「公共」の意味についてずっと考えちゃう「パブリック 図書館の奇跡」
図書館は、公共の場だ。
皆さんご存知ですよね。
だけど「公共」ってナニ?? そりゃ言葉の意味はわかっているけど。定義は?
これをひたすら考えさせられる。
図書館は、誰もが使って良い。
しかしそこにホームレスが入って、本を読み、ネットで外の情報を取り入れる。ってどう思う? ホームレスにとっては貴重な情報源であり、知識を満たす場であり、さらに生きていくための場所。トイレで用を済ませ、歯を磨く。
そして寒さをしのぎたい。なんなら大寒波で命を落とすのを避けたい。
コメディ色もあって、「社会派ですよ!」って強く出さないけど、骨太な社会派映画。
言葉の端々に考えさせられる要素がたくさん出てくる。
*ネタバレあります
面倒くさがりで無責任な現市長。
SNSの人気ばかり気にする、やはり無責任なレポーター。
悪者がわかりやすい。
それ以外はそれほど悪い人はいない。刑事の親子関係が気になるけど、そこに深堀はなかった。息子はだいぶ荒れていた。私は単純に、ピザを独占したところがちょっと許せなかったんだけど。
ホームレスの中には、退役軍人が割といるそうだ。国のために戦っておそらく地獄も味わってきたのに、国に戻ると彼らの居場所すらない。
「屋根がほしい」と訴える彼ら。
精神疾患の人が多いそうだけど、ホームレスになったから精神的に病んだのかもしれないし、それ以前の、例えば戦争でそうなったのかもしれない。
知らなかった。の連続。
この状況を良いと思っているわけではないけど、人間同士としてコミュニケートする主人公スチュアート。
図書館で働いているスチュアートは、彼らに居場所を与えるけど、他の職員とホームレスとの板挟みになっていく。
彼自身のセカンドチャンス。いやセカンドなのかもうわからないけど、やり直している人生で、彼は真面目に暮らしている。頑張っている。踏ん張っているからこそ、人を人として尊重して対話できるのではないだろうか。
彼らは確かに精神的に不安があるけど、話してみると知的な印象もある。図書館で本を読むところからも来ているのかな。少なくとも人気のあるレポーターより静かに知識をためこんでいると印象を持った。
最後に、エミリオ・エステベス(監督・製作・脚本・主演)のインタビューの言葉から
「ホームレスを“不憫だけど、仕方がない”と思う人がたくさんいる。ホームレスになってしまうのは、自力で苦境を打破するための一歩を踏み出さない自己責任としてしまうわけだ。図書館や公共施設がそうした人たちを助けるのは、道徳上の任務だと思う。人の心を持っていれば、当然のことだけど、この分断の世の中に人の心を持たない人がたくさんいることは残念だ。」
(anemo映画情報より リンク貼れませんでした)
この言葉について、私たちはよく考え続けなければならない。
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