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【冬の服装】保育者が子どもにヒートテックや厚着を推奨しない理由を現場目線で伝えます。

 大人が外に出たくないような寒い日でも、子どもたちは「外で遊びた〜い」と提案してくれ、吐く息白く、ほっぺと鼻の頭を真っ赤にしながら元気に走り回って遊びます。やはり戸外遊びは保育においてどんな季節であっても、子どもにとって最高の遊びです。
 「冬の戸外は寒いから…」といって厚着をしたり、ヒートテックのような吸湿発熱インナーを着させて登園する保護者さんがいますが、ちょっと待って!と言いたい。
 それ、保育者的には避けてほしい格好なんです。

子どもは風の子

その理由を説明する前に…。

“子どもは風の子“という言葉がありますが、どんなイメージを持たれますか?

おそらく冬場が一番登場率が高い言葉だと思うのですが、「子どもは外で遊ぶ者。寒いからって部屋に閉じこもってないで、外に出て遊んでこーい」という意味かなと思っています。これは私も日々、思っていることです。実際、そうだし。
それでは一歩踏み込んで、なぜ冬に外で遊ぶことを肯定するのかを考えてみます。

それは…体温調節機能を養い、自律神経を鍛える機会になるからです。

 自律神経は、気温の変化に応じて体温を調節する機能を担っています。暑ければ汗をかいて体温を下げようとするし、寒い時は末端の血管を収縮させて体温を維持しようとするわけです。
 このように血管の収縮・拡張を繰り返しすことで、体の体温調節機能が養われ、自律神経のバランスが発達していくのです。

これが“子どもは風の子“の根拠でしょう。ずっと暖かい部屋にいるのと、寒い戸外で過ごすのとでは、血管の収縮率に大きく差があることは容易に想像がつきます。あの言葉には“体温調節機能を養うには絶好のチャンスなんだぞ“という真意があり、ずっと言われ続けてきたんですね。

体温調節機能の敵

察しの良い方ならお気づきでしょう。
そう…過度な厚着や吸湿発熱インナーは体温調節機能を阻害してしまうんです。

これが保育者が避けてほしいなぁと思っている理由です。

子どもはそもそも体温が高いです。従って暖房が効いている保育室で少しでも動けば汗ばむ子もいます。戸外においても夢中で遊んでいたら、身体はすぐに温まります。

そこに例えば、吸湿発熱インナー(ヒートテック系)を着ているとどうなるか。

湿度を使って保温効果を高めるインナーを着続けて遊んだ場合、通常ならば汗をかいて温度を下げる身体の仕組みが機能しにくくなります。身体からすれば「あれ?なんで暑いから汗かいてるのに、まだ暑いんだ?もっと汗をかかないと!」と本来正常に機能するはずの体温調節機能に不具合が生じてしまうわけです。これでは自律神経は鍛えにくい。
ひたすら汗を出した結果、インナーは過度に湿ることになり、それが冷えれば一気に寒くなり、体調を崩すきっかけになってしまいます。大人でも経験あると思いますが、ヒートテックで汗をかくと、とにかく汗の乾きが悪い、ものすごく不快ですよね。
厚着も同じような理由で避けてほしいなぁと思っています。

じゃあ何を着させたらいいの?ということですが、基本スタイルは上半身は半袖の綿下着にトレーナー(裏起毛は避けたい)。下半身は長ズボン。これでいいと思います。それでも寒い場合は着重ねるのではなく、アウターで調節してあげると良いです。着脱もしやすいです。これで子どもたちは冬場も元気に遊んでいましたよ。

厚着を避けてほしいもう1つの理由

 先に書いた厚着や吸湿発熱インナーに関しては、目新しい情報ではなく、ネットで調べれば出てくると思います。そんな中で、もう1点。特に厚着に関して、保育者目線で伝えておきたいことがあります。
 例えば、長袖インナーの上に長袖を着させるのは、着脱する子ども側からすると非常にやりにくい。それがきっかけで機嫌が悪くなるなんてしょっちゅうです。特にインナーの袖が途中で詰まった時の、あのもどかしくしている感じ…わかりますかね?
 そして、厚手のタイツに厚手のロングソックスの組み合わせは極悪でして、排泄時に全然脱げず、もたついて失敗しちゃったなんてシーンはよく遭遇します。これは子どものやる気を下げます。衣服が濡れることは気持ちのいいものではないですしね。

 お子さんの送迎時に、厚着を避けてくださいね〜なんてに伝えられた時には「子どもが寒そうにしているのになんてことを!」と思うかもしれませんが、子どもたちの発育や様子を踏まえた上で伝えていることをわかっていてくれたら嬉しいです。

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