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今回のおすすめ本 泉鏡花『高野聖』

みなさんこんばんは📚
今回おすすめするのは、泉鏡花『高野聖』という本です!以下では収録されている作品(5個)を紹介します。

「義血俠血」

 主人公は見世物小屋の太夫である白糸。白糸は美人太夫として評判となり、「滝の白糸」と称されます。ある日白糸は「人力車より速い」と青年の駆使者が喧伝する乗り合い馬車を使用しますが、人力車の車夫たちが対抗してきます。乗り合い馬車を追い抜く車夫たち。白糸は駆者に車夫を追い抜くよう指示します。そこで駆者は白糸と共に馬に乗り、パカラパカラと駆けていきました。その際白糸は気絶してしまい、駆者は茶店に介抱を頼み去っていくのでした。その後、とある夜に白糸は例の駆者と再会します。駆者は法律家を目指す青年、村越欣弥でした。ここから物語は大きく動いていきます。公私混同は良くないこととされていますが、完全に割り切ることはできるのでしょうか。その対象が縁の深い人物であればあるほど、割り切れないのが人間ではないでしょうか。

「夜行巡査」

主人公は職務・規律を重んじる八田巡査。憐れみの心よりも職務を優先する八田。では愛する人や憎しみを抱く人が相手であればどう行動するのでしょうか。これも前作と同様に公私混同せずに割り切れるのかどうか考えさせられます。テーマは「仁」とされていますが、一貫して仁の心を持ち続ける必要はないのではないかと思いました。

「外科室」

 主人公は医学士の高峰。高嶺はある病におかされている婦人の外科手術の担当医となります。しかし、婦人は麻酔を拒否しています。その理由は麻酔によって胸の内に秘めていることを讒言を言ってしまうからだといいます。高峰はどう行動するのか気になるところです。物語の終盤には高峰の気持ちが垣間見えるところがありますが、身分の違いというものは思っている以上に人に制限を与えるのでしょう。現在でも家格だけでなく見た目が釣り合っていないなどと赤の他人からやいのやいの言われるように、人の目を気にすると際限がないでしょう。

「高野聖」

 物語の主要人物は高野山の旅僧。この旅僧が若い頃に体験した不思議な出来事を主人公に話すことで物語が展開されていきます。飛騨の山を越えようとした際の出来事で、とある女性に出会います。作中では随所に伏線があり、最終的には一挙に回収されていきます。僧侶は女性との関係を断つことになっていますが、相手が魅力的な人物であって際にどうなるのでしょうか。現代でもハニートラップなど煩悩を誘い込む手立てがあります。それは政治・経済の上層部の世界だけでなく、結婚詐欺など庶民に身近なところにも存在しています。どのような行動を取るかによって結果が大きく変わることを念頭に置いておく必要があるのでしょう。

「眉かくしの霊」

 主人公は作者の友人の境賛吉。境が奈良井宿の宿に逗留した際の奇妙な体験を綴ったもの。鶫料理を食するところから物語が発展していきます。本作品はドッペルゲンガーを扱った作品となっていますが、現在では神経症状にもなっている現象でもあります。本作は絶妙に鳥肌が立つ怪談話となっています。

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