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難しい店のレイアウトと、今どきのレジ

 「GUの商品のお会計は済まされましたか?」
 会計を終え、商品をたたんで袋に入れていると、店員に声をかけられた。

 どのくらい前からだろう。コロナが大変になり始めたあの頃から、レジの無人化は進み、ユニクロのレジに驚愕したのを覚えている。
 わっ。なにこれ。このタイプのレジは初めてだー!
 心の中で大さわぎしつつ、戸惑いながら会計を済ませた。
 2回目や3回目もまだドキドキしていた。
 すべての無人レジが同じシステムなら良いけれど、店によってちがう。初めてだったり、頻繁に行かない店舗だったりすると、わからなくて戸惑うよね。

 若い頃なら、もっと恥ずかしいと思っているだろう。でもわりとすぐ順応しちゃえるのよね。今の私は若い頃より順応性が低いから、店員さんに教わるのも戸惑うのも仕方がないものだと思ってレジと向き合う。
 それでも開き直っているわけではなくて。わからないことって若い頃ほどじゃなくてもやっぱり少しは恥ずかしいと思うものなんだ。
 「もう導入されてだいぶ経ってるのにまだ要領を得ないのか」なんて、もたつく自分を情けなく思う。

 だから初めて行ったそのユニクロ店舗で、GUとユニクロの商品をいっしょにカゴに入れているなんて気が付いていなかった。

 キッチンのシンクみたいに、くぼんだ所にカゴを置く。
 商品数4点と言われても、靴下を3足を1つと数えるのかなとかぼんやり表示を見て流した。息子のTシャツと自分のTシャツをどうしようかと盛大に迷って、広げたり、カゴに入れたり戻したりまた入れたりしたので、結局1枚買ったか2枚買ったかわからなくなってしまって。たくさんは買えないから私のも含めて全部で3枚までとは最初に決めていた。気に入らなくて着ないかもしれないしさ。買い過ぎようにと思いつつ、迷いに迷ってTシャツ1枚か2枚か3枚か。プラス靴下3足。
 とりあえず4点なんだ。
 えっ2500円? 安っ! セール? きっとユニクロだから安いんだよな。ありがたい。

 落ち着いてよく考えたらわかるのだけど、もう慌てちゃって。シンク型のレジは、自分で商品を確認しながらレジを通さないから何となくになってしまう。

 滞りなく清算を済ませないと後ろに続く人たちに迷惑がかかる!
 サッとレシートを見たけど、急がなくちゃとカードで支払った。
 時々画面に「数えられません」みたいな文字が英語で出てくる。
 なんで? と思ったけど、画面をタップすると次に進むからそれもまあ良いやと、ずっと慌て続けた。
 とにかく後ろに並んでいる人たちに迷惑がかからないよう、滞りなく済ませて早くレジを去らねば!!

 レシートを取って、反対側の台に行き、ぼんやりTシャツをたたみ始めた時、店員さんに声をかけられたのだ。
 「GUの商品のお会計は済まされましたか?」

 えっ!

 ……じー…ゆうの……?

 GU??

 GUが同じフロアにあるの?

 私、GUの商品の会計をしなければならないの?

 いやGUの商品を、私はいつの間にかカゴに入れて買ったの?
 いや買っていないの?
 GUの商品の清算てどこでするの! ギャーこことちがう場所なの!!?

 頭の中が大パニック。
 靴下……そうだ! 靴下の数を1点と数えるか、3点と数えるか本当はよくわからないままだった。

 「あっ。靴下の数え方が……」
と言いかけたら
 「いや、靴下は清算されています。Tシャツですね」と言われた。

 えっ。Tシャツ?
 ええと。結局2枚買ったみたいだ。
 
 「これ、GUのTシャツなんです」

 お姉さんの顔が、少し意地悪に、静かにゆがんだ。
 笑われてる……。

 イヤだ。軽蔑してる?
 私がわからなくなっていることに。
 じゃなければ、私が代金を誤魔化そうとしたと思ってる??
 だって、画面のよくわからない表示をタップしてやり過ごしちゃったものね。レシートも確認したのに、そのまま商品を袋に入れようとしたものね。

 もしかして万引きしようとしたと思われてる?!

 「本当にすみません。危ないところでした。GUのレジはどこなんですか?」と聞いた。
 それほど恥ずかしくはなかった。ただ動揺して手が震え、自分の痛々しさを感じて、ものすごくイヤな気分が残った。

 帰宅後、息子に話した。もーいやだ私ったらおばさん全開で!! などと言っていたら「あそこの店員、ちょっと感じ悪くて僕も良い気分しなかったことがあるから気にしない方が良いよ」と、なぐさめられた。
 そうだね。ありがとう。確かにあの対応でショックが倍増している。でもそういう店員がいるにしてもだ。

 まぎらわしい店のレイアウト。
 分かれた場所にあるレジ。
 そしてレジ画面に出てくる表示の不明瞭さ。
 改善してほしいよう!

 あと、あたふたしている中高年の思いにも少しは理解がほしいよう。

 どうにか新しいシステムを受けいれようと頑張っています。



読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。