記事一覧
散髪の... 俳人 高井楚良
句集「人」p129
散髪のトニック匂ふ野分かな 横山香代子
鑑賞
台風が来ている最中、作者は散髪中。 店の中は静かで、外からの風の雨音だけ響く。
馴染みの散髪屋は、お客に聞かずにトニックを髪につけてしまいます。 いい匂いであればいいのです が、子供や女性に嫌われるような匂い、やめて欲しいのに、言えない作者の思い…。
俳人 高井楚良
季語は野分。( 秋 )
空席ひとつ... 俳人 武馬久仁裕
句集「人」p47
空席ひとつ風花の横浜線 横山香代子
鑑賞
「横浜」という地名のかもし出すエキゾチズム。空席の「空」と「風花」(桜の花びらを面影に持った雪)の響き合いの良さ。
俳人 武馬久仁裕
季語は風花。( 冬 )
碁笥振れば..俳人池本光子
句集「人」p184
碁笥振れば音の楽しき十二月 横山香代子
鑑賞
なんと豊かな十二月であることか。あれもしてこれもしてとあたふたしている私には真似出来ない余裕です。軽やかな音を存分に楽しまれよ!
俳人 池本光子
季語は十二月。( 冬 )
こんなにも...俳句結社「椎」主催 原田喬
句集「人」p21
こんなにも星を集めて冬の木場 横山香代子
句評
クリスマスツリーの星より、この「冬の木場」の上の星の方がずっと美しい。
俳句結社「椎」主催 原田喬 (椎NO.246 椎集評)
ー人歩けば...俳人 池本光子
句集「人」p65
海外詠 アンダルシア(スペイン)より
ー人歩けば夢の続きの芥子の花 横山香代子
(アマポーラ)
鑑賞
カルメンがホセに投げつけた花は真っ赤なバラ、というのは本当ではないとか。では何か。アマポーラ、つまり芥子の花。
芥子の花って何色?黄色?、オレンジ色?
インパクトに欠けるなあ。やっぱり燃えるような真っ赤なバラがいい。でも香代子さんは夢の中のアマボーラを
相撲部の...俳人 鈴木明寿
第一回鈴木六林男賞(秀逸)作品より
相撲部のしんがりに猫冬の浜 横山香代子
鑑賞
加藤楸邨、原田喬の師系に連なる作者だから、楸邨の
「百代の過客しんがりに猫の子も」
が念頭にあっただろう。
百代の過客の後尾をゆく猫と相撲部についていく猫では全く趣が異なるが後者の猫のほうが愛嬌があって楽しい。
高校の相撲部の寒稽古か合宿の様子を詠まれたものだろう。砂浜を元気よく走る褌一つの若い男達の、ぷりぷり
理髪師に...俳人 武馬久仁裕
句集「人」p125
理髪師に秋の風鈴また鳴りぬ 横山香代子
鑑賞
理髪師は孤独の風があります。その理髪師に、忘れられた自らの寂しさを告げる秋の風鈴の風が、また鳴りました。「また」で一句に奥行きが生れました。風鈴が僅かに擬人化されているところがこの句の眼目です。
俳人 武馬久仁裕
季語は秋の風鈴。( 秋 )
オブラディオブラダ...俳人 伊藤容子
句集「人」p45
オブラディオブラダ雨を来て初句会
横山香代子
鑑賞
若い、明るい、リズムがある。
アスファルトを打つ雨が音符となって撥ね返ってきそうな軽快さ。
あめあめふれふれかあさんが
じゃのめでおむかえうれしいな
ピッチピッチチャップチャップ
ランランラン
この歌と重なりあうのは私だけかな。
十三年前、新年句会で初めて彼女に出合った。彼女二十六歳
ソウルミュージック.... 読書家 渡辺聰
句集「人」p43
ソウルミュージック銀杏を割つてゐる
横山香代子
Haikureation(俳句✖️創作)
ソウルミュージックとは、広い意味でのプロテストソングである。プロテストソングとは、社会の中の不公平や不正に対するメッセージソング。黒人がプロテスト(抗議)したのは、不当な社会環境とそれを支えている人間の意識に対してである。そして、それは彼らの肌が黒いとい
暗算の...俳句界編集長 清水哲男
句集「人」p145
暗算の指動きたる春疾風 横山香代子
増殖する俳句歳時記より
季語は「春疾風(はるはやて)」。春の強風、突風のこと。私はコンタクトをしているので、毎春のように泣かされている。目に微小なゴミが入るために、痛くて涙が出てくる。泣きたくはないのだけれど、周囲の人が見て泣いているように見えるのは、不本意だが仕方がない。格好悪い。掲句を読んだとき、もしかすると作者もコンタクトをして
ゆき過ぎて...俳人 池本光子
句集「人」p146
ゆき過ぎて畳のにほふ朧月 横山香代子
鑑賞
和室の良さを見事にとらえた。ソファーだのテレビだのクッションだのがごてごてとあるリビングでなく、何もない和室。あるとしたら、座卓が一つ。白い障子と地味な襖が囲む畳の部屋。そこでこそ、人の動きは鮮明にとらえられ、畳の香も伝わってくるのだ。
俳人 池本光子
季語は朧月。( 春 )
八朔の...俳人 高井楚良
句集「人」p128
八朔のキャンバス下地青く塗る 横山香代子
鑑賞
今の暦では、8月末から9月の中旬にあたります。 真っ新なキャンパスの下地に青く塗りだす。真っ青な空と心地よい風、 何もかも素敵に輝いております。
俳人 高井楚良
季語は八朔。( 秋 )
新・黎明俳壇第10号に寄稿させていただきました!
特集は、「一茶『おらが春』の名句を味わう」私も寄稿させていただきました。
そして「本当は難しいやさしい俳句」に堀田季何さんの句と並んで取り上げていただきました!
深い鑑賞です…嬉しい🙂🙂🙂
内容はアップできませんので、ご興味ある方は黎明書房に是非お問い合わせください♪
秋潮の..中学校3年生横山紗也
句集「人」p44
秋潮の静かに寄する乳房かな 横山香代子
感想
秋は自分の中では色とりどりであざやかなイメージがある。
そこから連想されものは、物語や学問などの魅力あるものだ。
海は、物語や学問の何か一つを象徴していると思う。
その深い海に入れば入る程、胸の所まで波が来る。
その波は自分の心を打ち、揺さぶる波である。
新・黎明俳壇 第10号
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私が編集しています『新・黎明俳壇 第10号』が出来ました。今号の特集は、「一茶『おらが春』の名句を味わう」です。味わっていただいたのは、小枝恵美子さん、横山香代子さん、星野早苗さん、川嶋ぱんださん、山本真也など10人の方です。
巻頭の夏の句に、杉山久子さんの「雨音は遠しスープに散るパセリ」を私の鑑賞文付きで掲載させていただきました。素適な句をありがとうご