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【日記】文章のリハビリ中

 
 こんなにすっからかんになることってあるんだ、と、まずはびっくりした。文章の話だ。
 今までも、なんとなくキーボードを打つ手が重くなったり、自分の気持ちを表現する言葉がするするっと出てこなくてもんもんとする時期はあったものの、今回ほど「すっからかん」という表現がしっくりくるほど、書けなくなるというか、今までずっと居座り続けていた自分がすっかりいなくなっちゃったような感覚を味わったことはなかった。あーん、どうすれば前みたいになんも考えずに書けるようになるんだよう、っていうか、どうやって書いてたっけ? と、以前の感覚を手繰り寄せようとはしているがそもそも、もしかしたら、「前のとおり」になろうとすること自体がまちがいなのかもしれない、とも思う。
 というわけで、文章のリハビリ中とは言いつつ、新しい書き方を模索している段階である。
 
「すっからかん」になって、具体的に何が困るかというと、何を書いても「あ、これ前に書いたな」現象が起きてしまう、ということだ。
『元カレごはん埋葬委員会』で念願叶ってはじめての小説を出版できることになって、なにがあっても絶対に悔いのないようにしたいと思ったわたしは、自分に思いつくかぎりのすべてを注ぎ込むと決めた。結果、注ぎ込むことはできた。悔いもなかった。技術が及ばずに悔しい思いをした部分はもちろんあったけれど、「あの時点での」全力は出せた、と思った。そういう意味で全部やりきったのはよかったのだが、また新しく小説を書いている今、うーむ、うーむなんですよね。なんというか、何を書いても「これ、前に書いた気がする……」と、書きながらも、以前書いた何かがフラッシュバックしちまうのよ。誰かたすけて!
 ほんで、これじゃあ前とおんなじ話になっちゃうなと、別の言い回しを探してみたり、キャラクターに合わせて他の解決策を探してみたりするのだが、それはそれで今度はまた、ぎこちない感じの文章になってしまう。「自分らしい」文章と「今までと違う」文章の、ちょうどいいバランスを見極めるのが難しい。一つひとつ、どんな言葉を使うのか決めるのにも、とんでもなく時間がかかる。あれ、今までって、なんでこういう表現を使ってたんだろう? なんでこの言葉をこの文脈で使ってるの? この言い回しって正しい? と考え出すと、もー、きりがないよね、まったく。
 じゃあどうすればいいのか。答えはまだまったく見つかってなくて、打開できそうな予感もなくて、暗闇の中をあっちゃこっちゃ動き回っている段階だけれど、結局のところ、書くしかないのだろうと思う。書き続けるしかない。「すっからかん」になってしまった自分を楽しみながら、ゼロから全部作っていくつもりで書くしかない。毎日こつこつ。牛歩でも。

 まー、というわけでしばらくは模索期間が続きそうだけれども、せっかくなので、今回の小説における課題を3つ決めた。2つは自分の強みをより強化するための課題、1つはまったく新しい領域へのチャレンジだ。自分の中での課題だから公にすることはないけれど、なんとか乗り越えられるといいなあ。うーむ、果てしなき文章修行。




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