見出し画像

野菜に入っていた種を育てる!?食べまきってすごい(『食べたら種まき』を読んで)

「この種、植えたらどうなるのかな〜?」
農業や家庭菜園に縁のなかった方でも、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

野菜からこぼれ落ちる種を見る目が変わるおもしろい本をみつけました。

野菜や果物に入っていた種をまいて、育てて、また食べるという、エコの中のエコなライフワーク「食べまき」

著者のヒナさんが食べまきをはじめたのは、土に埋めた生ゴミから偶然に野菜が発芽して、野菜の生命力を感じたことがきっかけなのだとか。

図書館で『食べたら種まき ベランダでできるリサイクル農園』という本に出会い「食べまき」を知りました。少し古い2011年の本です。

画像1

誰でもすぐに、お金をかけずに

まず、まえがきを読んでわくわく。

食べまきの良さは、誰でもすぐに、お金をかけずに始められるところです。台所を探せばたいてい種は見つかります。美味しかった果物の種をまくのも良いですね。そうそう、旅先でゲットした種なんか最高です!旅を二度楽しめます。植木鉢がなくっても、卵やいちごのパック、豆腐などの空き容器、ペットボトルなどで、即席植木鉢が作れます。

「野菜を作る=畑を借りなきゃ」とか、「家庭菜園=買った方が安いのにあえてやる趣味」とか、そういう固定観念をふきとばすわくわく。旅先で食べたおいしかった果物、正体不明のお野菜のタネ、そういうものも植えてみたっていいんですよね〜。うわ〜おもしろそう。

買う以外に選択肢があるなんて

目次にはスイカ、メロン、かぼちゃ、にんにく、ドラゴンフルーツ(!)など、家庭菜園の定番から、えっそれ買う以外に選択肢あったんだ!というお野菜や果物も並びます。それぞれの種の収穫方法や育て方、コツも書いてあって、この本と家にあるものだけでほんとうに思い立ったら始められそう。

ついには肥料もご自身で作るという凝りっぷり。米ぬかや生ゴミを作って、土も循環させるのだとか。土すら買わない方法があるのだなんて、すごい!の一言です。

食べ物を自分でつくるということ

「食べ物を自分で作らなくても、お金があれば手に入る」という便利さは、生きている実感や、生活の主導権のようなものを少しずつ少しずつすり減らして得ているものなのかもしれない、思うことがあります。

逆に言えば、食べ物を自分でつくるということは、それだけで人間の心を支えてくれるものなのだと思います。たった一鉢のでも、ちゃんと生きている感覚だとか、暮らしをしているという実感だとか、そういうものを与えてくれます。

にっちもさっちも行かなくなった時、食べまきをやってみることで、切り抜けられる局面があるかもしれない…昔の自分を思い返して、ふとそんなことを思いました。

復刊してほしい!

残念ながら書籍は絶版。図書館や古本屋さんにあると良いのですが……ぜひ復刊して欲しいです。

著者の方のブログ(「種はゴミじゃない」)も2017年で更新が止まってしまっています。でも、本以上に内容の濃いブログで、みているだけでわくわくしますよ!

春になったらたくさんタネをまきます!やりたいことリストがたくさん増える、素敵な本との出会いでした。


『食べたら種まき ベランダでできるリサイクル農園』ヒナ、2011年、祥伝社

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?