制作メモ #10 ティラノサウルス
恐竜といえば、やっぱりティラノサウルス。私が参考にしている子供図鑑の表紙もやっぱりティラノサウルス。
満を持してというか、恐竜の木彫りをはじめるときに「ティラノサウルスは大事な作品になる」と思って取っておいたのだけど、そろそろ挑戦してみることにする。
リサーチ
ティラノサウルスは、約6,800万 〜 約6,600万年前(白亜紀後期)のララミディア大陸(今の北アメリカの西半分)に生息していた、獣脚類最大級の肉食恐竜。
最大全長は約13メートル、最大体重は約9トン。
顔が大きく、大きな口には鋭い牙が並んでいる。
手は極端に小さい。指も退化して2本しかない。
足は、2本足で大きくしっかりと身体を支えている。
身体の姿勢は、80年代までは「ゴジラ」のように、直立した体勢で再現されていた。研究が進み、90年代以降は水平にバランスをとるような形に。
下腹部のあたりでは恥骨が大きく、しゃがんだときにここで身体を支えたと考えられているそうな。再現図などでも下腹部は大きく膨らんでいたりもする。
デザイン
直立したゴジラ型気味にデザインすれば、安定して自立させやすい。だけれど、その生き物のリアリティの表現することも生き物木彫りのテーマでもあるので、ここは前傾姿勢にしたい。
(ゴジラはゴジラで、そのうち作りたい。ジラースも作ってもいいかも)
※ジラース・・・ゴジラに襟巻きがついたようなウルトラ怪獣
前傾姿勢でかつ、2本足でバランスが取れそうな形を探りつつスケッチ。頭の形や大きさのバランスも探る。
ティラノサウルスの下腹部の膨らみ感などを意識しつつ、お腹からお尻?尻尾にかけて大きめすることで、重心が下になるように、前後方向に対しては重心が足の近くになるようにデザインした。
これで、なんとか自立できるのでは?でも、やってみないとわからないので彫って調整しよう。
再現図などをみると、どのティラノサウルスも口を大きく開けてキバを見せている。だけど、実際はそんなにずっと口を開けていたわけではないでしょう。ワニだって口は割と閉じている。それに、私の木彫り恐竜のデザインの統一感を考えても、閉じさせることにした。
制作
材料は木曽ヒノキ。飛び出た尻尾が丈夫になるように、前後方向が木目の向きになるように木取り。
尻尾の両脇の部分にノコ(バンドソー)を入れたいので、真上からも描く。
バンドソーでざっくりと切り出し。尻尾のあたりは左右面からもノコを入れてある。
ザクザクと荒取り。尻尾の両脇や頭の周り、お腹の周りなどザクザクと彫り出していく。
更に詳細を詰めつつ、ザクザクと彫り進んだところ。
手は小さく身体の内側に入るような感で彫り出す。
顔は先端に向かって少しすぼむように。下顎はエラが張っているわけではないので少しスリムに。
目の上の眉骨(のようなところ)ははっきりと盛り上がっているので、頭蓋骨の角を立たせてそれをそのまま眉骨になるようにした。
同時に2本足で安定して自立するようにバランスも意識。
足はがっしりと全体を支えるようにしっかりと。また、足が身体の下に来るのが恐竜の爬虫類とは違う特徴なので、そのあたりも意識。
お腹や尻尾は自然な流れになるようにしつつ、安定感が出るように下腹部を大きめに彫り出す。
さらに細部やバランスを詰めつつ、きれいに仕上げるように彫り、彫りの完成。
奥でブラキオサウルスとアンキロサウルスが、ティラノサウルスの誕生の瞬間を見守っている(恐竜たちの作風・世界観・サイズ感に統一感がでるように、他の恐竜たちも見比べてつつ制作した)。
その後、顔は目鼻口をアクリル絵の具で入れた。
口はまっすぐ過ぎないように、蛇の口のように少しだけ口先に動きをつけることにした。
完成
できてみると、鳥のようなバランスに見える。恐竜は鳥の祖先なので、再現としていい線いっているということかもしれない。
ティラノサウルス、海外からの評判も多く9万いいねつきました。
やったね!ンギャーオ〜〜(恐竜の鳴き声ってどうなんだろう?そういう研究もありそう)
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