キャラクターが選択するということをきちんと実感する
キャラクターは。
特にストーリーに登場する場合のキャラクターは、その行動を「作者によって」左右されているのではなく、「自分自身によって」為すものでなくてはならない。
このことは基本的に、あらゆる物語にとって自明であるが、言うは易し。ならば実際に、「自分自身によって行動する」とはどういうことだろうか。
それを考えるためのひとつの方法として、「常に選択肢をイメージする」というものがある。これは即ち、以下のことだ。
■どちらも選べるという状況のとき、そのキャラクターはどうするのか?
例えば、選択肢が3つあるとき、その行動の仕方はいくつあるだろうか。
A.1つ目を選び、行う …①
B.2つ目を選び、行う …②
C.3つ目を選び、行う …③
D.1つ目と2つ目を選ぶ
→1つ目から行う …④
→2つ目から行う …⑤
E.1つ目と3つ目を選ぶ
→1つ目から行う …⑥
→3つ目から行う …⑦
F.2つ目と3つ目を選ぶ
→2つ目から行う …⑧
→3つ目から行う …⑨
G.すべて選ぶ
→123の順で行う …⑩
→132の順で行う …⑪
→213の順で行う …⑫
→231の順で行う …⑬
→312の順で行う …⑭
→321の順で行う …⑮
H.すべて選ばない …⑯
16通りある。
これらの中には同じ結果を含むものもあるが、その組み合わせが違う。つまり、キャラクターの、というより人間の性格というのは、その結果ではなくプロセスをみることで判断しなければならないということなのだ。
上記の例では、結果だけを見れば①、⑤、⑦、⑬、⑮は同じだ。なぜなら、これらはすべて、最終的に1つ目の選択肢を実行しているからである。
しかし、その過程が異なる。
すると、それぞれは、別々のキャラクター固有の行動の仕方だと言うことができる。これが、キャラクターが自分自身で考えて行動するということに等しい。
「自分自身による」=「どの行動を、どんな順番で選ぶのか、その方式」
よく、キャラクターを都合の良い操り人形にするなというルールがささやかれる。実際は、それをただ念仏のように唱えて信心することが大事なのではない。
大事なのは、信心ではなく実行である。実践だ。
そしてこの、「キャラクターが自分自身による行動をする」というのは、その生い立ちや、目的、信念、性格などの設定に応じて、どのような行動を、どのような順番で行うのか、ということを、きちんと明確にしておく。
そしてそれを滞りなく実行させる、ということである。
ともすれば、綺麗ごとになりがちだ。
単に、キャラクターの意志、生きている、ご都合的にならない、実際にいるかのように……などと言うだけでは意味がない。
そうではなく、それらがなにを意味するのかということをきちんと明らかにすることが大切なのであり、そのひとつの方法が、上記の「どんな選択肢をどのように選ぶか」だ。
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