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人生は今がすべてではない

 人生に失敗はない。
 なぜなら、どんな失敗も長い目で見て些細なものだからだ。どんな過ちも、大抵の人生はそれを許容してくれる。それくらい人生は長いものだが、しかし、それを直視できないほどに人の視野は狭い。
 人間が、その死ぬまでの長い期間を想像することは難しく、明日のことすら予想できないのも珍しくはない。それがゆえに人は錯覚してしまう。今日起きたことが、人生においてとてつもなく大きいことのように。
 振り返ってみれば様々な経験をしてきたと思えるはずなのに、生きている今、起きている現在の出来事が、その中でもっとも重要かのように勘違いをしてしまうのである。それは、視野に限界のある人間にとって仕方のないことだ。
 でも、そのせいで人は、些細な失敗に強くこだわってしまうことがある。人生という長い期間から見れば、ほんの小さな出来事に対して。

 今日明日しか見られず、想像できない状態では「今」がすべてになるのは当然である。人にとって、そういう意味で「失敗」とはとてつもなく重要だ。それは取り返せない、巻き返せない、それゆえに失敗などできない、そして他人の失敗もまた許してはならない。
 これは、人生に対する視野の限界をよく表している考え方である。先が見通せないというのは無いというのと同じだ。だからその時の人生とは精々、一ヶ月くらいしかない。その一ヶ月の中で、一度の失敗は、それはそれは重要事に感じるだろう。

 願わくば、たかが失敗に対してそこまで構えないことが普通になるといい。それはつまり、もっと人はその人生について長く、奥深く、多くの選択肢を見るべきだということだ。あらゆる可能性のあるのが人生であり、そのチャンスは長い期間の中でたくさんやってくる。
 だからただの失敗程度で、どうにかなってしまうようなものではない。人生には失敗などない。

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