見出し画像

【愛着障害】いのちの仕組み、愛着システムとは

子どもの可能性が開花するかどうかは、お母さんの子どもへの関わり方によって決まるんです。

臨界期は、生後半年から一年半のあいだ。

さらに、母子の絆を深めるのは、あるホルモンの働きがあったのです。

愛着障害について書いています。

13日目は「母親との関係は、単なるこころの問題だけではない」ということについて、お話します。


私たちが、此処にこうして生きているのは、産んで育ててくれた人がいるからですね。

子どもを産んでお母さんになった女性は、わが子に細心の注意をはらい、ありったけのものを注いで育てますが、そこにはオキシトシンというホルモンが関係しています。

オキシトシンは、愛情ホルモンとも幸福ホルモンとも言われます。陣痛が起きているとき、子どもを抱っこしているとき、授乳しているときもオキシトシンは分泌されていて、子どもの世話をすることに喜びを感じ、不安を鎮めて心地よさをもたらします。

お母さんが喜びをもって子どもを育てることができるのはオキシトシンの働きなのです。

この命をつなぐ営みに欠かせない生物学的な仕組みが愛着システムです。


お母さんに愛情深く育てられた子どもは、オキシトシンの分泌がおおく、オキシトシン受容体の数も増えます。

オキシトシンの分泌が多いか少ないかによって、子どもの性格も変わってきます。

オキシトシンが多い人は、自分やこの世界を無条件に信じることができて、こころが満たされて幸せや喜びを感じることができます。細かいことにこだわらないで、人と楽につながることができる寛容さと思いやりがあり、穏やかでバランスがよいのです。

オキシトシンが少ない人は、自分や世界を無条件に信じることができないで、当たり前の生活が苦しさ、辛さ、虚しさに感じられます。対人関係を楽しめず、孤立孤独に陥りやすく、不安が強く神経質、他人の欠点を許せなくて不寛容です。感情が暴走して過激になりやすくなります。

人のポジティブな性格、ネガティブな性格は、オキシトシンの多寡によるんですね。心理的な問題だけではなくて、生物学的な問題でもあったんですね。


幸せホルモン、オキシトシンの分泌がわるいと、生きることが苦しくなるのですね。

愛着障害の人は、オキシトシンが不足していたのです。 

だから愛着障害の人は、すぐそばに愛があっても感じることができないのでした。

《幸せホルモン、オキシトシンの増やし方について》

パートナーとハグしたり、マッサージし合ったり、また家族や親しい友人と食事や会話を楽しむとか。

ペットと遊んだり。ペットと目が合うだけでも、お互いにオキシトシンが出ます。

フワフワの縫いぐるみを抱きしめてスリスリするのもいいです。

画像1

オキシトシンのことで、思い出したことがあります。

私が大阪の新聞社にいた頃の話です。20年以上も前のこと。

新人記者は恒例として、大相撲の春場所(大阪場所)の取材に行かされます。

「新人記者 春場所を行く」のタイトルで、力士や裏方さんたちのこぼれ話を執筆することになっていました。担当したのは一年生記者のM君でした。

このM君、トホホな記者でして、トホホな原稿しか書けません。終いにデスクのF課長に愛想を尽かされて、「虎は谷底に突き落として這い上がってきた子どもだけを育てるんだ」とけんもほろろに突き放されてしまいました。デスクに見放されたら、記者としてやっていけません。うろうろするM君。

そこへ救世主が。M君の窮状を見かねたY部長が、M君のいっさいの面倒を引き受けたのでした。新人記者の世話をするのは部長の仕事ではありません。課長の仕事ですよ。

そうして春場所期間中、M君のトホホな原稿は、Y部長の手によって見違えるような原稿に書き直されて紙面に掲載されました。

F課長に、入社そうそう見捨てられたM君は、Y部長に拾われて、命拾いをしたのでした。


で、オキシトシンの話に戻ります。

このような全く違うタイプの二人の上司がリーダーでした。

F課長は、ニヒルな文学青年タイプの人でした。(そういえば、ニヒルなんて最近つかいませんね。死語でしょうか)斜に構えたような、世を拗ねたような翳りがある人でした。

いっぽうのY部長は、円満な実務家タイプで、親しみやすいお兄さんみたいな人でした。

F課長は、オキシトシン・プアな人、

Y部長は、オキシトシン・リッチな人、

といえるでしょうか。

私はそのときは、F課長にシンパシーを感じていました。翳りに惹かれていたんだと思います。

Y部長の良さは、さっぱり分かっていませんでした。

そのとき、私はオキシトシン・プアだったのでしょう。

でも今は、Y部長のことをとても評価していますし、大好き、尊敬してます。私たち部署のメンバーは、おおらかなY部長の懐でガッチリ守られていたのだと気づかされたからです。

あれから20年以上たった今になって、Y部長の良さに気づいたということは、わたしの若いころ欠乏していたオキシトシンは、今ごろは増し増しになってきている、ということでしょうか。

長年、セラピーを続けてきたかいあって…。

画像2

石垣島川平湾。光の網目模様がゆらゆら揺れてキラめいています。


ところで。

文学する人は、オキシトシン欠乏症?

じっさいに文豪には愛着障害の人が多そうです。

夏目漱石、太宰治、谷崎潤一郎、川端康成も愛着障害でした。

生きる苦悩を、創作への活力とした人たちです。

次回は愛着障害の人は「クリエイティブ」というお話しをします。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?