秋の別れと、しいちゃん。
しいちゃんは文句ばかり言う子だった。当時、小学生だった私たちクラスの中でもそれは本当に有名なことで、担任の松井先生すら、朝の会や帰りの会でしいちゃんが後ろの方の席でにこりともしないで、何か言いたげに黒板の方を見据えているのを気にして、いつも会の終わりに決まって、「何か質問ある人?」と遠回しな確認をしいちゃんにして、それがないとあからさまにほっとしたような顔をして、いつもより1.5倍くらい大きな声で、解放されたように、「おはようございます」や「さようなら」の号令をかけるのが、