【新連載】『マスター千一夜』 #0001
本稿は私がマスター業を務める阿佐ヶ谷のバー『浪漫社』でかつて発行していたフリーペーパー『ろまんしゃ通信』の同名の連載、2017年5月13日号からそのまま引用しました。
諸般の事情からペーパーとしての同誌は現在は発刊しておりませんが、この連載は今後『note』にて続けていきたいと思います。
ペーパー時代には出来なかった各項目へのリンク(Wikipedia、音楽、動画など)もございますので、必要に応じてご参照ください。
浪漫社マスター「バーと馬鹿楽」こと大衆文化研究家「本郷隼人」
◆第一夜『ニッポン無責任世代』①
映画『ニッポン無責任時代』公開年、かつ『スーダラ節』リリース一周年という運命的な日(笑)生まれのろまんしゃ(注1)のマスターが、好きな音楽など文化・藝術をスラスラスイスイスイと綴っていこうという連載エッセイ。
まずハナの始めとして、今年2017年にコント55歳となる私の「来し方」から。
私の生まれた1962年は、昭和でいえば37年。先の東京オリンピックに向けてイケイケドンドンな、いわゆる高度成長期のまっただ中でした。東京タワーは4つ先輩、〝夢の超特急〟新幹線よりは2つ年上で、リポビタンDや当店でも人気のマルシンハンバーグと同い年です(笑)
〝ろまんしゃ的〟な音楽でいえばザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、ザ・ローリング・ストーンズのデビュー年ですが、彼らはまだブレイク前で、前年に結成されたザ・フォー・シーズンズが『シェリー』でブレイクしました。
前者たちと後者を較べると、サウンド的にまだ50年代すなわちオールディーズの余韻が残っていた頃といえるのではないでしょうか。
国内では、第4回レコード大賞受賞の橋幸夫/吉永小百合『いつでも夢を』や、ジェリー藤尾『遠くへ行きたい』、中尾ミエ『可愛いベビー』がヒット。そしてまたいずれ本稿でサザンオールスターズを語る際にも触れたいのですが、飯田久彦『ルイジアナ・ママ』、弘田三枝子『ヴァケイション』、ザ・ピーナッツ『ふりむかないで』もヒットし、『チャコの海岸物語』中でそれぞれ「チャコ」「ミコ」「ピーナッツ」と愛称で呼ばれる面々が活躍した年でもあります。
もちろんこれらのことは生まれたばかりの私がリアルタイムに知る由もなかったのですが、青年期にサザンそして大瀧詠一〝師匠〟などから後追いの知識として得た際に、自身の生年について感慨深く思ったものです。
(ニッポン無責任世代②に続く)
注1)本稿執筆時点での店名は「ろまんしゃ」でしたが、現在はママと私の10数年来のプロジェクト名である『浪漫社』と表記しております。
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