誰かと離れるという、いっそ簡単な手続き
何かを信じないのなら、いっそ疑うほうがいい。何かを信じないままでは、それは何もしないのと同じだからだ。何もしないよりは、する方がいい。だから、何かを疑うのだ。そのほうが生きていくにはずっとマシだ。
「これで終わりね」とありきたりなセリフを奈美が呟いたのは午前8時。初夏の頃、家から市役所までの10分の道のりに少し汗ばむようになってきた、そんな時だった。大木雄大は、向かいに座るその女性の言葉に無言で頷いた。そのまま、机の上の薄っぺらい紙に目を落とす。それを貰ってきたときは、