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Netflixドラマ『Followers』が現代社会に伝えたいことを考えた

最近、ようやくNetflixのオリジナルドラマ『Followers(フォロワーズ)』を観ました。なぜか、いつもトレンドに乗り遅れる私です。

本作は蜷川実花さんが監督を務めたことで知られていますが、正直なところ配信当初はあまり観る気になれませんでした。

どうせ豪華なキャストや派手な演出だけで、中身はないだろうと勝手に高を括っていたからです。

ただ、ある時友達からNetflix Partyで一緒に観ようと勧められたので観てみたら、予想を遥かに超えた素晴らしい作品でした。

安易に「どうせつまらないだろう」と決めつけていた自分が恥ずかしい...

私は、このドラマは現代社会に生きる人たちへのメッセージだと受け取りました。キャラクターの細かい設定や感情表現から様々な想いを感じます。

ということで、私が感じたことをそのまま、直球にシェアしたいと思いますので、良かったらお付き合いください。

※一部ネタバレ含まれます

多様性が重視される時代に

ドラマを観て最初に感じたのは、登場人物達の多様性でした。LGBTQのようなジェンダーにおける多様性だけではなく、働き方や生き方における多様性も描かれているので、純粋に面白いと感じました。

クリエイティブな世界を舞台にしているため、一般的な生活からは大分かけ離れています。ただ、承認欲求が強く、他人の評価に縛られる若者、仕事に放浪されて恋愛適齢期を超えた女性、仕事と家庭を両立しようと奮闘する女性など、どれも現代社会の課題を象徴とするようなキャラクターばかり。

多様性と聞くと、人種、ジェンダー、容姿など見た目で判断できるものを想像する人が多いと思います。でもこのドラマでは、個々の人生観を際立たせているので、様々な価値観に触れることができます。

ビジネス観点で考えると学園モノや恋愛モノなど大衆向けのストーリーの方が良いだろうに、あえて社会問題の提起を優先しているところに強く惹きつけられました。

「男は仕事、女は家庭」からの脱却

中谷美紀さん演じる奈良リミはハイブランドの洋服に身を包み、ルブタンのヒールをカツカツ鳴らせるキャリアウーマン。

バリバリ働く女性達が皆ハイブランド志向というわけではありませんが「女だからといって舐められないように」と、洋服や靴、フルメイクで武装して、身なりを完璧にする女性達は大勢いると思います。

でもその裏では、靴擦れだってするし、化粧崩れだってする、感情的にならないように感情を押し殺す人だっている、それらを見せない努力がそこにはあるのです。奈良リミはそんな女性達を象徴としてるのかもしれません。

個人的に好きなのは、夏木マリさん演じる田嶌エリコ。1人息子を育てながらも実業家として活躍するエリコは、一回り以上年が違う男性との恋愛を積極的に楽しんでいます。この姿が本当に愛らしい。

一般的に10歳以上の年の差カップルは白い目で見られることが多いと思いますが、エリコを見ていると恋愛に年齢は関係ないと思わせてくれます。こんな風に仕事にも恋愛にも一生懸命な女性達を取り上げているところに、女性のエンパワーメント性を感じました。

ありのままの自分でいい

池田エライザさん演じる主人公の百田なつめは、ある時たまたまスタンドインの仕事が入り、有名カメラマンの奈良リミに撮影され、それがSNSに上がって一気に有名になります。

でも、リミがなつめに惹かれたのは可愛かったからではありません。

暴言を吐くCMプロデューサーに腹を立て、彼を睨みながら宣伝商品のチョコレートにかぶりつ姿が、むしゃらに生きる若者の象徴に見えたからです。

このシーン以外にもはっとさせられる描写が沢山あるのですが、どこか「周囲の期待に応えようとして、自分を偽るのはもうやめよう」と言われているような気がしました。

自分を偽ることは簡単です。でも、偽ることに慣れてしまったら本当の自分を見失ってしまいます。例え周囲の大半が「ありのままの自分」を受け入れてくれないとしても、必ずどこかに受け入れてくれる人がいる、そう思いたいものです。

完璧な人間なんて、どこにもいない

現代のSNS社会についても、わかりやすく問題提起されています。中島美嘉さん演じる歌手のサヨがSNSでの誹謗中傷やプレッシャーに心を痛め、疲弊していく姿が描かれます。

例えファンの99%が応援してくれていても、たった1%のネガティブなコメントで自身の存在を否定された気持ちになってしまう。彼女の事務所はサヨをなんとか激励しますが、それは本人ではなく事務所のためだったりする。

芸能界にいる人達は見られることが仕事なので、常に完璧な状態でいることを求められます。

でも、どれだけ綺麗でも、かっこ良くても、スタイルが良くても、誰にだってコンプレックスはあるし見せたくない部分だってある。

仕事上、偽らないといけないことだって沢山あると思います。私達が目にするものが全てではありません。

また、SNS上でコメントできるからといって何でも言っていいわけではありません。その人の存在自体を否定する権利は誰にもないはず。自身の情報開示をしていないなら尚更だと思います。

サヨは、周囲の期待や評価に苦しめられている人達を代表しているのかもしれない、そう思わずにはいられませんでした。

***

ただ一方で、フォロワーズに出てくる女性達は皆キラキラして見える分、キラキラ系女子のアレルギー反応が出る人も多いのかなとも思いました。

日本の女性が全員バリキャリを目指すわけでもないし、プチプラでオシャレを楽しむ人だっているし、育児に追われて疲弊する専業主婦だっている。

でもこのドラマは、日本の女性の生き方を定義しようとしているのではなく、自分と向き合ってどんな風に生きたいかを考えるきっかけを与えているのだと思います。

個人的には、万人ウケする作品よりも議論を生み出すような作品の方が好きなので『フォロワーズ』に出合えたことに感謝。シーズン2が楽しみです!

Photo by Dil

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