白く光る時代と室外機の影
声を上げないことは良いことだ。だってそれは波風を立てないことだから。今の時代、どんな有名人だって、金と権力を持つ政治家だって、余計なことを言えばすぐに追い込まれる。何が燃えるかわからないのだったら、声など上げないほうがマシだ。たとえ無言のまま、消えていくような命だとしても。
「なァに、またアンタ?」
ブルーのゴミ箱の蓋を片手に、五木尊は暗闇を睨んだ。まだ白みかけた空の明かりが届かないこの路地裏には、不潔な臭いの中に小動物の気配が溶け込んでいる。もちろん、暗闇から返事が来