世界は美しい奇跡の集合体。
やっとやっと分かった。
私にとっての写真、て、なんなのか。
最初は「フォトジャーナリスト」を目指そうと思ってた。
世界の様々な現実を切り取り、見せる。
知らない事実を、目に入ってこない人の営みを、知らせる。
でもそれだとどうしても力が入らなかった。
次は、アーティストとして
独特な世界観を表現する写真家を目指そうと思った。
私独自の、エッジの効いた視点で
人の目を引くアート写真を撮る。
でもそれも、いまいちしっくり来なかった。
ていうか、できなかった。
旅先で、日常で、写真を撮りためてきた。
でも、それに共通するご立派なテーマが分からない。
テーマが自分でも掴めないから
個展をしようとか、コンテストに応募しようという気も起きず
どこに出すでも誰に見せるでもなく
箱に入れて時々眺めていた自分の写真。
そこに、何が写っているのか
写真を通して、カメラを通して
私は何を見てきたのか
見たいと思ってたのか
やっと分かった。
それは、あまりにもシンプルなこと。
世界はね、美しさで溢れてる。
この世には
醜いことだらけ
辛いことだらけ
そんな風に思えることもある
自分が傷ついた時
自分が人を傷つけた時
ニュースを通して
あるいは目の前で
あまりにむごい現実に触れた時
無力感でいっぱいになって
苦しみの真っ只中にいる人の存在を
目に焼き付けてその苦しみを一緒に味わって
間違いを正して自分を変えて
歪んだダメなこの世界を「直さなきゃ」
そうしないではいられなくて
そうしようとしない人が憎くて
世界って下らなくて終わってる
としか思えないこともある
でも、本当はずっと前から知ってた
世界は、美しさで溢れてる。
過酷な現実に立ち向かい伝えてくれる
ジャーナリストの人たちを今も尊敬してる。
でも、どうもこれ、my thingではない。
私は私の命を活かすために
写真を撮ってるんだ。
その時、その場所で、その光が注いでた。
当たり前に見える
いつもの相手やゆきずりの景色にも上にも
その時、その場所だけの光が注いでた。
ソレは見たと思った途端に通り過ぎていく
あまりにも一瞬の連続で
ソレがそこにあっても、あると気づかないまま
生きてしまえるくらいさりげない。
でも、本当はそこにずっとある。
世界は、美しい奇跡の集合体。
「見よう」と思えば見えてくる。
今見えなくても、いつかきっと見えてくる。
世界は美しく、それを見てくれるあなたをいつでも待ってる。
あなたがそれを見られるようになる日をずっと待ってる。
私はその美しさをずっと見たくて
信じたくて、伝えたくて
これまで生きてきたし、カメラを手にとったんだな。
ただひたすら私が世界の美しさを
喜び
愛て
感動して
遊んでる
その一瞬の、光の飛び散るような感覚を
残すために写真がある。
だからこそそれは、フィルムなんだな。
物理的に、光を閉じ込める魔法の道具。
そこに残っているのはデータじゃない。
陽光、月明かり、街頭の光
たしかに
その時、その場所に注いでた光が映し出した
命の記録。
特別な機材もないし、
複雑な照明の技術も持ち合わせて無いけど
カメラとレンズと私の心ひとつ。
それだけあれば、撮れるものがある。
だから、私はこれからも写真を撮っていこう。
世界は美しい
私は美しい
だから
あなたも美しい
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2020.11.5
あたたかフィルムフォトグラファー
まよるか
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