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楽しくて幸せな気分になる~フリーガイ~

 悲しくて泣いたり、嬉しくて泣いたりするけど、楽しくて泣くってそうそうない。自分以外の人の「幸せ」で涙出てくるっていうのも。
 「フリーガイ」を観ていたら、笑いながら多幸感に包まれる状態で涙があふれてきて、なんだかちょっとアブナイ人みたいだ。

 「デッドプール2」で、ほぼマスクをかぶっているか、焼けただれたオソロシイ状態の顔でしか目にできなかったライアン・レイノルズ。しかもその時、吹き替えしかやっていなかったから本人の声もわからずじまい。
 「名探偵ピカチュウ」で、ほぼ姿が見えなかったライアン・レイノルズ。
 本人の普段の顔を見るとホッとするようになっていたから、「フリーガイ」でしっかり観れるわと楽しみにしていた。

 わかりやすいコメディなのだけど、彼は動きが特にコメディなんだな。

 ドラマでもコメディが上手な俳優と、演技は良いのにコメディに向かない俳優っているんだね。と、つい最近、夫と話していたところ。それで言えば、ライアン・レイノルズは間違いなくコメディに向いている俳優じゃないかしら。


*ネタバレあります



 戦う「デュード」が、ムッキムキなライアン・レイノルズなのも笑ったし、「サングラス」をかけた彼が「うわ~お!」って反応になるのが可笑しくて。

 「うわ~お!」が上手なライアン・レイノルズ。

 「デュード」が未完成なのも可笑しかったし、MCUやスターウォーズのグッズが出てくるところもいちいち可笑しい。

 笑え過ぎて、最後の方で橋が架かって新天地に向かう場面も「アナと雪の女王」を連想してしまい、それさえも笑えたのは私だけかしら。

 良いシーンももちろんあったのよ。
 彼はゲームのモブキャラ設定だから、決まったセリフを言い、決まった服を着て、決まった場所でコーヒーを買い、銀行に出勤する。ゲーマーが銀行を襲い、ゲーム内のコインを奪う度に、ライアン・レイノルズ演じる「ガイ」は、友人の警察官とカウンター奥で伏せている。

 毎日毎時間、これの繰り返し。

 モブキャラなので、そういう風にプログラミングされているのだ。だけど少しずつAIが独自の進化をし、自我が芽生える。

 これは、現実世界でゲームを作る優秀なキーズとミリーの、技術上の手柄。

 「ガイ」がAIなのにミリーに恋する不思議もあるけど(映画でちゃんと明かされます)、現実世界でのミリーがゲームのモブキャラ「ガイ」にキュンとしちゃう演技が可愛かった。ゲーマーたち皆が「ガイ」に夢中になっていく様子も、実際にありそうで面白い。

 で、言いたいのは。

 モブキャラはモブキャラの世界でしか生きていけないけど、それだと同じ毎日。同じことをして、同じ物を注文し、同じ言葉を繰り返し、同じ過ごし方をする自分の生活に、飽き飽きしてませんか? 皆さんも人生の背景なんかじゃないんだよ。自分の意志で生き方や生活を変えて、自分が主人公の、自分のストーリーを作っていきませんか?

 ね。
 程度に差こそあれ、きっとみんな思っていることよね。

 私みたいに、「一切合切凡庸な」アラフィフには、切なくて哀しくさえ感じる。そして多くの人はそんなものだ。自分の力量くらいわかってくるもので。50年生きていりゃ、何度だって繰り返し思い知る。いつだって、これまでの人生を思い、振り返り過ぎないよう、でも自分の過去も未来も思いやるものなんだ。その重たさがどんなものか、積み重ねてきたものを思いながら、泣き笑う映画なのよ。それでも「何か」を変えて、自分に刺激を与えよう。「何か」を感じるのは自分次第だと。人生のストーリーを作っていこうと。

 そして「白雪姫」とか「ねむり姫」さながらキスで記憶(?)が戻る瞬間は、時代も変わったものだとしみじみするのだ。

 あら奥さん。ライアン・レイノルズ、たっぷりのキスシーンですわよ。

 いやあライアン・レイノルズをしっかり堪能できて、私はめっちゃ満足だった。のに。

 パンフレットがなーい!

 オーノーなんてことよ。もう私は「フリーガイ」のポスターがあったら欲しいくらいだ!


#映画 #フリーガイ #コメディ #感想 #ライアン・レイノルズ #楽しい #笑い

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