子供への接し方に自信はないけど…

 息子が17歳になろうとする今の私にとって、「これで素晴らしい子に育つだろう」はもちろん、「まあこれで良いんじゃないか」と思っている時もほとんどない。
 いつだって「これで良いのかなあ」「どうなるのかなあ」「心配だなあ」「この先大丈夫かなあ」。
 ただ、息子を見ていて「今のところは悪くないよな」は、最近少し思えるようになっている。

 幼少期はもっと心配ばかり。息子はとにかく気難しくてかんしゃく持ちで、1歳の途中から10歳くらいまで反抗期が続いていたようなもの。だから思春期の反抗なんて、私にとってはどうってことなかった。対応は難しいけど、でもそれまでのことを思えば全然ラク。

 子供と接する上でのこだわりはあるけれど、その中の一つの「感情を言葉で表現」は、かなり心を砕いた。その辺りをここで何度か書こうとした。
 でもうまく書けない。「だから今、立派になりました!」ってわけでもないし、今後もどうなるか、やっぱり自信がない。

 そんな時に、こんなnoteを読んだ。

 おお。書いてくれている。私の代わりに! 最近、noteでうまく書けなくてもどなたかが書いてくれる機会が多い。「そうだよね!」と共に「うまく書けないところを書いてくれた」。これで充分と思ったけど、子供に関しては、これをきっかけとすれば、私も書けるかもしれない。


 幼少期、ニュージャージーで「I love you」を家族で言い合う文化、ハグし合う文化を、近所や学校やテレビなど、周りで見ていた。
 ウチは日本人だからないんだ。と意識はしていたけど、それでも「良いなあ」と思っていた。時には「もしかして私は母に嫌われているのでは?」と不安になる時もあった。兄に意地悪された時にかばってくれないのも、よく叱られるのも、嫌われているからかなとか。もっとも、私も「お兄ちゃんに意地悪された」と言わず、いつも「かせみちゃんが悪いの」と言ってしまっていたからなんだけど。

 自分が母親になる時、いや結婚してから、いやいや結婚する前から、夫と出会って、気持ちを言葉にしてもらう、自分もできる喜びを知った。
 だから子供ができたら、伝え続けてきた。
 「大好きだよ」。

 「ありがと。僕も母さんのこと大好きだよ」と返ってくる。
 
 「ありがとう」と言えば「どういたしまして」も返ってくる。「ごめんね」と言うと「こっちもイヤな言い方して傷つけちゃったね、ごめん」。

 「こういう時、何ていうの?」とか「ありがとうは?」とか誘導したことはない。とにかくこっちが、周りにも本人にも言って見せてきた。‘察する’のが苦手な息子でも、何年もかかってどうやら伝わったようだ。
 ハグも今でもする。
 
 ただ私が帰国子女で、日本で周りはしない接し方なのかもしれない、と息子も知っているから人前ではそう言ったり、ハグしたりしない。友達を認識すると隠れたりするし。

 だから小学校の先生に「息子クンの良いところは、ありがとうと、どういたしましてを自然に言うところ」と言われた時は、えっ意外!! と驚いたし嬉しかった。
 当時、まだかんしゃくのひどかった時期。家では何度も喧嘩して仲直りを繰り返す日々。外で、誰がどうだからとか関係なく、息子は周りにお礼言ったり謝ったりしていると知った。

 息子のかんしゃくに対して、手は出さなかったものの、私は時々怒鳴ってしまっていた。怒鳴るのも虐待の一つだと知って、あんなに大号泣する息子に毎日耐えるのみなのか? と悲しい気持ちだ。怒鳴る私に対して、息子は泣き喚きながら言い返してきていた。言い合いになって大喧嘩だ。それでも怒鳴ってはいけないのかな。私も追い詰められていた。互いの両親も親戚も近くにいない。時々預けると「働いてもいないのに」と嫌味を言われる。寝不足でメニエールがおそってくる。昼間は完全なワンオペなのに。

 群れるのが苦手な私でさえ、たまらずに、アパート内で子育てサークルを立ち上げた。

 息子は、「そうやって大喧嘩しても、大好きと言ってくれて嬉しかった」と今になって言う。「言われなかったらボク、嫌われてるのかなと思っていた」と。
 良い子でいるから、いい成績をとったから、とかじゃなく、唐突に「大好きだよ」と条件なしの親からの意思表示はとても大切らしい。

 息子は反抗している頃でも、思春期でも、今でも、「ありがと。僕も母さんのこと大好きだよ」と返してくれる。息子は、夫ともよく「大好きだよ」と言い合っている。

 ちなみに「ありがと。僕も僕のこと大好きだよ」とか「ありがと。僕はコーラも大好きなんだよ」とか色々なヴァージョンがある。その辺は夫と育んだセンスらしい。「父さんはカレーも大好きなんだ」が夫ヴァージョン。そのセンスが良いかどうかは別として。とりあえず笑っちゃう。


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