそうだ、という人もいた。 この絵には重大な秘密と陰謀が隠されている、という人もいれば 大層なほのめかしをしているだけで中身がない、という人もいた。 世間

          【短編小説】ひまわりの絵 - ある旅人の手記より

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          【朗読】風の世界の童話|宇宙船ちきゅう号のものがたり

          風の世界の童話|宇宙船ちきゅう号のものがたり の朗読版です。 <あらすじ> かつて、ハコブネは宙(そら)を飛んでいました。 宇宙という海を自在におよぎ時に未来へ、過去へ、自由に時空を移動する星でした。 海底の奥底に沈んでしまった、宇宙船ちきゅう号 - ハコブネ。そしてハコブネにくらす可愛いエートスたち。 ハコブネはふたたび宙(そら)へと飛び立つことができるのでしょうか。

          【朗読】風の世界の童話|宇宙船ちきゅう号のものがたり

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          風の世界の童話|ほんの少し、生きづらいだけ【連作短編】

          私は、水の中を泳いでいた。 私は、みんなとは違いいつも、冷静に観察していた。 ガッコウでも優秀だった。 セイトカイにも入っていたし、セイセキも良かった。 しかし私は、どこかいつも冷静だった。 シュウカツをする意味に迷い「自分とみんな」という区分の中でまどった。 社会に出てからも、私は優秀だった。 たまに、ふとした切れ目に田舎に行って何もない世界を体験してみたりした。 いつも自分には仕事がどんどんと降ってきて、私はいつのまにか、エラクなった。でも、どこかこれでいいの

          風の世界の童話|ほんの少し、生きづらいだけ【連作短編】

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          【朗読】風の世界の童話|わたしは飛びたい

          風の世界の童話|わたしは飛びたい(https://note.com/kazenosekai/n/n5bb88391d51e)の動画版です あるエートスは自分が何者かを知るために、様々なエートスに会いに行きます。 かつてはうまく、泳いでいた気もするけれど…? ”ありのままで生きる”ってどういうことだろう? ちょっと大人になったあなたに贈る物語。

          【朗読】風の世界の童話|わたしは飛びたい

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          風の世界の童話|ママは ぼくを おこるけど【連作短編】

          ぼくは、いつもママにおこられる。 「わるいことしちゃったなぁ」と おもうときもあれば、なんでおこられたのかなと、おもうときもあるんだよ。 ママは「なんども、おなじことをいわせないで」とおこるけど、こないだときょうはちがうのにな。 なにが「おなじこと」なんだろう…。 ママ、 ぼくが、おともだちとけんかしたのは、さきに おともだちが いやなことを したからなんだよ。 ママ、 ぼくが、どうろのまんなかで、とまっちゃったのは、どうろの まんなかに いるときに、ママがどこにい

          風の世界の童話|ママは ぼくを おこるけど【連作短編】

          風の世界の童話|おかしくて、かなしくて、キラキラしてる「それ」【連作短編】

          いつもある場所からじっと水面を見つめると時折、息をしにくる いのち があることに、私は気がつきました。 丘の上でじっとしている せいうち でもなく、あっちこっちをお掃除している あざらし でもなく、おしゃれを楽しんでいる にんぎょ でもなく、いつも泳いでいるのに苦しそうに上がってくる「それ」。 時折、丘の上で せいうち や あざらし や にんぎょ とお話をしている「それ」。 私は「それ」から、目が離せません。 だってなんだかキラキラしているから。 「キラキラ輝いている

          風の世界の童話|おかしくて、かなしくて、キラキラしてる「それ」【連作短編】

          風の世界の童話|わたしはここで待っている 【連作短編】

          私は、産まれた 重たくて重たくて、いつも泣いていた。 明るい昼間は、穏やかな空気の中で、安心して眠ることができた。 でも重い夜は泣いていた。 私は1人のようだった。 しかし、私は共にある存在を知っていた。 それに毎日手紙を書いた。 ある日水面を見つめ、そこにたくさんの命がいることを知った。 私は手紙を書くことをやめ、毎日水面を見つめた。いく日もいく日も見つめた。いつかその中で過ごすことを夢見た。 私も泳ぎたい、と思ったが、私は入ることができなかった。陸上にいるものは、

          風の世界の童話|わたしはここで待っている 【連作短編】