頭への心地良い刺激で、眠りへといざなわれる
最近、カットに行くと眠ってしまう。
以前は「眠いな~」くらいだったのが、どうも本格的に眠ってしまうのだ。
眠気の発端は、いつだって同じ。
カラーリング。
カラーリングと言っても、担当美容師さんが「髪の毛のことを考えると、マニキュアの方が良い」と勧めてくるので、ヘアマニキュアだ。
表面の髪の毛をめくると、わーーーとランダムに白髪が全体に散らばっているのだけど、何故か上にかぶさっている髪の毛はそこまで白いのが多くはない。それでも最近はこめかみの白の割合がだいぶ高く、てっぺんもまだらに増えてきた。
美容師さんとしては、染めるほどではないとおっしゃるので、染めて傷めないためにはマニキュアの方が保護されるし、値段的にも安いからおススメされる。
でも1ヶ月ちょっとすると、だいぶマニキュアが落ちてくるやら、髪の毛も伸びてくるやらで、白いものがずいぶん目立つ。
夫がこの前ようやく気づいたらしく「うおっ! けっこう白い!!」と驚いていた。
てへっ。バレましたか。
っていうか、今までどんだけ見てなかったんだ。
私は昔から髪の毛が少しだけ茶色っぽくて、30年近く前のパーマだと髪の毛が傷んであっという間に黄色くなってしまった。そのせいで、当時バイトの面接に行けば「髪の毛の色は落として下さいね」と、染めている前提で話してくるので困った。黒くてツヤツヤな髪に憧れた。
でもいざマニキュアを始めると、自分の元の髪の毛の色が恋しくなり、真っ黒じゃなく、元の、ほんの少し茶色っぽい色にできるだけ近く、でも全体に黒っぽく仕上げてもらう。
白髪やマニキュアの色の話で長くなってしまったけど、このマニキュアが、大変眠気を誘うのだ。
客が偶然少ない時間帯に行くと、二人がかりでマニキュアを塗り始める、二か所で毛をほんの少し、痛くない程度に引っ張られる。もうこれだけで頭に心地良い刺激を受け、引っ張られたところに、ちょっとひんやりとしたマニキュアを塗る。これがまた気持ち良くて、あっという間に意識がもうろうとしてくる。ちょこちょこと話しかけられるが、返事をするのが精いっぱいで話を広げようともしない。だって頭が働かないんだもの。ほとんど、一往復か頑張っても二往復で会話が途切れる。とにかく眠たい。
そしてそこからマニキュアを浸透させるために、少しの時間、放置される。
美味しい飲み物と雑誌をあてがわれる。
最近雑誌を読まなくなったなあ。と手に取って、そのファッションやら情報やらを楽しんでいるはずなのだが、気づくとウトウトして雑誌を落としそうになる。
「わっ! ビックリした―……」
目が覚めて、照れ隠しでつぶやいてみるけど、他に客がいないと、美容師さんたちは奥に引っ込んでおり、店内に私一人の「ビックリしたー」の声が響いている。
その度に、雑誌をバッ! と抑えたり、顔をハッと上げたりする。
この前は、顔をハッと上げたら、目の前に人がいて「わっ!」とかビックリしたら、鏡に写っている自分だった。
なんだ。私か。
などと思っているうちに、時間は経ち、洗い流すためにシャンプー台に向かう。
これがまた。
私の通う美容室の、仕上げシャンプー台は、美容師さんがちょっと奮発したらしく、真横に椅子が倒れるようになっている。客にリラックスしてもらうためとのことだが、ここで私は完全に眠りこけてしまう。熟睡に至り、夢を見ちゃうのだ。
以前、洗い流しが終わるなり「出川哲朗に褒められる夢を見た」などと言って笑われた。
そしてこの前、何故か「10円玉」と言おうとして目が覚めた。夢の中で、一生懸命言おうとするのだが言えない。「じゅ……じゅう……じゅう……」とか言いながら目が覚めた。起き上がりながら「10?」と我に返った。
それからまたカットの椅子に戻るのにどうもフラフラ夢遊病みたいにして歩いてしまう。
「ねむそー!!」
とツッコミ入れられるが、それにも大したリアクションできない。
あの眠気、どうにかならないものか。
年々、本格的な眠りへといざなわれてしまっている。
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。