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この自然は未来にあるのか?環境課題への取り組みは、社会への責任。【Public Relationsと気候変動】

いま住んでいるポートランドの近くにはマウント・フッドというオレゴン を象徴する山がある。富士山に少しだけ似た3400メートルの山だ。市街地から車で1時間ちょっとという近さで、夏はキャンプやトレイル、冬はウィンタースポーツを楽しむことができる。

日本の各地にも素晴らしい自然があり、春はさまざまな動植物の息吹を、夏には深緑を、秋には紅葉を、そして冬には雪景色を楽しむことができるだろう。が、日本とは少し異なる景色がこのマウントフッド周辺の山々にはある。

それは地球の気候変動、つまり温室効果ガスの増加、温暖化による山火事、森林の荒廃だ。

先日、私のPR会社みずたまラボラトリーのサイトをプチリニューアルした。

そのサイトのメインエリアには一見PRにはまったく関係のない写真を置くことに決めた。その写真は、私のサイトを訪れてくれたPRパーソンや起業家、経営者の方とその時々に一緒に考えたいテーマに沿ったものを選ぶことにした(雑誌の表紙のように、テーマに合わせて月ごとぐらいに変えていきたい)。

その第1回のテーマ写真が冒頭に紹介したものだ。つまり今私が一緒に考えたいテーマは「PublicRelationと気候変動」だ。

なぜ今、PublicRelationsと気候変動なのか?

気候変動の問題は、いま話題にしなくていつ話すんだ?というテーマだ。企業広報にとっても気候変動が重要なテーマであることを誰もが気づいているとは思うが、私の考えを少し書いておきたい。

今、各企業の社会に対する責任のひとつが、この気候変動との付き合い方を決めること、そして実行することだと考える。企業としてこの社会課題に対して、どのようなビジョンのもと取り組んでいくのか。それは規模や業種を問わず、環境に取り組んでいる企業だけではなく、都心の上場企業だけではなく、スタートアップも、地域の企業にも求められていると思う。社内外にそれを伝え共有して、巻き込みながら、実現を目指すことが急務でもある。だから、企業と社会とのコミュニケーションを指揮する役割がPublicRelationであるならば、PR広報に従事する人は特に、この課題に対して敏感にアンテナを張っていたいよね、と考えてこのテーマを選んだ。

私が実体験として得ている気候変動の現状

日本は世界の中では、まだまだ自然が豊かで、たくさんの美しい森林が残っている。老齢化した広葉樹針葉樹を国内で使わなければならないと言われるほどに(※1)。が、日本は木材で建築士、紙もたくさん消費してきた。つまり、今まで海外のどこかの国の森林を伐採し使っていたことの証でもある。いま山火事が起こっているような南米、北米、アジア、地域の森林資源を使ってきたのだ。

ちなみに今年の秋2年ぶりに開催されたCOP26。そこでの南太平洋のアクティビストBrianna Frueanさんとアマゾンのアクティビストtxaisuruiさんのスピーチを紹介している記事をここに貼っておく。彼女たちは、日本が伐採してきた森林のすぐそばで生きている人たちだ。環境問題の最前線にいる人でもある。

※この動画の前に広告が入るのが非常に悲しいのだけどいいリンクがなかったのでご容赦ください。

オレゴン の今

先日住んでいるポートランドから120kmほど南東に(東京から静岡三島ぐらいまで)行く道中に見た景色は衝撃だった。一年中雨が少ない地域ではあるらしいが、道中の森林は燃えたあとがあるか、乾燥でもう生存を辞めて、ただそこに残存している亡骸のごとく枯れ果てているエリアが延々と続いた。あまりにもむごい風景だった。

昨年の夏もカリフォルニアの北部からオレゴン にかけて大規模な山火事があった。ポートランドは47度の猛暑日があった。一昨年の夏は、私自身も近くで大きな山火事が起こるのを経験し、ポートランドが世界でいちばん空気の悪い都市となり、多くの近隣住民に避難勧告が出た。

前述のアマゾンのアクティビストが望まずとも最前列で走っているとするならば、私がいまいるところは、おそらく最後尾近くの集団なのではないかと恐れる。いくつ集団が残っているのだろうか、と考えてしまう。

企業の環境課題への取り組みは、社会への責任

環境課題への企業の取り組みは、SDGsやってます、サスティナブルやってます、という類の宣伝であってはならず、社会への責任だ。

最近リリースされていた企業の取り組みで、個人的にいいなと思ったものをここでいくつかピックアップしてみたい。

霧島酒造による焼酎製造の副産物「サツマイモ」を活用した取り組み

「2030年度までに工場・事務所のCO₂排出量を実質ゼロにすることを宣言」というリリースだが、焼酎の副産物をつかったバイオガス発電に2014年から取り組んでおり、今回その電力を使い社用車130台の電動化を発表。さらに、さつまいも由来のエネルギーと再生可能エネルギーの調達で排出量をゼロにする、というものだ。

パタゴニアはホリデーシーズンに買うじゃなくGIVEを提案

毎年ブラック・フライデー前後に何かしらの提案を発信しているパタゴニア(年中通してメッセージを伝えているけど)。ジャケットを買うな!というキャンペーンを2011年に仕掛けて以来、消費者に購買を促す企業の多いブラック・フライデーに一石を投じ続けている。環境課題に取り組む他のアウトドアメーカー、アップサイクルブランドなどもパタゴニアに続き、近年ではブラック・フライデーをやるか、やらないか。そこでどういうメッセージを打ち出すかが、企業の持続可能な社会づくりに対する姿勢の表明にもなっている。

今年のパタゴニアはGIVEというメッセージ。使った古着を誰かに譲る。修理をしてあげる。寄付をする。知識を分け与える。そんなメッセージが連なる。BUYの文字はどこにも見当たらない。

つい先日息子が2年着てポケットに穴があいてしまったジャケットをパタゴニアのリペアサービスに出した。同じ素材で綺麗にリペアされ1ヶ月ほどで戻ってきた。あと1年着たら、次は次男にわたり、あと3年はお世話になれる。その後もバトンを誰かに渡したい。

面白法人カヤックによるオフィスの使用電力を100%再生エネルギー化

再生可能エネルギーに切り替えるというリリース。一部はJ-クレジットを活用して再生エネルギー化をするという取り組みは、今後どんどん増えていくだろう。

その他にも、海外の行政の取り組みでは、マイアミやアテネ、アフリカのフリータウンなどにはCHO(Chief Heat officer)が登場している。気候変動による温暖化、酷暑化に対応する責任者だ。

世界中がいま向き合う社会課題に対して、PublicRelationsの関係者はどう対峙していくべきか?
PRパーソンの皆さんを始め、興味のある方がいればお話をしてみませんか?

参考記事
※1 日本経済新聞「森林にも迫る高齢化  CO2吸収、ピークの8割 脱炭素や防災の壁」


【追記】この「PublicRelationsと〇〇」のタイトルで書くことを決めたnoteは何かしら結論があるものではなく、PublicRelationsに関わるひとの何かしらの思考の火種になればと思いながら書いている。何か思うところがあれば、コメント、SNSなどを通して皆さんとコミュニケーションできればと思っているので、お待ちしています。

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