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泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.10


前回のお話 ↓


第6章 人化ノ儀


俺と両親は、この街に唯一ひとつだけ存在するあの神社を訪れた。

そこで宮司に、雪奈を人間へと変える「人化の儀」を行ってほしいと頼み込んだのだ。

しかし最初、宮司は困惑した表情でこう言った。

「人化の儀というのは聞いたことがありません。古文書にそんなことが書いてあるというのですか?」

俺は懸命に説明する。人化の儀の内容や、必要な生贄の条件など、辿り着いた結論をすべて伝えた。

それでも宮司は渋い顔のまま、こう言葉を続ける。

「たとえ本当のことだとしても、神に仕える身分でそんな儀式を執り行うことはできません」

「でもこれは雪奈を救う唯一の方法なんです!」

俺は必死で訴えかける。その熱意に心を動かされたのか、宮司の表情が少しやわらいでいく。

「古文書の内容を確かめる必要はあるでしょう。それから...」

恐らく宮司は儀式のことを知っている。不思議と俺はそう思った。

「お願いします!雪奈にはもう時間がありません!」

父親が叫ぶ。涙を流しながら、両手を合わせて頭を下げた。

「娘を、私の娘をどうか救ってください!」

翌日の夕方、宮司から連絡が入った。

「人化の儀を行う準備が整いました。今宵の21時から境内で執り行いますので、その前にお越しください」

胸がいっぱいになる。ついにこの時が来たのだ。雪奈のそれまでの苦悩が報われる時が。

約束の時間になると、俺たちは神社を訪れた。

衰弱しきった雪奈は俺がが背負ってここまで連れてきた。

境内にはすでに火が焚かれ、その周りには和太鼓を打つための神職や、その他数人の神職が取り囲んでいた。

中央には雪奈のための筵が敷かれていた。

雪奈を背中かから降ろした俺は、肩を貸しながらゆっくりと境内の中央へと歩み寄る。

「真人さん...どうしたの?...みんな...」

「大丈夫。これでお前は巫女としての勤めを終え、普通の女の子に戻るんだ」

俺は励ましの言葉をかける。

すると雪奈はその言葉を聞いて、弱々しく微笑む。

やがて宮司の合図で、周囲の太鼓と拍子木の音が鳴り響き、儀式は始まった。

宮司は低い声で祝詞を唱え始める。

雪奈を筵の上に寝かせ、俺は少し離れた位置に立つ。

そして見守る両親と目が合う。

不安な表情だが、俺は大丈夫だと伝えるようにうなずく。

儀式は本格的に始まった。



泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.11 へ続く…

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