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誰でも1本の線から始められる(江口ともこさんインタビュー②)

ハードルを低くして、最初の一歩を踏み出す

「『表現』なんて大げさなことを言わなくてもいいんです。1本の線を引くだけでも、調子が良くない日はボールペンの先でちょんと点を描くだけでもいいんです。誰にでも踏み出せる1歩、そのハードルをできるだけ低くした方がいいと思っています」

私がピアノの練習をするとき、いつも心がけていることがあります。それは、まずできないことも含めて、今の自分の状態を全肯定すること。その上で、ここから1歩前に進むには何をしたらいいだろう?と考えます。疲れている時は、サラッと10分弾くだけでおしまいにすることもあります。

私の場合はですが、いつまでにこれができるようにならなきゃ、とか、カッコよく弾けるようにならなきゃ、と思うと、現状の自己否定から練習が嫌になってしまいそうなので、特に目標も持たないことにしています。それが自分にとっては、楽しみながら続けられて、結果的に早く上達できる方法のような気がします。

なので、「ハードル低く」という言葉にとても共感します。大事なことは、とにかく始めてみて、誰かに言われたようにではなく、自分が「これぐらいだったらやってみよう」と思える、心地良いと感じるやり方で続けていくことだな、と思います。

自分を封じ込めない、誰も封じ込めない

「政治で言えば、思っていることがあったら口にしてみる。何も思わなかったら、思わなかったと口にしてみる。自分を封じ込めないことが、誰にとっても大事なことだと思います。

何かを始めれば、始まっちゃいます。自分を封じ込めないで許す環境をどう作るか?誰も封じ込めない社会にするにはどうしたらいいか?と考えています」

江口さんは、週に1回、平塚駅前に立って、街の方とざっくばらんにお話する「まちかど立ち話」をしたり、月に1回、平塚の素敵な洋館を借りて、誰でも参加できる「政治をPOPに、面白く!政治に興味のない人の政治入門」を開催したりされています。

「政治入門」では、江口さんが最近のトピックを一つ取り上げてお話された後、参加者みんなで「ディベートしない話し合い」をします。方条遼雨さん(身体思想家/場作りコンサルタント)のコーディネートで、どんな立場の人でも、否定されず、平等な持ち時間で、何でも思ったことを話せる場です。

私も何度か参加しましたが、「政治のことはちょっと話しにくいな」とか、「こんなことを言って変だと思われたらどうしよう」ということもなく、安心して自分の思ったままを話せ、また他の方にも聞いていただけることで、封じ込めていた自分の本当の思いに気づけ、1歩進んでみようという勇気をもらえます。こんな風に政治について語れる場が全国あちこちにあるといいのにな、と思うほどです。

もう1年以上定期的に参加されているという方は、「ここへ来るようになって、自分が以前より主体的に生きられるようになった気がします」とおっしゃっていました。

こうした活動にも、江口さんの「1本の線から始める」=「最初のハードルを低く」「誰も封じ込めない」という考え方が表れているんだと納得しました。

その③「創造性を引き出す、クリエイティブな政治活動を」に続きます。


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