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幼いころの独特の言い回しが可愛い

 こちらは朝晩が寒くなってきて、布団をもう一枚かけたい人はかけてねと準備する。
 息子がアレルギーを持っているのもあって、乾燥機にもかけるし、手すりにも干す。
 ついでにしばらくぶりに毛布も乾燥機にかけて広げておいたら、帰省している息子が、布団の上にがばーとおおいかぶさって「ひゃー」とフザけている。もうとっくに夫の身長を超えて、20代の体格。さらに遺伝と思われる広い肩幅と長い手で、頬に毛布を感じるようにうつ伏せになりながら、「ひゃー」と大の字になっている。

 大好きな毛布。
 大好きなふかふかだとか言う。


 言葉を覚えて間もない時期を超えても、子供って自分の作った言葉を楽しむ。かんちがいしたままの場合もあるだろうけど、そんなのそのうちに変化して整った言いかたになっていっちゃうからね。幼い頃の言葉は親にとって、ひと時だけ光る宝物みたいなもの。

 息子はよく、ふかふかの布団に入り、つやつやほっぺのまあるい顔だけを布団から出しては「ふか~い」と極上の笑みを浮かべてくれていた。

 「ふかい」の意味は違うんだよ。
 なあーんて野暮なことは言わない。
 それにあんなに幸せそうに言われたら、否定する言葉も言えなくなるってものだ。



 昔、ふか~いって言ってたの、覚えてる? と聞くと「そう言ってたことは覚えていないけど、その表現がしっくりくるのはわかるなあ」としみじみしている。

 そうね。正しいかどうかより、その子の感じていることの表現よね。

 いまだに息子の極上の笑みは「ふか~い」とセットになって思い出されるのだ。


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