見出し画像

娘の反抗期

今回は反抗期に入った私の娘の話を書きます。

昨日、2カ月ぶりに帰宅した娘が「家はつまらない」と言って、家を出て行った。彼女が戻って来てからまだ3日しかたっていなかった。 

コロナウイルスの影響で学校が閉鎖され、オンラインの授業になると一番下の娘は叔母の家に滞在するようになった。ラップトップ一つあればどこでも勉強する事が出来るので、彼女は大好きな叔母と時間を過ごす事を選んだ。

独身の叔母は子供が好きで、娘を自分の子供のようにかわいがってくれた。彼女は本当に娘思いで、小さい頃、娘が病気になって寝込むと、「私が看病する」と電話をかけてきた事があった。幼い頃の娘の写真を見ると、そこにはいつも叔母がいた。

今年で13歳になった娘は反抗期に入ったようだ。叔母の家から帰宅をしたばかりだが、彼女は一日中自分の部屋に引きこもり、携帯で友達と何かを話していた。食事の時もいつも一人だけ早く食べ終え、自分から会話には加わろうとしなかった。家族と娘の間に大きな問題がある訳ではないが気が付くと、彼女は自室で一人でいる事を好んだ。

昨日、妻はITのワークショップに参加していて家に不在だった。彼女は帰宅すると、そこで作った自分のビデオを見せてくれた。それは去年家族で旅行した時の写真を使った短いビデオだった。その中で娘は大きなアイスクリームを片手に微笑んでいた。妻はそれをまず、娘に見せたかったのに違いない、でも、彼女が帰宅した時娘はもう家にいなかった。

妻は仕事でどんな忙しい時も娘の事を優先した。クリスマスコンサートに音楽会、なにかイベントがあるとどんな時でも彼女は職場からかけつけた。 娘が成長していく姿を見るのが彼女の楽しみだったからだ。妻がどんなに娘の事を思っているのかはその行動から痛い程分かった。

昨夜、一日のワークショップで疲れ切った妻はすぐに寝てしまった。ベッドに横たわる彼女の小さな背中が見えた。少しずつ離れていく娘を見て、妻は今何を思っているのだろう。

冷蔵庫には娘の食べかけのチョコレートケーキが残されていた。突然、彼女が家を出る時、見慣れない赤い口紅をさしていたのを思いだした。 

今朝、娘に「お母さんに連絡しなさい」とラインをしたが返信はなかった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?