くりかえし旅立ちを見送る
新幹線の、進行方向に向かって左側窓際が息子の席。ホームからだと一番奥になった。
席に座ったのを窓から確認して、3人席の間が空いているとラクで良いねと夫が言う。
まあ1時間半くらいだけどね。
なんて言っていたら、隣りに若い女の子が座った。
ああ。お互いにちょっとだけ気を使うんだよねと私が言う。
まあ1時間半くらいだからね。
夫と私が互いに言い聞かせる。
奥の窓側だからこちらに気付いていないかな。
アナウンスがあって新幹線が動き始めた。
息子がパッと左手を上げて、こちらに手の平を見せ振ってくれたのが見える。口角上げてニッコリして見せてくれる。
あっ気が付いているんだね。
うれしくなってぶんぶん手を振る。
すぐに見えなくなった。
この瞬間はずっと慣れない。
むしろ寂しさが増えていく。とは、少し先輩の親御さんが書かれていた。
泣きそうになっちゃうのをグッとこらえる。
息子は希望に向かっている。ちょっとした寂しさはだいたい5日前くらいから表し始めるけど、当日は少しの憂うつと楽しみを内に秘めた表情。帰省してくる度、少しずつの成長と、息子の未来を感じさせてもらっている。
本人は不安だらけだし、まったく先が見通せないようだけどね。実際何か決まっているわけじゃなくて。ただ、今どんなことを考えているか。何が楽しいか。何を楽しみにしているか。それを知るだけで若いって良いなって思うんだよ。
帰宅すると息子の部屋がさびしい。
今回は珍しく掃除機をかけていた。この後は布団を乾燥させたりシーツ洗ったりしなくちゃな。
また会えるのを楽しみにしながら、それが当たり前になる日常が始まっている。
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。