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主人公は「大変さ」に立ち向かうだけでは足りない

 色々な困難に立ち向かうのが主人公の役目であるが、主人公はただ単に困難に立ち向かうのではなく、もっと「より困難な」ものに対して戦わねばならないという宿命がある。
 つまり主人公は、苦境に立たされることが多い。一難去ってまた一難、七転八倒、そんな、平穏無事な時などあり得ない人生こそが、物語として映えるのだ。だから主人公は、そんな波風ばかりの生き方を強いられる。それが当たり前だと言わんばかりに。けれど、それだけでは足りないのである。もっと、もっと苦難がなければ、物語としては短絡的で面白みにかけてしまう。

 即ち、主人公が「自分自身の困難や不当な立場」をどうにかしようと奮闘する様はもはや当たり前である。だからそれ以上、「主人公の大切な人が大変な目にあっている」という状況をどうするか、というのが主人公が取り組むべきより重要な課題になる。
 しかもその状況に対して、主人公は大抵は無力であり、どうしようもなくて、解決の糸口が見当たらない。そんな状況からスタートする物語が、まさにハラハラドキドキの「面白い」物語になる。
 主人公にとってはたまったものではないが。

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